・家族・親から愛されずに育ったと感じている ・自分はアダルトチルドレンだと思う ・家庭環境の問題をずっと引きずっている ・子供の頃から本心で楽しめない、常に完璧でいようとしてしまう
家族内の対立や虐待、親の過干渉など、子供自身の人格が尊重されず、無意識に子供が抑圧されるような家庭環境で育った方の中には、大人になっても生きづらさを抱え、健全な人間関係を築けない方がいます。
今回はそうした子供の頃の体験から、大人になった今も苦しんでいる方へ向けて、「アダルトチルドレン」の原因や解決策、カウンセリングを受ける効果をご紹介します。
まず、アダルトチルドレンとは何なのか、その意味や歴史、引き起こされる問題についてお伝えします。
アダルトチルドレン(Adult Children:AC)とは、子供の頃の家族環境によってトラウマ(心的外傷)を受け、傷ついたまま大人になった人のことを指します。
家庭内の問題とは、アルコール依存症やギャンブル依存症のような嗜癖障害(依存症)のある親がいる、機能不全家族、虐待など、多岐に渡ります。
特定の病名を指すものではないため、診断などを受ける必要はありません。「アダルトチルドレンだ」と自分が認識しているかどうかが重要です。
アダルトチルドレンは最初「Adult Children of Alchoholics」と言われてしました。これは「アルコール依存症の親の元で育ち、成人した人」を指します。
飲酒による暴言や暴力、またそれらから守られない家庭環境、両親の言い争いを日常的に目の当たりにすることで、次第に自己否定感が大きくなります。その自己否定や無力感が成人してからも拭えず、生きづらさを持ち続けてしまうのです。
この概念が、アルコール依存症の親を持つ人に限らず、他の嗜癖障害(依存症)や虐待など、さまざまな問題から適切に機能していない「機能不全家族」で育ち苦しんでいる人も対象として広がりました。これが現在の「アダルトチルドレン」です。
アダルトチルドレンは病名などを表す医学用語ではありません。しかし、家庭の影響でトラウマや生きづらさを抱えることにより、二次的に精神疾患の症状が現れることがあります。
例えばアルコール依存症などの嗜癖障害、うつ病、不安障害、摂食障害などです。
他にも、人とのコミュニケーションに支障をきたしたり、自信が持てなかったりと、さまざまな影響を受ける可能性があります。
アダルトチルドレンの要因はいくつかありますが、その多くは親との関係性や、生育環境にあると考えられています。代表的な要因としては、以下のようなものが挙げられます。
身体的虐待や性的虐待、育児放棄(ネグレクト)、心理的虐待など、虐待を受けており、またそれらの暴力から守られない環境で育つと、心身の成長が妨げられ、自己肯定感を持ちにくくなります。
機能不全家族とは、家族としての機能を果たせない家族環境を指します。子供の人格が尊重されず、家族との信頼関係がうまれない場合、成人してからも影響を受けます。
具体的には、夫婦間や家族関係に亀裂がある、親の過干渉、家族が依存症を抱えているなどが挙げられます。子供へ直接暴力が振るわれなくても、家族同士で対立する様子を見ることも悪影響を及ぼします。
アルコール依存症など、嗜癖障害によって子供の生育環境が守られなくなるケースも。
例えばアルコールに関心が向くあまりに子供への興味が薄くなったり、依存症の症状から子供に暴力を振るったり、といったことが考えられます。
注意が散漫になりやすかったり、癇癪を起こしやすかったり、子供によって体質や特性はさまざまです。しかし、それを親が認識できず、無理に教育しようとすることによって、支配的な関わり方や、場合によっては虐待につながるおそれもあります。
虐待などの不適切な養育を続けることで、子供の発達に悪影響を及ぼすのです。
アダルトチルドレンと一口に言っても、すべての人が同様の反応をするわけではありません。アダルトチルドレンは主に5つのタイプに分けられます。
「親からの期待に応える」ことを第一に考える、優等生のようなタイプです。親から褒められる、親を喜ばせるために、勉強やスポーツで良い評価をもらおうとします。
しかし、少しでも失敗をすると、途端に心が挫け、つよい自己否定の感情をもってしまいます。
周囲からは「しっかり物」「大人びている」と評価されることが多いのですが、実際には本人は常に追い詰められており、家庭内の雰囲気を悪くしないように必死に努力を積み重ねているのです。
親の興味をひこうとして、わざと成績を悪くしたり、問題行動・非行に走ったりするタイプです。学校や近隣では「問題児」として扱われやすいのですが、「親にもっと気にかけてほしい」と考えているだけなのです。
気持ちを正直に伝えられないため、成人してからも、粗暴な態度やひねくれた言動から、人間関係に支障をきたすこともあります。
自分の考えや感情を一切表現せず、存在感を極限までなくす、まさに「いない子」といえるタイプです。「自己主張をすると問題が起きる」と考えているため、親を刺激しないために、自己表現を控えるようになります。
大人になってからも自己主張に苦手意識や恐怖心を持つ方が多いです。
親の言うことに従順に従い、自ら家事や弟妹の世話をするなど、献身的に家族に尽くし、家庭を支えようとするタイプです。
周りからは「面倒見がいい」と評価されることが多いのですが、「自分を犠牲にしてでも、人の役に立って認められたい」という気持ちを持っているため、時に自己犠牲的な行動を取ることも。
成人してからも自虐的な行動を取ったり、心身のつらさを伝えずに無理をしたりすることがあります。
沈み込んだ空気を和ませようとするタイプです。ふざけたり、冗談を言ったりすることで、周りを盛り上げようとします。
周囲からは「ムードメーカー」「子供っぽい」と評価されやすいのですが、実際には無理をしていることも珍しくありません。苦しさやつらさを一切見せずに、常に明るく陽気な態度でいようとするためです。
周囲の雰囲気を常に敏感に察知しようとしているため、常に心は張りつめていて、ストレスフルな状態が続いています。そんな本来の自分と、他者から見える「ピエロ」としての自分のギャップに苦しむ人もいます。
アダルトチルドレンの苦しみを解消し、自己肯定感を育むには、どうすればよいのでしょうか。代表的な解決策をご紹介します。
自助グループとは、同じ悩みを持つ人同士で気持ちを共有することで、苦悩や葛藤を癒そうとする取り組みです。
一人で抱え込んでいた気持ちを話し、受け入れてもらえることで、少しずつ悩みを癒していくことを目指します。また、同じ悩みを抱える人がいると理解することで、孤独感を解消したり、心強さを得たりする効果が期待できます。
アサーティブコミュニケーションとは、「相手を尊重しながら、自己主張できる関わり」のこと。一方的に気遣ったり、依存したりするのではなく、お互いに信頼しあえるつながりを持つことで、少しずつ傷つきを癒せるはずです。
友人や恋人との関係性が、アダルトチルドレンの苦しみを癒してくれることもあります。
アダルトチルドレン自体は特定の疾患を指す言葉ではありませんが、アダルトチルドレンによって、ストレスフルな状態が続き、心身の不調につながることもあります。
そういった身体症状や精神疾患を緩和するために、薬を活用するケースも。薬物療法自体は一時的な対処法ですが、心や身体を楽にすることで、根本の問題に取り組みやすくなります。
カウンセラーとの対話を通じて少しずつ自己理解を深め、自身の苦しみを受け止めることで、アダルトチルドレンの傷つきを癒します。
心理の専門家であるカウンセラーと一緒に出来事や感情を整理したり、自分に合った解決策を考えたりすることで、根本的な解決を目指すことができます。
カウンセリングでは、具体的にどのようなことができるのでしょうか。受ける方の生活環境や心理状態によってアプローチは異なりますが、代表的なものとしては下記の4つがあります。
ストレスフルな空間に長くいたり、人格が尊重されない関係性が続いたりすると、物事を悲観的に考えやすくなります。アダルトチルドレンの方の中にも、「自分はダメな人間なんだ」「価値がないんだ」と偏った考え方をする方もいます。
こうした偏った考え方、認知の歪みについて「現実の出来事と食い違いはないか」を検証し、認知の偏りを修正するのが「認知行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)」です。
カウンセリングではこうした手法を介して、今の考え方が現実の事実と乖離していないかを整理し、過去の出来事の捉え方を見つめ直していきます。
厳しい環境で幼少期を過ごすと、知らず知らずのうちに周りの意見を優先し、自分の価値観や考えを軽視するようになります。
カウンセリングでは、自己理解を深めることで、自分がどんな価値観を持っていて、どんな出来事に影響を受けているのかを整理します。
他人と親密になることを過度に恐れる、愛情を試すような行動を繰り返す、急に距離を縮めようとしたり、逆に遠ざけたりするなど、アダルトチルドレンで悩む方の中には、偏った対人関係のパターンを繰り返す方も。
また、自己主張することへの恐怖心があるため、被害を受けても言えない、常に平気なふりをして自分自身を追い詰めてしまうという方も多いのです。
こうした「対人パターン」を見直して、健全な人間関係を築くことを目指します。
アダルトチルドレンの方の中には、そもそも自分が虐待を受けた、機能不全家族で育った自覚がなかったり、出来事は覚えていても当時の感情を見ないようにしていたりする方が少なくありません。つらさのあまり、感情に蓋をして、苦境を耐えようとするのです。
それでも過去と向き合いたいという場合には、カウンセラーが心理の専門家として心身の状態を見極めながら、少しずつ過去の出来事と向き合うことも可能です。
カウンセリングを受けられる施設は複数あるので、希望する条件に合う場所を探しましょう。
悩みを抱えている方へ向けて、公的機関が設置している相談窓口があります。アダルトチルドレン専門の窓口は限られるのですが、「孤独感を癒したい」「誰かに話を聞いてもらいたい」と考えている方は、まずは無料の相談サービスを利用してみるのもよいでしょう。
精神科や心療内科の中には、アダルトチルドレンで悩む方を対象としたカウンセリングを実施しているところもあります。病院内にカウンセリングルームがなくても、外部のカウンセリングルームと提携している病院もありますので、興味ある方は相談してみるとよいでしょう。
カウンセリングは継続的に受けることで効果を得やすくなるので、無理なく通えることが重要です。中にはアダルトチルドレンを専門としているカウンセリングルームもありますので、興味のある方はインターネットなどで調べてみてください。
「カウンセリングルームに通っていると知られないか不安」「仕事が忙しくて通う時間が取れない」という方におすすめしたいのが、オンラインカウンセリングです。対面カウンセリングと比べると時間に融通が利きやすいため、自分の都合に合わせて受けられます。
カウンセリングの料金は、立地や対応内容によっても異なりますが、1回のセッション(45分~60分)あたり、1万円程度かかることが多いようです。
cotreeのオンラインカウンセリングでは、1回45分のセッションが5,500円(税込)から受けられます。
また通話でのカウンセリングの他に、テキストでやりとりできる「書くカウンセリング」もあり、こちらは2週間あたり8,800円(税込)です。
アダルトチルドレンの相談をしたい方には、cotreeのオンラインカウンセリングがおすすめです。
cotreeにはアダルトチルドレンの相談を受け付けているカウンセラーが70名以上在籍していて、その中から自分に合うカウンセラーを探すことができます。性別や年代、所有資格などを事前に細かく確認できるのもcotreeの特徴のひとつです。
cotreeには、ビデオ通話・音声通話の「話すカウンセリング」と、テキストでおこなう「書くカウンセリング」があります。
書くカウンセリングはスマホで気軽に相談できるので、「家族に知られないか不安」「対面でのコミュニケーションは緊張する」という方でも安心して相談しやすいかと思います。
一般的な料金相場に比べカウンセリングの料金が安価なことに加え、cotreeでは複数回分を一度に購入すると一定額割引される「パック購入」もできますので、継続して相談しやすいでしょう。
アダルトチルドレンのような長く付き合ってきた性質の場合、変化させるには時間がかかる場合もあります。経済的な負担も考え、利用するサービスを検討したいですね。
***
今回は、子供の頃の体験をきっかけに、成人した今も悩まれている方へ向けて、アダルトチルドレンの特徴や原因、そして克服するための方法をご紹介しました。
なかなか人に話せない悩みも、カウンセラーは真摯に受け止めてくれます。カウンセリングではどんな話をしても大丈夫ですので、ぜひ気軽にご利用いただければと思います。