・憂うつな気持ちがずっと続いていて、私生活や仕事に支障が出ている ・うつ病チェックをしたら、うつ病の可能性があると言われた。 ・行動習慣を見直すためにカウンセリングを受けたいのに、通っている病院で受けられない
憂うつな気持ちを長く抱えている方、またうつ病の診断を受け現在治療中の方に向けて、カウンセリングの効果や受け方をご紹介します。
うつ病とは、身体的・精神的ストレスが重なる等、さまざまな要因で脳の機能障害が起きている状態です。脳の働き方が鈍くなるため、普段なら乗り越えられるストレスが大きな負担となったり、自己を否定するような感情が湧いたりします。
うつ病の症状には「身体症状」と「精神症状」があります。集中力の欠如や意欲の低下など、精神的な症状をイメージされる方が多いかもしれません。しかし実際にはうつ病と診断される方の6割以上は内科を受診。心療内科・精神科を最初に受診する方はあわせても1割未満です。それほど身体症状から自覚する方が多いのです。
・眠れなくなったり、早朝・夜中に目が覚めたりする ・食欲が落ちる、もしくは食べすぎる ・以前よりも疲れやすく、回復しにくくなる ・動悸、めまい、便秘などの自律神経症状がある ・理由がなく涙が止まらなくなる
・憂うつな気持ちが長く続く ・これまで好きだったことをしても楽しくない、興味がわかない ・常にイライラしている ・自分が何か悪いことをしているように感じ、追い詰めてしまう ・仕事でミスが増える、集中力が低下する
ここに挙げた項目以外にも、普段と違う心身の調子があった時には、ストレスをためすぎていないか、見直すとよいかもしれません。
休息を十分にとり、また服薬等の効果が出ると、つらい気持ちや症状が落ち着き、状態が安定していきます。徐々に復職や社会復帰を検討する段階へと移り、活動できる時間が増えるでしょう。
うつ病は、本人では気付きづらいものです。集中力を欠いたり、無気力が続いたりする中でかえって「もっと頑張らないと」「怠けていてはいけない」と追い詰めてしまうことも少なくありません。家庭や職場での様子から、周りの人が気付くことも多いようです。
上記で挙げたような症状がないか、つらい気持ちがずっと続いていないか、意識して振り返ったり、家族で気に掛け合ったりすることが大切です。
うつ病の治療というと、薬物療法や環境調整をイメージされる方が多いかと思います。カウンセラーとの対話には、どのような効果があるのでしょうか。
精神科等では、薬物療法を中心におこないます。自身の苦悩やストレスについてじっくり話すことは難しく、心理面の負担を吐露できずにいる方は多くいます。
「自分では努力しているのに事態が好転しない」「周囲と比較してつらい」といった不安をカウンセラーに共有し、受容してもらうことで、「分かってもらえた」と感じ、安心感につながります。
うつ病などの状況にある場合、物事の悲観的な面にばかり着目する方が多くいます。そうした認知の歪みをカウンセリングを重ねながら修正していくことで、自身の物事の見え方のクセや、行動パターンに気付くことができます。
カウンセリングでは、現在の不安の共有だけでなく、今後の解決策についても話しあえます。ストレスを溜め込まないためにできることや、これからどういった点に気を付けて過ごすとよいのか、心の専門家と一緒に考えることで、より負担の少ない生活を送れるようになるでしょう。
復職される方や、うつ病の回復期にある方にとって「再発しない」ことはとても重要です。カウンセリングでは、うつ病が再発しない、つらい気持ちを抱え込みすぎないようにする方法を一緒に考えることもできます。
症状が落ち着き復職を考え始める際には、復職計画を立てたり、主治医や上司と連携を取ったりと、するべきことが多くあります。また「はやく復帰しないと」と焦り、かえって完全復職まで時間がかかる可能性も。
カウンセリングでは、あなたの気持ちに寄り添いながら着実に目標達成に向けてスモールステップを積み重ねることができます。計画の立て方や連携の取り方も相談できるので、より自分に合った方法・ペースで復職に向かえるでしょう。
うつ病を発症する前には、生活習慣の乱れや重いストレスがあることも。カウンセラーとの対話の中で自身の生活、行動習慣を見直してみましょう。
うつ病を発症する前には、生活習慣の乱れや重いストレスがあることも。カウンセラーとの対話の中で自身の生活、行動習慣を見直してみましょう。
仮に医師が「カウンセリングが必要」と判断しても、本人が必要性を感じていない場合には、カウンセリングを受けても効果は得にくいでしょう。カウンセリングでは「自分自身がカウンセリングを必要に感じている」「カウンセリングに効果があると期待している」ことがとても大切です。
原則として保険適用されないカウンセリングは、1回あたり平均1万円ほどがかかります。カウンセリングは継続して受けることが前提のため、経済的に余裕があるかどうかも重要になります。
「まだ自分には必要ない」「興味はありつつも受けるきっかけが掴めない」と考える方は多いかもしれませんが、カウンセリングはいつ、どのようなタイミングで受けてもいいものです。必要性を感じたら、ぜひご検討いただければと思います。
体調や状態によってカウンセリングで扱うテーマや話の進め方は異なりますが、うつ病のためのカウンセリングでは、以下のような内容を話します。
うつ病は誰でもなり得るものですが、「相談しにくい」「周りにバレたくない」と考える方もいるでしょう。
不安やストレスは、言葉にして誰かに共有することで軽減できることもあります。守秘義務があるため、カウンセリングで話した内容が誰かに知られることはありません。まずはカウンセラーと、今感じている不安やストレス、解決したい課題を言語化してみましょう。
うつ病のメカニズムや治療のプロセスについて、インターネットで検索するとさまざまな情報が出てきます。しかしただでさえつらい状況の中、信憑性の高い情報を抜き出すのは至難の業です。
治療方針などについては主治医に確認することが一番ですが、時間的・資源的な制約から、十分な話し合いができない時もあるでしょう。カウンセラーと共に復職・復帰までにふむステップや今の状態を深く知ることで、安心できることも多いはずです。
身体のストレスサインを無視してしまうような思考や、生活習慣の乱れなどの行動は、心身を追い詰めてしまいます。こうした思考・行動習慣は無意識のうちに繰り返すことが多いもの。
カウンセラーとのやりとりを通じて、自分はどんな思考パターンをもっているのか、どの行動に課題があるのかを見直してみましょう。
よくない思考・行動習慣があると気付いたら、それを改善する方法を考えます。認知行動療法や対人関係療法などの問題解決的アプローチで、考え方や行動の癖を変化させていきます。
カウンセラーとコミュニケーションの練習をしたり、思考パターンを見直すためのワークを実施したりする時もあります。
思考習慣ひとつをとっても、幼少期の体験や心の動き、培ってきた価値観が複雑に絡み合っていることが多いものです。これまでの生き方について深く聞き取りながら、「なぜいまの心の状態になっているのか」を考えます。
カウンセリングを検討する際、気になるのはやっぱり「料金」ですよね。カウンセリングは複数回受けることが前提なので、どのくらいの費用がかかるのか確認しましょう。
カウンセリングは地域やカウンセラーの所有資格、経験などによって異なりますが、都市部の場合には40~60分程度のカウンセリングが1回あたり1万円前後かかります。全国的に見ても、1回あたり6千円~1万円が多いなようです。
■参考:カウンセリング料金の相場は? 料金設定の理由と保険適用について https://cotree.jp/columns/1191
カウンセリングが保険適用になるのは、下記4つのいずれかに当てはまる場合です。
うつ病などの「気分障害」、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害または心的外傷後ストレス障害(PTSD)の「不安障害」に対する治療です。1回につき30分以上行うことが要件で、医師による場合だけでなく、医師と看護師が共同して行う場合も含まれます。
適用される精神疾患は、統合失調症、躁うつ病、神経症(不安障害)、中毒性精神障害(アルコール依存症など)、パーソナリティ障害などです。通院は、精神科の医師によるものが適用となり、心療内科では適用されません。
1回につき45分を越えた場合に適用されます。
2020年の改訂で、発達障害など児童思春期の精神疾患に対する、公認心理師によるカウンセリングが保険適用となりました。ただし、「初回のカウンセリングは医師」「医師の指示のもと20分以上」「3カ月に1回は医師が行う」と3つの要件に当てはまる場合のみ適用されます。
保険が適用される場合、医療費控除の対象となります。
医療費控除の対象になるのは、心療内科や精神科の医師による診療および治療費のみです。カウンセラーによる治療は対象とはなりませんので、ご注意ください。
■参考:カウンセリング保険適用の3つの条件|保険適用外の理由と背景 https://cotree.jp/columns/1221
カウンセリングを受け、効果を実感できるまでの期間は、その時の状態や相談内容によって異なります。基本的には、症状が重たいほど、カウンセリングの期間も長期にわたるとされています。
ただ、「話をじっくり聞いてもらえた」「気持ちを理解してもらえた」という安心感は、初回のカウンセリングから感じられる方が多いです。最初からすべてを話さなくてもかまいませんので、カウンセラーとの信頼関係を築きながら話を進めましょう。
復職でき悩みが解消された後も、定期的な感情のモニタリングや、不調の防止を目的として、継続的にカウンセリングを続ける方もいます。
カウンセリングは、どこで受けられるのでしょうか。今回は「無料で受けられるサービス」「医療機関(精神科・心療内科)」「オンラインサービス」の三つに分けてご紹介します。
公的機関などが開設している相談窓口の場合、カウンセリングを無料で受けることができます。対面だけでなく、電話やメールなどさまざまな方法で相談できるため、経済面に不安のある方やまずは試しに相談してみたいという方におすすめです。
また、企業や学校に産業医、カウンセラーがいる場合には、無料で相談できることも。定期的に通うところの相談室は利用するハードルが高いかもしれませんが、「いまの自分には治療や通院が必要なのか」といった段階から相談が可能です。
医療機関のなかには、カウンセラーや臨床心理士が駐在しているところも。現在通院されているところでカウンセリングを提供している場合は、主治医と連携しながらカウンセリングを受けられます。 カウンセリングが提供されていない場合も、病院外のカウンセリングルームと提携している可能性があります。医師に確認してみましょう。
提携や紹介をおこなっていない場合には、自身でカウンセリングルームを調べる必要があります。インターネットを活用し、対面式のカウンセリングルームを探しましょう。
相談内容や住んでいる地域によっては、最適なカウンセリングルームが見つからないこともあるでしょう。その際には、オンラインで提供されているカウンセリングがおすすめです。
対面式のカウンセリングよりも比較的安価で、時間の都合もつけやすいかと思います。いまは多くのオンラインカウンセリングサービスがあるので、ご自身の希望に添ったサービスを探してみてください。
大きな不安を抱えている方、医療機関に通院中の方は、カウンセリングがかえって逆効果になってしまう可能性も。そうならないよう、下記の点に留意しながら、カウンセリングサービスをご利用いただければと思います。
カウンセリングの効果を正しく得るためにも、心身の状態は正確に伝えることが大切です。
例えば「はやく復職したい」と考えて症状を軽く伝えた場合、復職ははやくできるかもしれませんが、その後長く働けなくなったり、現在よりも重い状態になったりする可能性もあります。今の状態に合った方法を選ぶことが重要です。
カウンセリングを一回受けて感じられる効果の多くは「話してスッキリした」「味方がいると感じて安心した」といったものです。行動習慣の変化や落ち込みやすさの軽減などを得るには、カウンセリングを継続的に受ける必要があります。
かといって、毎日カウンセリングを受ければはやく効果があらわれるということもありません。結果を急がず、ゆっくり向き合う気持ちを持ちましょう。
カウンセリングのステップは、あなたのペースで進みます。急ぐ必要はありませんし、何か分からないことがあればいつでも聞いて大丈夫です。
納得感を持って進められることが重要なので、無理のない範囲で取り組みましょう。
カウンセリングに対してネガティブな感情をもった時には、無理をせず中断したり、期間を長めにとったりしましょう。なおその際には、自己の判断でおこなうのではなく、できるだけ事前に主治医やカウンセラーに相談することが大切です。
そのためにも、カウンセリングの進め方等に疑問を抱いた時には、はやめに相談できるとよいですね。
通院されている方の場合、カウンセリングが適さない段階だと主治医が判断する可能性もあります。カウンセリングを受ける前に、一度主治医とカウンセリングの利用について相談することをおすすめします。
cotreeでは、ビデオ通話でカウンセラーと話せる「話すカウンセリング」と、テキストでおこなう「書くカウンセリング」が利用できます。主な特徴は以下の3つです。
cotreeでは、厳正な審査に基づきカウンセラーの採用・登録をおこないます。臨床心理士や公認心理士の資格をもつカウンセラーも多く在籍しています。
オンラインカウンセリングでは、カウンセリングルームや病院に行く必要がありません。自宅のソファなど、リラックスできる空間で利用できるので、はじめてカウンセリングを受ける方でも話しやすいかと思います。
また、アロマを焚いたり楽な服に着替えたり、緊張感をほぐすために工夫される方も多くいます。
オンラインカウンセリングは、移動の時間をとる必要がなく、隙間時間や早朝・深夜の時間帯に受けられる場合も。価格帯も比較的安価な傾向にあるため、対面カウンセリングと比較すると、継続して相談しやすいといえるでしょう。
最後に、cotreeのオンラインカウンセリングに寄せられた感想をご紹介します。
突然のご相談に話を聞いてくださり、 ありがとうございました。 まず、今までの私自身の頑張りを認めてくれたことに、涙がでました。
まだ一度しかお話していないので、今まで起きたことを掻い摘んで話すことしかできなかったのですが、まだ悩んでいることから逃れられない自分がいます。
自分の気持ちはどうなのか、自分で答えを出さないといけないのも、理解していますが、中々決断できない現状です。 今思う唯一の希望は、幸せになりたい、そしてできれば、相手にも幸せになってほしい、という思いです。
カウンセラーさんから"一緒に考えていきましょう"と言ってくれたことが、冷静な第三者から見てもらえる、という事に少しだけ安堵する事ができました。
ありがとうございました。 30代・女性
1ヶ月半担当していただきました。 私は最初毎日生きるのが不安でその不安の吐露から始まり、そこを掘り下げて行き、自覚する。それから、どう対処したらいいか自分で考える。そして出来ることを始めるといった流れでした。
良かったポイントは否定されなかったこと、自分で考えるという点です。否定されないことで安心感が生まれたし、自分で考えることでやらされるのではなくやるという自発的に行動する事で自己承認の芽生えがありました。
毎日生きるのが不安で話す人もいない、かといって医者に行くのも面倒な人は一度試してみる価値はあります。
不安はなくなる、まではいきませんが不安とうまく付き合って行くヒントが得られるかと思います。 30代・女性
誰もが抱えているように、私にも長年解決しない問題がありました。 誰かに相談したいけど、なかなか打ち明けることができず、それどころか一人で抱えているうちに何を考えていいか分からなくなり、悪循環にはまり大変つらい思いをしていました。
そんなある日、ネットでこのサイトを見つけ、誰かと話すのが苦手だった私は興味を持ちました。 そして今回、初めてオンラインカウンセリングというものを試させていただきました。
正直最初はどうせ大した効果はないだろうと思っていました。 しかしゆっくりとカウンセリングを進めていくと、考えがまとまらずもやもやしていた気持ちが次第にはっきりとした形になっていき、最終的には今抱えている問題が何なのか、この気持ちは何なのか、そしてどうやって解決していけばいいのかが分かってきました。
そしてカウンセラーさんは、聞くに堪え無ような話でも真摯に向き合い、時に専門的な立場からとても分かりやすくアドバイスを下さり、今考えていることについてさらに深く考える切っ掛けを与えてくださりました。
その結果、客観的に自分を見つめ直し、自分の考え方がいつの間にか偏っていたことに改めて気づかされ、今回のカウンセリングを通して柔軟な考え方ができるようになった自分をまた一から成長させていきたいと思うようになりました。
人の「悩み」というのは星の数ほどあり、すべてが絶対に解決するなんて口が裂けても言えません。 でももし私のように、思考がぐちゃぐちゃになり、相談したいことも分からなくなってしまい、命を絶ちたいと思ってしまうほど苦しんでいる方がいましたら、是非一度相談してみてください。
いろいろな考えを共に深め合い、きっと自分自身の中にある力の存在に気付くことができると思います。 20代・男性
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今回はうつ病の回復を目指す方、憂うつな気持ちを抱えている方へ向けて、カウンセリングの効果や受け方をご紹介しました。
不安やストレスを感じているさなか、カウンセリングサービスやカウンセラーの検討に苦慮される方もいるかもしれません。cotreeでは、おすすめのカウンセラーを3人ご紹介する「マッチング診断」が受けられます。カウンセリングに興味のある方はぜひお試しください。
■マッチング診断を受ける https://cotree.jp/communication_type_assessments
(参考文献) 1)三木 治. プライマリ・ケアにおけるうつ病の実態と治療. 心身医学. 2002, vol.42, p.585-591. 2)森下 茂,植田美穂子,山本 博三,渡辺 昌祐.軽症うつ病の実態.川崎医会誌.1994,20(2),p.121-124. 3)厚生労働省 知る事からはじめよう みんなのメンタルヘルス総合サイト|うつ病 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html