悲しい経験から立ち直るために、知っておきたい3つのポイント

失恋や離別、失敗など、人間は生きていれば様々な辛く悲しい経験をするもの。
「いっそ全てを忘れてしまいたい」と思いながら、その辛い記憶に引きずられ、気持ちが沈みこんでしまう…そんな状態にある人も多いのではないでしょうか。

人間の脳はこのような辛さを軽減すべく、「忘却」というシステムを備えています。
しかし行動や思考によって、なかなか忘却のシステムがうまく働かず、いつまでも悲しみにとらわれてしまうこともあるのです。

ここでは悲しみや苦しみを忘れ、立ち直るための3つのポイントについて紹介していきます。

1. 「時間薬」は心理学的にも正しい

「苦しみは時間が解決してくれる」という意味合いで、よく使われる言葉が「時間薬」。
「どんな心の傷も治す万能薬」というのは少々言い過ぎの感がありますが、確かにこの言葉は心理学的に見ても正しい点があります。
心理学者ヘルマン・エビングハウスは、人間の中期記憶および長期記憶について調査を行い、そこに一定の忘却機能があることを見つけました。
この「忘れていく工程」を表にしたところ、人間の記憶は曲線を描いて徐々に薄れていくことがわかったのです。 この曲線のことは「忘却曲線」と呼ばれています。

忘却曲線は研究が進む中で徐々に形を変えてはいきますが、悲しい経験についての記憶の場合、3ヶ月程度まではゆるい弧を描きながら記憶量が下降していくのが一般的。
そしてさらに時間が進むほどに記憶量は下がり続け、半年を経た頃にはほとんどが忘却されていることがわかっています。 つまり通常であれば、「半年」を経ずして人は辛い経験の殆どを忘れることができるのです。

2. 「忘れよう」とは力まない

「そんなことは無い、忘れようとも思っても忘れられない」と言う苦しみを抱えている人も多いことでしょう。
これは実は「忘れよう」と意識しているからこそ、忘れられない状態に陥っているとも言えるのです。

これについては、心理学者のウェグナーが「シロクマ実験」という実験を行ってその結果を公表しています。
これはシロクマの映像を見せたいくつかのグループの中で、「シロクマのことは絶対に忘れてくださいね」と念を押されたグループが、最もシロクマのことを覚えていた、というもの。
反対に「覚えておいてください」「自由にどうぞ」と言われていたグループは、シロクマのことはほとんど忘れてしまっていたのです。

人間は「忘れよう!」と思うたびに、脳が「何を忘れるか」をチェックする機構を持っています。
そのため一々忘れたい箇所が呼び起こされ、クッキリと再生されてしまうのです。
よく暗記術などでは「反復が大切」と言いますが、「忘れようとする努力」は、まさにこれと同じ反復を繰り返していると言えます。

「忘れようと頑張るほどに忘れられない」…この様相があまりにも皮肉である(アイロニーがある)として、この現象については「皮肉過程理論(Ironic process theory)」という名前が付けられているほどです。
「忘れよう」と心に決めるのは、忘却までの期間を一層伸ばしていると言えます。

3. 忘却の期間を早めるには

悲しいことがあった時、大泣きをしたり、人に悲しみを訴えかける人ほど、後にはケロリと立ち直っていることがありますよね。
「ずいぶん図太いなあ」と感じられるかもしれませんが、実はこの方法は非常に理にかなっているのです。
2.でご紹介したとおり、人は「忘れよう」とするほど悲しい経験を忘れられないもの。
ですから悲しい時にはその点を突き詰めて、敢えて向き合ってしまった方が早い忘却へと繋がります。

ただしひとりきりで悲しみを抱え込み、自分を責め続けるのはうまい手とは言えません。
まずはその経験を克明に思い出し、記録に付けてしまいましょう。
ブログ等という形で、ネットで発表してしまうというのひとつの手です。

また、友達や同僚などに愚痴やネタとして話すというのも有効。
いずれにしても、自分の中にある悲しみという感情を「言葉」という形にして、外にどんどん押し出してしまうことが大切です。 この過程では泣くこともあるでしょうし、場合によっては怒りがこみ上げてくることもあるかもしれません。

しかしその感情を放出することで、心の中にあった「辛さ」が徐々に昇華され、忘却への期間を早めてくれます。
少々「荒療治」と言えますが、試してみる価値はありますよ。

おわりに

私達人間は「悲しみ」などのマイナスの感情をついつい心の奥へと押し込めようとしがち。
悲しいのに平常心を装い、無理に普段通りの生活を送ろうとする人もいます。
しかし、心が傷を追っているときこそ、きちんとその悲しみに向き合うことが大切です。
「いま泣くことは、明日忘れるためだ」--そう考えて、時には思い切り泣いてみてはいかがでしょうか。

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