「挨拶だけ」で騒音トラブルが減る?ご近所付き合いがうまくいく心理的テクニック

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 人間関係を良くしたい

「隣の人のテレビの音がうるさくてイライラ…」 「上の階の人と生活時間帯が違うらしくて、生活音に参ってます」 マンションやアパート等の集合住宅が増えた現在では、このような騒音トラブルの話は跡を絶ちませんね。

また「子どもが居るから、周りの人に『うるさい』と思われていそうで…」と気を遣い、ストレスを溜めてしまっているという話もよく聞きます。 騒音やゴミ捨て等の様々なご近所トラブル--これを解決するにはどうしたらよいのでしょうか? 今回はご近所付き合いをスムーズにするための心理学的ポイントについてご紹介していきます。

1. 知っているけど知らない「ファミリア・ストレンジャー」

かつての日本では、引越をしてきた側が向こう三軒両隣に引越しそばを持って行き「よろしくお願いします」と挨拶をするという習慣がありました。

ところが最近では、このような習慣は廃れているも同然。 特に都市部では「お隣の人の顔も知らない」なんてケースも少なくありません。 またマンション内の同階や玄関等で顔を合わせるけど、挨拶したことは一度も無い、という人も多いことでしょう。

・顔は知っているけれど話をしたことが無い
・表札等で名前も知っているけれど話をしていない

このような「近いのに知らない他人」のことは、心理学者ミルグラムによって「ファミリア・ストレンジャー」と名付けられています。 この二者間は「顔見知り」のように思えますが、まだ「他人」の段階。

人間は物理的・精神的に「遠い相手」に対した方がより攻撃性や残酷な気持ちを強めるため、「他人」から受けた被害に対しては強い怒りやイライラを感じるのです。 これがご近所トラブル等の元になりやすい、というわけですね。

しかしファミリア・ストレンジャー同士は、他の人に比べて強い興味をお互いに抱いています。 そのためちょっとしたキッカケさえあれば関係を縮め、親しくなれる可能性も高いのです。

2. 「挨拶」で相手への感じ方が変わる

「親しくなる」と言っても、家族ぐるみでの付き合いをするとか、昔ながらの味噌や醤油の貸し借りをするような仲になるべし!というわけではありません。

「挨拶をする仲になる」--ほぼこれだけでも良いと言えるでしょう。 相手と自分の距離を「ファミリア・ストレンジャー」から「知り合い」にまで一気に昇格させてくれる手段が「挨拶」なのです。

「おはようございます」「こんばんは」--こんな小さなやり取りでも、両者は相手のことを「他人」から「近所の知り合いの人」とまで認識を変えてゆきます。 そして「知り合いだ」と認識したことで、相手から受ける被害(騒音被害等)を今までよりも小さく感じるようになるのです。

実際の心理学実験では、「全くの他人」と「挨拶をするご近所」が出す騒音について感じる度合いが調べられました。 ちなみに、この二者が出す音の大きさは実はまったく同じです。 ところが、「他人」が出す音について「迷惑だ!」と感じた人のうち、「ご近所」に対しての音量は平気と感じた人は、60%以上。 「騒音が嫌だ」と感じる人の率は、実に4割以下にまで激減したのです。

3. 「音を出す側」の考え方も変わる

挨拶が生み出す効果は、「被害側がガマンできるようになる」というだけではありません。 トラブルの元を起こす人の側にも、周囲に対する「遠慮」が生まれます。

ちょっと別の視点から考えてみましょう。 ほぼ満員のエレベーターや、あとは殆ど人が乗れなそうな満員電車。 「まだ乗れそう!」という時、グイグイと人を押して乗る人も多いですよね。 ところがこれが一つの会社が使っている知り合いだらけのエレベーターであったり、電車のドア付近に知り合いがいたらどうでしょうか? 「次にしよう」とムリをするのを控えて、次のエレベーターや電車を待つ人が多いのです。

人間は他者から好かれたい、相手から好感を持って欲しい(嫌われたくない)という欲求を持っています。 ただ「まったくの他人から嫌われる」ことよりは、「自分の欲求を通す」ことの方が大きく感じられがちです。

ところがこれが「知り合い」となると、「好かれたい、嫌われたくない」という気持ちや、相手への思いやりの念が強くなります。

「隣の◯◯さんの迷惑になるかもしれない」--挨拶から生まれた人間関係は、こんな遠慮や思いやりの気持ちを無意識のうちに生み出すのです。

おわりに

お互いの情報が更に開示されている場合、人間はより相手に対する親近感や許しの気持ちを強く持つもの。 例えば「ラジオの音が深夜に聞こえる」とイライラしていた人が、相手が受験生であることを知って「受験勉強の息抜きなのか」と理解をした途端に怒りの気持ちを無くす--こんなケースも見られます。

小さな子どもが居たり、勤務形態等の理由から生活時間帯が近隣とは異なるという人の場合、挨拶とともに早めにそのような情報を伝え、開示しておくとより効果的と言えます。

もちろんその時には「うちには事情があるのだから仕方がない!」と開き直るのではなく、先回った謝罪のような形を取っておくと良いでしょう。 毎日の挨拶や、事前の情報開示--このようなほんの少しの会話だけでも、回避できるトラブルは多いのです。

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