「人のためにこんなに頑張ってるのに、感謝されない…」それ、実は『メサイア・コンプレックス』かも?

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 人間関係を良くしたい

「人のための役に立ちたい」「みんなを幸せにしたい」…これらの気持ち自体は、本来とても素晴らしいもの。

でも「みんなのためにこんなに頑張ってるのに、なんで誰も褒めてくれないんだろう」「感謝の気持ちが足りない!」とイライラしたり、「自分はもっと大きな問題に取り組むべきだ」と感じるのであれば、『メサイア・コンプレックス』の可能性も考えられます。

『メサイア』とはメシア(救世主)のこと。

「人を救う立派な救世主でありたい」「人から褒められ、認められる人間でありたい」--そんな欲求が心の中に隠されていることもあるのです。 ここでは『メサイア・コンプレックス』の特徴や対策についてご紹介していきましょう。

1. 『メサイア・コンプレックス』の特徴とは

『メサイア・コンプレックス』とは、世の中のため、人のために過剰に尽くそうとする症候群のこと。 症候群の現れ方には様々なものがありますが、大きくわけて2つのタイプに分かれます。

1 )救済対象が「大規模」になるタイプ

・自然破壊や人種差別等、自分一人では対処できないような大問題について「救済しなくては」と考える
・家族や恋人等、身近なトラブルに対しては無関心
・テレビ等で報道された大規模な災害や事故に対してのみボランティア活動・寄付等を行おうとする
・理想主義に走り過ぎ、現実的な行動を起こさないことも多い

2 )救済対象が「身近」になるタイプ

・恋人・友人等について「問題を抱えた人」を好んで選択する
・家族や恋人に対し欠点を探しだし、「問題がある人間を許している」と考える
・社内トラブル・ご近所トラブル等には必ず仲裁に入ろうとする
・子供等の家族の深刻なトラブルに対し、現実的な対処は行わないことも多い

一見すると違うように見えるこの両者ですが、その根底には「自分なりの正義を優先させようとする」「理想主義を掲げようとする」という共通点があります。

そして相手や周囲からの「「健気な人だ」「真面目な良い人だ」という感謝・賞賛を過大に求め、賞賛を受けられない場合にはその仕事自体を投げ出してしまうことも多いのです。

2. 『メサイア・コンプレックス』の問題点

「人のために尽くす」という行為は、一見すると「良い行為」と思われがちです。 そのため『メサイア・コンプレックス』である当人は、自分の行動を「善」であると信じて疑いません。

ところが『メサイア・コンプレックス』の人の行動は「相手が本当に欲しているもの」を考えない行動です。 自分の尺度・正義に則った「理想の押し付け」であるため、相手からは「おせっかい」と捉えられることになります。

極端な例ですが、例えば相手が風邪を引いていたとしましょう。 風邪を引いている相手は、自分がいつも飲んでいる風邪薬を飲み、自分なりの対処法で風邪を治すことにしています。

ところが『メサイア・コンプレックス』の人はこの人に対し「こちらの薬の方が良い!」と薬を勝手に自費で買ってきたり、相手が食べないような料理を作って食べさせようとするのです。

このような「善意の押し付け」の繰り返しが家庭内・社会等で軋轢を生んだり、人間関係でトラブルを生むことになります。

更に重い『メサイア・コンプレックス』の人の場合には、無意識のうちに周囲に問題を生じさせたり、問題を激化させているケースも少なくありません。

例えば集団の中で人間関係が悪くなるような情報を流してから、仲裁役を買って出るというのもひとつの例。 また子供の引きこもりや不良行為、家族内の不和等に対し「耐え忍ぶ自分」という賞賛を得たいがために、根本的な問題の解決に着手しないというケースも見られています。

3. 『メサイア・コンプレックス』の原因と対策

『メサイア・コンプレックス』に陥る原因は、深層心理に隠された強い劣等感や自尊心の低さ、自己承認の無さです。 自分自身を愛し認めることができないために、周囲からの感謝や賞賛という「他者承認」を過剰に求めようとしてしまいます。

「もしかして、自分もそうかもしれない…」と思ったら、まずは「周囲」よりも「自分自身」を振り返ってみましょう。

・現在の職業や仕事内容には満足できていますか?
・自分がやりたいこと(夢や目標)を具体的に立てられていますか?
・没頭できる趣味はありますか?
・職場や家族以外に友人を作り、様々な集団に属せていますか?
・恋人・配偶者・家族との良好な関係は築けていますか?
・日々の生活は充実したものですか?経済的・物理的な不安はありますか?

自分自身の生活の中に満たされない点があると感じた場合、まず改善に取り組むべきなのは「自分の人生」です。 「やりたい仕事」をするための勉強を始める、興味が湧いた趣味に挑戦してみる等、「自分の理想」に近づくための行動を開始してみましょう。

小さな行動からでも毎日「自分の人生の充実」に向けた行動を行うことで、「自分を認める気持ち」は高まっていきます。

おわりに

「人を助ける」という行為は、金銭的な問題でなく精神的に「無償」であるべきものです。

つまり「人のために尽くす」のであれば、まずは自分自身が満たされている必要があります。 本当に人を助けたい、誰かの役に立ちたいと考えるのであれば、まずは「自分自身を助け、救う」と考え、自分の人生に取り組んでみましょう。

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