カウンセリングは、カウンセラーとの対話を通じて、今抱える不安や葛藤の解消を目指すものです。でも、きちんと効果が得られるのか、どこで受ければいいのか、分からないことは多いですよね。
カウンセリングはどんな時に受ければいいのか、どういった効果があるのか、またカウンセラーの資格として有名な「臨床心理士」についてご紹介します。
臨床心理士とは、臨床心理学に基づき、心の問題にアプローチする「心の専門家」です。心理テストなどを通じて個々人の独自性や特徴を明らかにする臨床心理査定や、精神分析や箱庭療法などを用いて心の支援をする臨床心理面接など、専門行為に精通します。
誰でも名乗れるものではなく、指定大学院・専門職大学院の修了を基本とする受験資格を取得した後、筆記と面接の試験に合格することで資格を取得できます。
臨床心理士と似た資格として「公認心理師」があります。臨床心理士が民間資格である一方で、公認心理師は公認心理師法に基づき2017年に誕生した国家資格です。ただ、臨床心理士資格を有する人は基本的に公認心理師資格も取得しており、現在は大きな差はありません。
病院によっては、精神科医がカウンセリングをおこなうこともあります。しかしその場合はあくまで「服薬の量が適切か見極める」「どのような治療が必要か判断する」ことが目的なため、臨床心理士やカウンセラーがおこなうものとは異なります。
トラウマやパニック障害など、心のケアによる解決が必要な課題がある場合には、臨床心理士のカウンセリングが有効です。
過去の記憶を思い出してつらくなることや、つらい記憶を連想する場面を避けるといったトラウマの症状があると、さまざまな場面で生きづらさとなってあらわれます。しかし、カウンセリングによって自分が安全であるという感覚を覚えることができれば、トラウマは解消に向かいます。
パニック障害についても同様です。不安を引き起こすものごとに対する認識を変えることによって、パニックの発生を防ぐことができます。
カウンセリングは心の病気のためのものだけでありません。直面している問題に対して、心理のプロの意見を取り入れたい場合にも臨床心理士のカウンセリングが有効です。
たとえば、恋愛で悩んでいる時。臨床心理士は具体的なアドバイスは行いませんが、恋人や自分の言動が、どのような心理状態によって行なわれているのかを、理論的に明らかにしてくれます。言動の裏にある心理状態が理解できるようになると、おのずと自分の取るべき行動がわかるようになってきます。
医療機関(精神科・心療内科)への受診を考えるタイミングで、一度カウンセリングを受ける方も多くいます。カウンセリングでは診察・診断はおこなえませんが、「医療機関の受診が推奨される状態か」をカウンセラーがお伝えすることは可能です。
もし精神的につらい日々が続いている中で、医療機関への受診にためらっている方がいらっしゃったら、まずはカウンセリングを検討するのもよいでしょう。
周りには相談しにくいテーマや「笑われないか」「批難されないか」と不安になるようなことをカウンセリングで相談する方も多いです。
誰かにとっては取るに足らない話題でも、当人にとってはとてもつらい経験であることは珍しくありません。カウンセラーは批判せず、評価せず受け止めるので、「誰かに話を聞いてほしい」「このモヤモヤをどうにかしたい」と考えている時にもカウンセリングはおすすめです。
カウンセリングは基本的に保険適用されないため、料金はすべて自己負担となります。休職・離職中の方を含め、経済的に余裕がない状態だと、一回一回のセッションが負担になってしまうかもしれません。
カウンセリングは継続的に受けることで効果を得やすくなるものです。複数回利用することも考えて、精神的・経済的に無理がないかを確かめましょう。
医療機関での治療は、基本的には薬物治療が中心になるかと思います。しっかり話を聞くというよりは、生活の変化や睡眠の状況、薬の効き具合などから必要な薬の判断、生活環境の調整などをおこなうため、「もっと話を聞いてほしい」と感じる方もいるでしょう。
通院や服薬は続けたまま、主治医と相談しながらカウンセリングを利用される方もいます。 ※cotreeの場合、通院中の方がカウンセリングサービスを利用する際には主治医の許可が必要となります。主治医の判断によってはカウンセリングをご提供できない可能性もありますので、ご了承ください。
カウンセリングを受けると、実際にはどんな効果を得られるのでしょうか。人によって異なりますが、代表的なものとしては下記の3つがあります。
悩みや葛藤を話し、そしてカウンセラーから受け止めてもらうことで、「分かってもらえた」「味方になってもらえた」と感じられるでしょう。安堵感を得ることでリラックスでき、悩みと向き合う余裕がうまれます。
カウンセリングでは、出来事や自身の感情の流れについて、客観視します。一つひとつ言葉にすることで、なんとなくモヤモヤしている状態から脱却し、問題と冷静に向き合えるようになるでしょう。
「いつも同じような流れで仲違いしてしまう」「ダメと分かっているのに、つい冷静に対処できなくなる」など、繰り返し起きる問題がある場合、ある思考パターンや行動パターンにはまっている可能性があります。
自分自身が持っている思考のクセに気付くことで、自分に合った対処法を考えられます。今抱えている問題への対応策だけでなく、「今後自分がより生きやすくなるにはどうすればいいのか」を考えてみましょう。
臨床心理士のカウンセリングは、さまざまな場所で受けられます。
企業・学校によっては、臨床心理士が在籍し従業員・学生を対象にカウンセリングを実施しているところもあります。 カウンセリングルーム・相談室に行けばいつでも相談できる、事前に申請書で申し込みが必要、上司や先生に伝える必要があるなど、予約・利用方法は企業・学校によって異なります。
心療内科や精神科の中には、カウンセリングを実施していたり、外部のカウンセリングルームと定型している病院も多くあります。 興味のある方は、一度主治医の方に相談してみましょう。精神科医が必要だと判断した際には、カウンセリングが保険適用され、医療費控除を受けられる可能性もあります。
精神保健福祉センターや保健所、ハローワークなど公的機関でも、臨床心理士への相談を受けつけています。全国に設置されていますので、地域の相談窓口を調べてみるとよいでしょう。
住んでいる地域にカウンセリングルームがあれば、継続的に通いやすいですし、心理的なハードルも下がりますね。都市部に集中する傾向にはありますが、対面式のカウンセリングを希望する場合にはぜひ探してみてください。
地域にカウンセリングルームがない、対面でのコミュニケーションに不安がある、仕事の影響で時間の都合をつけづらいといった方には、オンラインカウンセリングサービスがおすすめです。
カウンセリングは、継続することで効果を得やすくなります。臨床心理士のカウンセリングを希望する場合、料金相場は以下の通りです。
対面カウンセリングの平均料金は、都市部では1回10,000円前後、地方では7,000円前後です。カウンセリングルームの立地条件やカウンセリングの時間帯、カウンセラーの保有資格などによって料金には差があります。 悩みや症状の内容により、回数を重ねなければならない場合もありますので、ある程度の費用はかかると考えておいたほうがよいでしょう。
カウンセリングは、多くの場合自費で受けることになります。臨床心理士によるカウンセリングが保険適用となるのは、精神科医との共同で治療としてカウンセリングが行なわれた場合のみです。 医療費控除についても同様で、臨床心理士単独のカウンセリングについては、医療費とは扱われず、控除の対象外となります。
臨床心理士のカウンセリングを希望する方には、cotreeのオンラインカウンセリングがおすすめです。
cotreeには180名以上のカウンセラーが在籍しており、うち約90名が臨床心理士の資格を所有しています。その中からあなたにピッタリのカウンセラーを見つけましょう。
医療機関や学校での勤務経験がある、企業で働いた経験があるなど、さまざまなカウンセラーがcotreeに登録しています。カウンセラーごとに得意分野や経歴を細かく確認できるので、自分と似た経歴をもつカウンセラーや、相談したい事柄が得意領域のカウンセラーを探すことも可能です。
cotreeでは、「話すカウンセリング」は1回5000円から、テキストでおこなう「書くカウンセリング」は2週間8000円から利用できます。相場と比較すると安価な傾向にあるため、経済的な負担が少ないかたちで継続できるでしょう。
今までカウンセリングが必要だと思ってはいたんですが、近場では受けたいと思うカウンセラーの方もいなくて、カウンセリングをしたいなぁと思うだけでした。 たまたま検索したらコトリーさんを見つけて、すぐに相談し、書くカウンセリングに申し込みました。 マッチングまでにお時間いただきます、とご連絡いただきましたが翌日には決まってびっくりしました。 カウンセラーさんの紹介動画もあったので、お話を聞いて優しそうな方だなぁ、と不安もなく始められました。
今まで、ここが多分おかしいとか、こんなところを直したいと、ひたすら長文を打ち込みました。 お話をしっかりと優しく聞いていただき、受け止めていただけて、とても嬉しかったです。 どんな話でも聞いていただける、と思ったら、何かトラブルがあっても遠山さんにお話しよう、など思うようになり一人で悶々とすることが減りました。 (良い依存先が出来たというか)
相談する前には時々育児に疲れたり自分にいっぱいいっぱいになったりして、「死にたい」と思うこともありましたが、今は思う前に「相談しよう」と思える先が出来てほんとに良かったと思います
生きにくい現状をどうにかしたくて、カウンセリングしてみたい、と思うようなら、まずは試しに思いを吐露するつもりでも良いので登録してみたら良いのではないかと思います。 30代・女性
以前から、もっと気軽にカウンセリングを受けることができたらと考えていましたが、地域的に、また時間的な制約で断念していました。
実際にカウンセリングを受けてみて、セーフティな場で、プロとのコミュニケーションの中で、声に出して自分の考えを言語化することができ、思った以上に気持ちが軽くなりました。 なにか問題解決に向き合っていると、視野狭窄に陥りがちですが、カウンセラーさんが中長期的な視点で、できるだけ中立な立場で質問を繰り返してくださったので、違った視点で問題を眺めることができてありがたかったです。 30代・女性
丁寧にお話を聞いてくださって、ありがとうございました。柔和な雰囲気で、落ち着いて話ができたかなと感じています。 特に、質問にすぐ答えられなかった時、カウンセラーさんがおっしゃった「正解はないと思うので、ぱっと思いついたものを話してくださって大丈夫ですよ」という言葉が胸に残っています。「正解を出さないと」「質問には適格に応えないと」というような力みが自分の中にあったんだなと気づきました。
話が逸れても指摘することなく受け止めてくださり、また丁寧にまとめてくださるので、安心して話せました。話題がかわっても、気持ちがかわっても、「“私のことを扱う”ことには変わりない」と伝えてくださったことが、安心感につながったのではと思います。
今抱えている課題については、無理に正解を出そうとするのではなく、腰を据えてじっくり考えてみようと思います。気分の上下もあると思いますが、また次回もよろしくお願いします。
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参考文献 臨床心理士とは|公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会