勉強についていけない
小学校入学後から国語・算数などの学習がスタートすると、学校での授業時間と放課後や休日に宿題など家庭学習を行う時間と勉強を費やす時間が長くなり、一日の生活の中の大半を“学習”が占めるようになります。
小学校入学直後からつまずいてしまう子どももいれば、小学校1~2年生はなんとかついていけていたものの、3~4年生頃から遅れが目立ち始めたり、小学校の時もなんとなくは気になっていたが中学になって大きく目立ち始めたりと、気になるポイントは子どもの成長段階によって異なってきます。
「勉強についていけない」と一言に言っても、ついていけない理由やどのような工夫をするとよいのかは人それぞれに異なります。合わない方法を試し続けることは、自信をなくしていくことにもなります。子ども、あるいはご自身に合った方法を見つけるためには、一人で悩まず、お近くの相談機関または当カウンセリングでお気軽にご相談ください。
よく見られる状態
考えられる可能性
1.全体的な発達水準(理解力)が低い
教科に関係なく、どの教科でも遅れが見られていたり、理解するまでに何回も繰り返し説明し問題を解くことが必要だったりする場合には、同年齢の子どもに比べて、全体的な発達水準(理解力)が低い可能性があります。発達水準が低い中でも、年齢相応と言われる水準との境界に位置しているような場合には、小学校1~2年生の頃は大きな遅れは見られないものの、3~4年生頃から遅れが目立ち始める場合があります。
2.応用力が弱い
算数で計算はできるが文章題になると難しい、国語で漢字は覚えられるが文章読解が解けないといった場合には、「パターンが決まっているか」、「応用力が求められるか」で解ける問題に違いが見られ、応用力の弱さを有している可能性があります。3.抽象的な内容の理解が弱い
小学校1~2年生の学習内容は具体的で答えが明確なものが中心となります。小学校3~4年生頃から学習内容の抽象度が上がり、図形問題など見えないものを頭の中で想像して考えなければならない問題が増えてきます。特に小学校3~4年生頃から学習内容を理解することに時間がかかるようになってきた場合には、抽象的案内容を理解する力の弱さを有している可能性があります。
4.見たものを脳が認識する過程で不具合が生じている
学年があがっても文字の読みがたどたどしかったり、文字や行の読み飛ばしが多かったりする場合、見たものを脳が認識する過程で不具合が生じている可能性があります。中学校入学後に英語が始まると、英単語が全く覚えられないという場合にも、ここに当てはまる場合があります。よくよく聞いていくと、小学校の頃も漢字を覚えることに苦労はしたものの、漢字は意味づけができるため本人なりに覚えやすい工夫を見出して、なんとかついていけていた場合があります。
しかし、英語になると、似たアルファベットでよく間違ってしまったり、英単語は単なる記号の配列となり覚える術が見つけられなかったりします。「読む」という作業では、文字の形を判別すること、目で認識した文字を音に変換すること、行ごとに目で追い続けること、意味をとらえながら文節で区切ることなど多くの処理を同時に行っていることになります。これらのどれか1つでもスムーズに行えないと、「読む」ことにつまずきが生じてきます。
5.見たものを手の運動へと伝達する過程で不具合が生じている
文字を書くことを極端に嫌がったり、学年があがっても枠や行の中に文字をおさめられなかったり、複雑な漢字になるとバランスが整わずに形態が崩れたりする場合には、見たものを手の運動へと伝達する過程で不具合が生じている可能性があります。「書く」という作業では、書く文字を判別して頭の中に一時的に留めておくこと、文字の画数とマスや行の大きさとのバランスを考えること、手を細かく操作することなどを同時に処理していくことになります。これらのどれか1つでもスムーズに行えないと、「書く」ことにつまずきが生じてきます。
※1~3の場合には知的発達障害、4、5の場合には(限局性)学習障害の疑いがあります。専門的に相談しながら、子どもに合った環境を整え、新たな学習内容を習得しやすい方法を探っていくことが大切です。
対応の具体例
1.全般的な発達水準(理解力)が低い
2.応用力が弱い
3.抽象的な内容の理解が弱い
学校に行っていても「ただ座っている」だけで子どもの生活の多くの時間を無駄に過ごし、スキルを身につけていくことができていないかもしれません。場合によっては、学級の変更などを考えていくことも必要となります。
しかし、学校で学ぶことは勉強がすべてではありません。勉強はついていけないけど休み時間には友達と楽しく遊んでおり、学級活動にはみんなと協力して積極的に参加しているなどの場合には、勉強は最低限と求める水準を下げて、長所を伸ばしていけるように促しながら将来的に子どもの特性に合った進路選択ができるように早いうちから探していくことが必要な場合もあるでしょう。
4.見たものを脳が認識する過程で不具合が生じている
5.見たものを手の運動へと伝達する過程で不具合が生じている
小学校では国語は縦書き、算数は横書きなど教科で決まっていたり、学年でマスの大きさが小さくなったりリーダー線がなくなったり決めっていたりすることが多いです。そのような変化の中で、どのタイプだとやりやすそうなのかを探っていくことが大切です。しかし、子どもによって、みんなと違うことをすることに抵抗を感じる場合もあるので、「こっちの方がやりやすいだろう」と思っても子どもが嫌がるタイプのものを無理やり使わせることはないようにしましょう。
また、筆記具においても、三角鉛筆がいいのか、丸い鉛筆でも大丈夫なのか、シャーペンがいいのか、シャーペンにしてもどのようなシャーペンが使いやすいのか、など子どもの手に馴染みやすいものを色々と試してみることが大切です。
書くことが苦手な子どもは、書くことに大きなエネルギーを使うため、考えたり考えたことを記憶として一時的に保持したりするなど頭の中での処理を行いながら書くということに困難さがあります。そのため、「考える」というステップと「書く」とステップを分けるために、代筆してあげたものを書き写すという段階を踏むことが重要になるのです。
※4、5の場合、「ビジョントレーニング」というトレーニング方法があります。どこに不具合が生じているのか、詳しい検査ができる専門機関は日本では数がとても限られており、専門的にトレーニングを受けることができるのは全国でごく一部の方のみかもしれません。しかし、一般向けの書籍やパソコンソフトが販売されていますので、気になる場合には参考までに調べてみてください。
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