check(1)忘れ物が多い

幼稚園・保育園の頃は、園からの連絡がすべて親に伝えられ、親が準備するため、“忘れ物”という概念があてはまる場面がほとんどありません。小学校に入学すると、連絡帳に記載し、プリントも子どもを介して親が受け取るようになります。
中学校に入学すると、小学校までの「帰りの会で、みんな同時に、全時間割に関することをまとめて連絡帳に記載する」ということがなくなり、各教科ごとに授業中に持ち物を伝えられる学校が増えます。さらに、大学生や社会人になると、みんな同じ時間割で動くというような決められたスケジュールがなくなり、自分でスケジュールに合わせて持ち物などを考えなければなりません。
このように年齢があがるにつれて、求められる自己管理能力の水準が高くなってきます。人は誰しも、どんなに「忘れないように気を付けよう!」と意識していたとしても忘れてしまうことはあります。しかし、忘れてしまう回数が多すぎると、「何で自分はできないんだろう…」と自信をなくしたり、「どうせできないだろうから」と人から信頼されなくなってしまったりしてしまいます。“忘れやすいタイプ”という根本を変えることは難しいかもしれませんが、忘れることを減らすための“補う方法”を身につけていくことは可能です。
「どういうステップから始めればよいのだろう?」、「自分の生活の中で、まず始めやすいのは何だろう?」など一人で悩まず、まずはお近くの相談機関または当カウンセリングでお気軽にご相談ください。

よく見られる行動

  • 学校へ持って行かなければならない物を、頻繁に忘れてしまうことがある。
  • 持っていく物を玄関の必ず通る、目のつくところに置いているのに、持つのを忘れて玄関を出てしまう。
  • (小学校~高校生であれば、体操服や上履きなどランドセルやメインのカバンとなるものに入らないものや、一人暮らしの大学生や大人であれば、ゴミ出しの日のゴミなど。)
  • 会議や打合せに必要な資料を、準備はできているのに持っていくのを忘れてしまう。
  • 友達との約束や会議・打合せの予定を忘れて他のことをしており、周囲からの指摘で思い出す。
  • 考えられる可能性

  • 気になったことに注意が移りやすい
  • 何かに取り組んでいる最中でも、頭の中に別のことが浮かんできたり、視界に入ってきたものが気になったりすると、今取り組んでいたことから他のことに注意が移ってしまう場合があります。多くの人の場合には、他のことに注意が向いても、今取り組んでいることは意識の中にしっかりと残っていることが多いでしょう。しかし、中には、「今取り組んでいること」と「途中で気になったこと」の両方を一時的に頭の中に保持しておくことが苦手な傾向を有している人もいます。

  • 1点集中型で、広い視野で物事や状況を見ることが苦手
  • 「学校に行かなければならない」とか「○分の電車に乗らなければならない」など考えていると、そのことで頭の中がいっぱいになってしまう場合があります。記憶の容量が少なく、1つのことを考えていると、その他のことを意識することが難しい傾向を有しているかもしれません。目の見え方としては異常がなくても、脳が認識できる範囲として狭い範囲でしか認識ができていない場合があります。

  • 瞬時に物事の優先順位や段取りを考える力が弱い
  • 記憶の容量とも関連がありますが、複数の情報を頭の中に保持しながら、同時にいくつもの処理を行うことに苦手さを有している場合があります。優先順位や段取りを考える際には、各情報の内容を記憶しつつ、優先度や効率性を考え、さらに並べ変えた順番も記憶しておくという、頭の中で行うステップが数段階におよびます。ステップの数は違っていても、日常生活の様々な活動の中で求められることが多いため、様々な場面で支障が生じやすい要因ともなります。

    ※これらは、『忘れ物が多い』という気になるポイントに対して、多くの割合で要因として考えられる可能性として挙げていますが、必ずしもこれらのどれかに当てはまるとは限りません。また、場合によっては、1つの要因に絞れず、複数の要因が絡み合っていることもあります。

    対応の具体例

    上記で挙げた3つの要因は重なり合うことが多く、対応方法として本人自身が身につける、最も大切なことは1つ、「メモを取ること」です。忘れ物を減らすためには、これを自分の行動パターンに取り入れ、自然にその行動ができるようになることが何よりも大切です。


  • 「メモを取る→確認する」を習慣化

  • 小学生の場合・・・連絡帳を必ず書けるようにする工夫が必要です。
    例)Step1.連絡帳を書く際に、先生から個別の声掛け。(先生と家庭との連携が大切です。)
      Step2.書いた連絡帳を先生に確認してもらう。
      Step3.帰宅後、親から子どもに連絡帳を確認するように声をかける。
      Step4.親に準備してほしいものと、子どもが自分でやらなければならないことを分けて、連絡帳を読み上げるように促す。
      Step5.子どもが自分でやらなければならないことは、一つずつ横で一緒に確認しながら進める。学年があがってくれば、自分である程度は進めた後で、親が確認をするという流れに変えていく。

    ※書くことが苦手で連絡帳が書けない場合や持ち物の管理に関する具体的な方法はこちら

    中高生の場合・・・縦書き・横書き、行の幅など自分に合ったノートを見つけましょう。
    常に持ち歩くものなので、好きなデザインの物を選ぶことをおススメします。付箋や簡単に切り離しができてしまうメモ帳などは、どこに貼ったかが分からなくなったりなくなったりする場合もあるので、ノート1冊にまとめていくことがいいでしょう。中学生以上になると学校に協力を求めることが難しい学校が多くなりますが、記憶の弱さ、メモ用のノートを用意していることなどを簡単に伝え、「重要なことはノートにメモを取れているか声をかけてほしい」ということをお願いし協力を仰げるか確認することが必要です。

    文字を書くことが苦手な場合
    ・子どもが受け入れられるのであれば、小学生の頃を同様の方法(詳しくはこちら)。
     ただし、中高生の場合には、親が準備するのではなく、子ども自身がパソコンを使って自分が使いやすいフォーマットを作れるようにする。
    ・板書がある場合にはスマートフォンなどのカメラでの認めてもらえないか学校に確認。
    (日本の学校は認められないことが多いので、それを前提とした確認ですが…)。
    ・友達にコピーをさせてもらえるように依頼するスキルを身につける。
    ・家庭では、お遣いを頼む時などにスマートフォンなどでメモを取って確認しながら買い物をするなどの練習を重ねる。

    大学生・大人の場合・・・自分に合ったメモの方法を探りましょう。
    ・手帳の場合には、一日1ページの手帳で、時間軸が書いてある手帳をおススメ。
     その日の予定やタスク、持ち物などがすべて1ページに書いてあることにより、予定・準備物の確認がスムーズに行えます。
    ・スマートフォンなどの場合にも、1つのアプリでまとめられるものを探す。

    ※複数の箇所にメモがあると、「メモを取ること」はできても、「確認すること」を忘れて、結果として忘れてしまう状態が変わらなくなります。そのため、1か所にまとめるということがとても大切です。付箋もバラバラになって、どこに書いたか分からなくなることが多いので、極力、使用は避けた方がいいでしょう。

  • 周囲からのこまめな声掛け
  • 習慣化して自然と「メモを取る→確認する」という流れができるようになるまでは、上記、「小学生の場合」のところで適宜、「声掛け」と入っているように、周囲からこまめな声掛けを行って、「やならいと」と思いだすきっかけ作りをすることが大切です。「もう中学生になったんだから」とか「もう高校生なのに」と言って叱ったり落胆する姿を見せたりするのではなく、「メモした?」、「確認した?」と短く確認する声掛けを行って、本人に「そうだ!あれ、書いとかないと!」、「メモを確認しないと!」と思い出させることを、自分で気付けるようになるまで何度も繰り返していくことが必要です。

  • 略語の習得・要点をまとめる練習
  • メモを取る時には、逐語で書く必要はありません。学生時代の授業名は「国語」→「国」で判断ができるなど、頻繁に使う用語は略語で書くように覚えていくことも必要です。また、相手が話している内容の重要なポイントをメモを取れるように、要点をまとめる練習も必要となります。

  • 相手に不快感を与えないようなメモの取り方を身につける
  • 大学生や大人で、特にスマートフォンやタブレットなどでメモを取る場合、黙って触っていると、相手がメモを取っているのか、話を聞かずにスマートフォンを触っているのか分からない場合があります。自分ではメモを取っていても、相手は話を聞かずにスマートフォンを触っていると怒らせてしまうこともあるかもしれません。また、手帳やノートに書く場合にも、話すよりは書く時間の方が長くなるため、書いている間に相手が話した内容が分からなくなり、二度三度と聞き返すことが生じて怒らせてしまうことになるかもしれません。そのようなことにならないために、「忘れるといけないので、メモを取らせてくださいね」などと一言伝えてからスマートフォンを触ったり、「忘れないためにメモを取りたいのですが、少し時間がかかってしまうので、ゆっくり話していただけますか?」と言ってメモを書いたりするなど相手に不快感を与えないような声のかけ方などを身につけていくことも大切です。

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