特定の場所に行くと話せなくなる「選択性緘黙症」、その特徴や原因・対処法とは

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 子育て・家族関係

家の中ではごく普通におしゃべりをしているのに、学校や幼稚園に行くとまったく話せなくなってしまう…
こんな子がいたら、「内気な子」「人見知りな子」だと思いそうですよね。
でも実は、子供達の中には「話さない」のではなく「話せない」子もいるのです。

特定の場所や状況になると急に話せなくなってしまう、この心の病気は「選択性緘黙症(せんたくせい・かんもくしょう)」と呼ばれています。
ここでは選択性緘黙症の特徴や原因・対処法等について解説をしていきましょう。

選択性緘黙症の特徴とは

選択性緘黙症(場面緘黙症)は、主に幼児期に発症する精神疾患のひとつです。
発症率は約0.2%程で、4才~5才頃に症状が確認される傾向があります。
ただし「内気」「人見知り」といった誤解を受け、小学校に上がってから症状が発覚するというケースもあるので注意が必要です。

選択性緘黙症の症状には以下のような特徴が見られます。

・言語の発達過程には特に問題がない
・脳機能そのものには問題が無い
・自宅・家族との会話にはほとんど問題が見られない
・幼稚園・学校・児童館・公民館等、特定箇所・特定状況で話せなくなる
・行動は比較的消極的に見られることが多い
・うなづく、手を降るといった発語以外のコミュニケーションはできる場合が多い
・自己主張を怖がることがある

いわゆる「人見知り」「引っ込み思案」と混同をされがちですが、選択性緘黙症の場合、「話せない」という症状が非常に強く出ること、特定状況で出ること、そして長期的に出るという違いがあります。

例えば初めて幼稚園に入った時、周囲と馴染めずに最初の1~2ヶ月をおとなしく過ごしてしまうというのは珍しくないパターンですよね。
しかし選択性緘黙症の場合には何年も症状が継続するほか、小学校・中学校に上がっても問題が改善しないといった長期化を見せることがあります。

選択性緘黙症の原因は?

選択性緘黙症は、小児性の不安障害の一種であると考えられています。
原因は現在も特定できていませんが、以下のようないくつかの要因が重なった複合的なものではないかという説が有力です。

1)扁桃体への刺激による不安

脳の扁桃体への刺激の過敏性があり、その刺激を避けようとする故に人とのコミュニケーションに強い不安を感じる

2)両親(母親)等との物理的距離による不安

安心感を得られる母親・父親・家族等から物理的に切り離された状況(幼稚園・学校等)での不安が大きい

3)社会活動・集団行動への不安・不満

集団での活動の経験が不足していることから来る不安、家族以外の大人から指導を受けることに対する抵抗等の心理が大きい

4)言語障害・会話障害による不安

海外暮らしで日本語での会話がうまく通じない、声が小さいといった理由から「自分がみんなと同じように話せない」という不安が大きい

選択性緘黙症への適切な対処とは

1.会話を強要しない

上記のとおり、選択性緘黙症とは「話そうとしない」のではなく「話せない」病気です。本人の意志や努力で改善されるものではありません。

「がんばって話して」「どうして黙っているの」と会話を強要すれば、当人の不安や緊張はより高まり、却って改善の足を引っ張ってしまうことになります。 まずは「話せないのだ」という状況を周囲が理解することが大切です。

2.放置をしない

子供が黙りこんでいる状態だと、つい周囲はその子を放置したり、一人にさせてしまいがちです。 しかし当人はコミュニケーション自体を拒否しているわけではありませんし、ひとりぼっちにされることで却って不安・緊張を煽る可能性も考えられます。 疎外することを避けるのはもちろんですが、当人が「自分は守られている」と感じられる環境づくりをすることも大切です。

3.コミュニケーションの方法を探る

多くの場合、選択性緘黙症の子供は「発語」以外でのコミュニケーションであれば何らかのコミュニケーションを取れる傾向にあります。 例えば相手側が「YES/NO」で答えられる質問をしてあげれば、当人は「うなずく、首を降る」といった形でコミュニケーションを取ることもできます。 何らかの形でのコミュニケーション方法を探り、子供が「自分が一人ではない」と安心できる状況を作っていきましょう。

おわりに

かつて選択性緘黙症は、「放っておけば自然に治る病気」と言われてきました。
しかし近年では中学校・高校と年齢が上がっても症状が改善されず、不登校・引きこもりといった別の問題へと発展するケースも見られ、問題視されています。

「選択性緘黙症かも」と思ったら、幼児期のうちに早めに専門家に診断を依頼し、心理療法・行動療法等の専門的治療を受けることが大切です。

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