「キレイ好き=潔癖症」ではない?「キタナイが怖い」は「強迫神経症」かも

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 習慣を変えたい

いつも部屋やデスクきっちりと片付けていたり毎日しっかりと掃除をする人のことを、よく「潔癖症」なんて言いますね。 「潔癖症」という言葉は一般的にもよく用いられるため、「キレイ好き」「神経質」と言った意味合いで捉えられていることが多いようです。
ところが、実際の「潔癖症」と「キレイ好き」にはかなりの違いがあります。
心理学で言うところの「潔癖症」とは、「汚染恐怖」「洗浄強迫」と言われる強迫神経症(OCD)の一種なのです。
ここでは汚染恐怖や洗浄強迫について、その特徴や対策をご紹介していきます。

1. 「見えない汚れ」を気にしていませんか?

例えばデスクの上にホコリが溜まっていたら「汚いな、掃除をしなくては」と感じるのは誰もが同じこと。
またホコリが溜まることが無いように、こまめに掃除をしておこう…というのは「キレイ好き」の範疇です。
つまり一般的な「キレイ/汚い」という認識は視覚・嗅覚・触覚等をもって行われているわけですね。

ところが「汚染恐怖」「強迫神経症」の場合、このような「見た目のキレイさ」のみならず、「見えない汚れ」に対する恐怖感・切迫感があるのです。
代表的なところが「菌」や「ウイルス」と言ったものになります。
目に見えない汚れを頭の中で感じ取り、「汚れている、汚い」という恐れを持つのです。

またそれらのものへの接触を極端に拒む、触れたことで自分自身が汚染されたように感じるのも強迫神経症の特徴のひとつとなっています。

この他キレイ好きな人との違いとしては、強い「強迫感/不安感」があることも挙げられます。
「どんなに疲れていても部屋を除菌してからでないと眠れない」、「恋人と身体的接触をすることが怖い」等、生活や人間関係に支障を出していることがわかっていても「恐怖と不安」が止められない状態になっているのです。

2. 「認知の歪み」が引き起こす「キレイ/汚い」の差

「キレイ(清潔)」と「汚い(不潔)」という線引きは人によっても違うもの。
ところが強迫神経症の人の場合、この線引きが「個人の頭の中で強く決められている」という傾向があります。

例えば「料理」という面から考えてみましょう。
目の前で手を洗わずに料理をしている人がいたら、「汚いなあ」「衛生的ではない、嫌だ」と感じる人がほとんどなのは当然です。
また、掃除をされていないキッチンで料理をされているのを見ても「嫌だな」と感じる人が多いことでしょう。

ところが潔癖症・強迫神経症の人の中には「家庭で作られたもの(いわゆる素人が作ったもの)」に対しては問答無用で「衛生的ではない」と感じ忌避する人が多い傾向にあります。
反対に工場生産や飲食店で食べる食品ならば「衛生的だ/キレイだ」と感じ、調理過程を見ていなくても食することができるのです。

しかし、本当に「キレイかどうか」という確認を行ってからでなくては食べられない…というのであれば、自分で材料を揃え、洗浄を行った上で調理をしなくては「衛生的かどうかの確認」はできませんよね。
強迫神経症の場合、「プロが作ったものならばキレイだ」「その他で作られたものは汚い」というイメージが頭の中で出来上がっており、「実際の衛生状態」よりも「自分自身の線引き」に固執してしまうのです。
これを心理学では「認知の歪み」と呼んでいます。

3. 「潔癖症」が酷くなると「汚い部屋」になることも?

潔癖症(汚染恐怖、洗浄強迫)の傾向のひとつとして、1日の中で洗浄・洗濯・除菌などにかける時間が非常に長いというものが挙げられます。
例えばどこまで洗っても「キレイになった」という安心感が得られず、皮が剥けるほど手や顔・体を洗ってしまう人も多いのです。

しかし必ずしも潔癖症の人が「自分の周囲全てを衛生的(清潔)に保っている」とは限りません。
汚染恐怖を強く感じる人の場合、汚れた場所に「手を触れる」ことで汚染が自分に移ると感じるため、掃除という行為自体ができないこともあるのです。
そのため潔癖症の人の中には、いわゆる「汚部屋」や「ゴミ屋敷」の中で暮らしている人が沢山います。

重度の汚染恐怖患者であった大富豪、ハワード・ヒューズの例を挙げてみましょう。
彼はホテルのワンフロアを完全に除菌した状態で老後を送りましたが、自分自身の爪や髪、肌などに触れることができず、その最期は爪も髪も伸び放題、垢だらけの状態であったとされています。

このような「汚いと感じるものに一切触れられない」という恐怖感を持っている人は少なくありません。
家族や周囲からも理解が得られず、「それは潔癖症ではない」「ワガママなだけ」と言われて苦しんでいる人は、早めに専門家に相談をしてみましょう。

おわりに

現在、洗浄強迫や汚染恐怖等の強迫神経症治療としては、認知療法や薬物療法等、様々な対策が専門医・カウンセリング等で行われています。 多くの強迫神経症患者の人が治療を受けることで認知の歪みを正し、「ラクに生きられるようになった」と感じているのです。

潔癖症(洗浄強迫、汚染恐怖)は本人の仕事や生活に支障をきたすことも多い上、家族・恋人・友人等の人間関係にヒビを入れてしまうこともあります。 「もしかして、自分もそうなのかも…」と思ったら、一度カウンセリングで相談してみてはいかがでしょうか。

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