「人前が苦手」とはどう違う?『対人恐怖症』の特徴や症状・治療について解説します

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 人間関係を良くしたい

「自分は対人恐怖症で…」 「対人恐怖症だから、人前は無理無理!」

対人恐怖症については、一般的には上記のように「対人関係が苦手な人」「シャイな人、内気な性格」といった意味で使われることも多いですね。 しかし実際の『対人恐怖症』はメンタルヘルス関連の病気であり、治療することができるものです。

「人前に出ることを考えるだけで汗が止まらない」
「顔がひきつってしまうのが嫌で、人前に出ないようにしている」

こんな生活の支障を抱えながら、「性格なのだから」と無理をしていませんか? 今回は対人恐怖症について、その症状や治療等を詳しく解説していきます。

1. 対人恐怖症とは?

対人恐怖症とは、社会不安障害(社交不安障害)に類する病気(神経症)の一種です。 周囲の人と関わること、人前に出る時、知らない人と関わる時等に様々な不安や緊張による身体症状が生じ、場合によっては呼吸困難といった症状が出ることもあります。 「恥の文化」「空気を読む文化」「和を尊ぶ文化」が徹底されている日本では特に多い病気です。

患者が若年でごく軽度の場合には自然に寛解をしたり、自分なりの努力(行動療法的な対人不安の軽減)で克服をできることもあります。 しかし、症状が繰り返し出る、症状が重度であるという場合には専門家による治療が必要です。

2. 対人恐怖症の症状とは?

対人恐怖症では、主に以下のような精神的な症状、身体的な症状が現れます。

1 )動悸、息の苦しさ


動悸(心拍数)が著しく早くなり、呼吸が浅くなります。 人によってはパニック症状のように強い症状が表れることもあり、循環器系(心臓等)の発作や別の身体的な病気を疑われることもあるほどです。

2 )消化器官(胃腸)の異常


過度の緊張による自律神経の作用が胃腸に働き、便秘・下痢といった症状も現れます。 突発的な下痢、しゃがみこむ程の胃痛(腹痛)といった症状として表れることも多いです。

3 )発汗


自律神経のうち交感神経が過剰に働くため、手・足の裏・首等を中心に多量の発汗が起きます。 また「汗をかいていることが恥ずかしい」と感じ、ますます緊張度を高めてしまうケースも見られています。

4 )赤面(赤面恐怖)


顔が紅潮した状態を指します。 一度赤面をしたこと、赤面したことをからかわれたこと等を原因として緊張度が高まり、その他の症状が表れることも少なくありません。 また赤面をしないように過度に感情を隠そうとすることもあります。

5 )体の震え


手・足等を中心に震えが見られます。 また顔の筋肉がひきつる、顔がこわばって笑えないといった症状として起こることもあります。

6 )失語恐怖


「自分の言うことが相手に不快では?」「これを言ったら笑われるのでは?」といった不安と恐怖から、発言がほとんどできなくなる症状です。 またあらかじめ決めておいた台詞(スピーチ文章、プレゼン文章)等で文章は読めているのにも関わらず、声がまったく出なくなるという事例も多く見られています。

上記はあくまでも症状の一例であり、対人恐怖症ではその他にも様々な症状が見られています。 対人関連になると何らかの症状が出る、何度も繰り返し出る、症状が段々重くなっている…このような場合、「対人恐怖症」である可能性を考えた方が良いかもしれません。

3. シャイや内気と「対人恐怖症」はどう違う?

対人恐怖症の症状について、「緊張したら誰にでもあるものでは?」と感じた人も多いのではないでしょうか。 確かに交感神経の活発さ、それによる身体的・精神的な軽い症状は、一時的な緊張や不安でも起こります。

ところが、緊張による大きな失敗をした、失敗を笑われたりけなされたりした…このような経験を原因として精神的外傷(トラウマ)が残ると、同様の経験に挑む前に脳内神経伝達物質が過剰に反応してしまうようになるのです。

発汗や赤面といった身体的症状が重くなったり、言葉が出ない、頭が真っ白になる、気が遠くなるといった症状が出て来ることもあります。 また対人関連の問題が起こる前に、過度の緊張・不安が起こり、不眠(睡眠障害)・落ち込み(抑うつ症状)といった別の症状が出ることも。 慢性化するうちに、うつ病等の気分障害、アルコール依存等の依存症といった別の病気を発症してしまうこともあるのです。

「対人がニガテ」という話と「対人恐怖症」の区切りの目安としては、以下の3点が挙げられるでしょう。

1 )対人不安による各種症状が重い
2 )症状が出ないようにと、本来やるべき仕事・学業などができない
3 )対人問題を過剰に避け、社会的問題が生じている

4. 対人恐怖症は治せる?

対人恐怖症の症状を感じている人の多くが、「自分の性格のせいだ」と自分を責めたり、「自分なりに努力をしたけど治らなかった」と対処を諦めてしまっています。 しかし対人恐怖症となった場合、それは性格のせいでも努力不足のせいでもありません。 病気の一種なのであり、専門家の元できちんと対応をしていけば治せるものです。

対人恐怖症の治療では認知行動療法が用いられるケースが多いですが、脳内神経伝達物質の乱れなどが見られる場合には、その調整を行うための薬物治療を行うこともあります。 いずれにしても、多くの人が精神科医・心療内科医・カウンセラーといった専門家の元で対人恐怖症の問題を治し、社会生活を遅れるようになっているのです。 「人前が辛い」「そのせいで支障が出ている」と感じるようであれば、早めに専門家に相談をしましょう。

おわりに

対人恐怖症になる人の中には、対人恐怖を感じていること自体も「恥ずかしいこと、みっともないこと」と捉えてしまう人が少なくありません。 「この程度なら我慢すべきこと」と症状を感じているのに無理を重ねたり、「性格なのだから」と放置して治療を先送りし、症状を悪化させるというケースが非常に多いとされています。 症状を重症化させた結果、引きこもりやうつ病といった問題を併発させ、問題解決に時間がかかってしまう傾向も見られているのです。

対人恐怖症は病気であり、「努力や根性で治す」といったものではありません。 何らかの不安や支障が見られている時には、無理をせずに早めに相談をすることが大切です。

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