過労死を防ぐために--雇用者側が知っておきたい3つのポイント

厚生労働省の調査によれば、平成25年の総自殺者数は27,000人以上。そのうち2,300人以上が勤務問題を原因としているものであると考えられています。

増えていく過労死の問題に対応するべく政府による推進も行われるようになりましたが、雇用側にもまた労働者側にも「メンタルによる過労死」に対しての知識が不足しているのが現状です。

ここでは過労死を防止するために知っておきたい過労死(過労)の基準や、過労のチェック方法等について解説をしていきます。

1. ストレスによる自殺は『過労死』となる?

増加する過労死に対処するよう国連からの勧告を受け、同年11月1日に漸く日本政府は「過労等防止対策推進法」を施行しました。 同法案では、過労死等の基準は以下のとおり定められています。

【過労死等とは】

・業務による過剰な負荷による脳血管疾患・心臓疾患による死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺
・上記による脳血管疾患/心臓疾患/精神障害

ここでいう心理的負荷とは、簡単に言えば「ストレス」のことです。 また精神障害については解釈が分かれるものの、うつ病・双極性障害等の気分障害や、パニック障害等の不安障害も含まれるものとなります。

従来の「過労死」というイメージでは、ひたすらに働いたがための身体的不調(脳梗塞・心筋梗塞等)による死亡という感覚を持つ人が大多数でした。

しかしながら上記「過労等防止対策推進法」によって、過労によるストレス、過労によるうつ病による自殺が「過労死」となりうるという基準が示されたのです。

2. 過労死を未然に防ぐ「労働時間の削減」

働き過ぎによるストレス、またそれによる過労死を防止するためには、雇用者側からも「働き過ぎ」を減らす取り組みを行うことが必要です。

厚生労働省による規定によれば、時間外労働(いわゆる残業)が月45時間を超過し、更に休日出勤が50%を越えた状態となった場合、何らかの症状が起こる可能性が高まるとされています。 つまり残業45時間以上、土日いずれかの出勤が行われている場合、診断において「過労」という評価が出る可能性も高まるのです。

更に月80時間を越えた時間外労働については、過労死を起こすリスクが非常に高まると考えられ、最近では過労死基準における『過労死ライン』と呼称されるようにもなっています。

過労死ラインを超過した残業による過労ストレス、過労によるうつ病の発症によって万一自殺といった問題が起これば、「業務と発症の関連は高い(=過労死である)」と診断される可能性があります。

3. 早期の過労チェック対策が重要

過労死を防止するためには、労働者自身による過労状態のセルフチェックはもちろんですが、雇用側による過労チェック体制を作ることも重要です。 過労によるストレスや過労によるうつ病の場合、以下のような身体症状を伴うケースが見られます。

【過労による体調不良(身体症状例)】

・眩暈(めまい)
・頭痛
・胃痛(食欲不振による体重減少)
・不眠(睡眠障害)、睡眠障害による日中の集中力低下
・吐き気、嘔吐
・蕁麻疹等の皮膚疾患
・血尿
・手足の痺れ・麻痺等

上記のような体調不良は、過労により突然倒れる前兆=過労死の前兆ともなりうるものです。 労働者当人は過労によるストレス状態を自覚できず、症状を悪化させる恐れもあります。 また過労によるストレスが以下のような精神的な状態をもたらします。

【過剰ストレス・うつ病による精神的な例】

・集中力の低下
・落ち着きがなくなる
・作業でミスが増える
・自信の喪失
・漠然とした不安感/焦燥感
・モチベーションの極端な低下
・イライラ感
・感情の起伏の激しさ
・協調性の低下
・突然の眠気等

上記のような過労による身体的・精神的な不調は、長期的目線による対処が必要です。 「内科に一度行けば治る」「数日間休めば治る」といった短期的な対策を続け、結果的に症状を悪化させ、申告な問題となるケースも少なくありません。

体調不良・抑うつ症状等が見られる場合には早期的に専門医・カウンセラーの診断を仰ぎましょう。

おわりに

過労ストレスによってうつ病となった人の中には、「過労で休職はしたくない」「会社に迷惑はかけられない」と過労状態を押して頑張ってしまう人が少なくありません。 しかしそのような無理を続けることが、結果的にはうつ病の状態を更に促進させ、最悪の自体を招いてしまうことになります。 過労死を防ぐために労働者本人に判断を任せきらず、雇用者側でも十分なケアを考えていくことが大切です。

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