誰かの問題だと思っていることは、自分自身の問題かもしれない|カウンセラー 酒井豊美

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 専門家インタビュー

ーー酒井先生のカウンセリングルームには、どんな相談で来られる方が多いでしょうか。


依存症の方、パーソナリティ障害の方が多いですね。もともと境界性パーソナリティ障害を専門としていたので、そういった相談は以前から多いです。ほかにも、日常的にざっくばらんにご相談に来る方もいらっしゃるし、カップル・夫婦の問題や子どもの問題行動・不登校などもあります。最近の傾向としては、不仲やセックスレス、DVが多いです。

ーーこちらには、カウンセラーが多数在籍しておられますが、カウンセラー選びや、料金、カウンセリングに必要な期間などについても教えてください


セラピストは6人いて、それぞれ得意分野があります。パーソナリティ、働く人の問題、子供の問題、精神疾患。クライエントが選ぶこともできるし、後から変えることもできます。英語や中国語にも対応しています。海外の方が日本に来られると、人種的な偏見などで働きづらさがあったり、様々なストレスを抱えられることもありますから。

料金は、初回が8,000円、二回目以降12,000円です。境界性の診断がついている場合には初回10,000円、二回目以降15,000円になります。一回のカウンセリングは50分です。

回数については、本当に人それぞれなんですが、例えば依存症であれば、7〜8ヶ月来てもらうと依存度が下がってくることが多いように思います。週1回〜2週間に1回という頻度で通って、少しずつ頻度が下がってくるようなことが多いですね。依存で、例えば月に20万円ギャンブルに使っていた人が、セラピーで3万円使うのであれば納得感はありますよね。そういう考え方で、自分の人生をよくするためにお金を使っているような感覚を持って頂けるといいように思います。

ーー夫婦や子どもとの関係性は、相手に原因があることもありますが、カウンセリングを受けることでどう解決していけるのでしょう。


みんなそれぞれが、相手に対する不満を持っています。夫婦関係の問題の場合は、相手のことを嫌だと思っていても解決しないので、自分の何が問題か、何がそういう不仲をつくりだしているのか、相手の言い分を自分の問題として直面していくことになります。子どもの問題にしても、最初は相手を非難したり不満を持っていたりするんですが、そこに気づいてもらわないと、なかなか解決していきませんから、その切り替えをナビゲーションしていくかたちになります。

旦那さんの問題でもあるけれど自分の問題でもある、ということを受け入れていくんです。新型うつなんかは、特に他責傾向が強いので、ひとりで内省するのは難しいですね。自分が大変なことや責任を担わないといけないことと直面すると逃げ出したくなって、会社に行けないとか、身体症状が出ることもあります。

家にいるときは元気だったりします。やはり回避的・自己愛的なパーソナリティ傾向の人が多いかもしれません。そういう人が環境のせいにして、転職をしようとすることもあるけれど、そうして転職をしても、また同じような問題が出てきたときに同じようなサイクルにはまってしまうんですよね。

ーーなるほど。周りが原因に見えても、まずは自分と向き合う必要があるかもしれないということなんですね。


そういうときには、何が職場や生活の中でネックになっているのか、何がきっかけでそういう気持ちになるのかを紐解いていきます。それが対人関係の場合は、周りがどう自分のことを思っていると考えているか、それに自分はどんな考えを持っているのか、と考えていきます。対人的に過敏な方にとっては、どうしたら気にしなくてすんで、自己肯定感を高めていけそうか。課題を少しずつ達成していったり、コミュニケーションの練習をしたり。一緒にロールプレイをして、少しでも自信を持てるようなやり方を探っていくこともあります。

ーーうつ病かな、と思ったとき、病院とカウンセリングはどううまく使っていけばいいのでしょうか。


いわゆるメランコリー型と言われるうつ病は薬で改善することが多いですが、新型うつの場合は効いているのか効いていないのかわからないことも多いです。薬が効かない方は、カウンセリングに来てみると良いですね。メランコリー型の人よりは結果が出やすいことが多いです。うつの中にも、カウンセリングに向くタイプと向かないタイプがあります。

会社に行くのが億劫になったり、欠勤になったり遅刻が増え出したり。頭がいたいとか耳鳴り、吐き気、動悸など、いままでなかった体の不定愁訴が出てきたときには、まずカウンセリングに来てみてほしいと思います。そうするとこの人は病院に行くほうがいいのか、カウンセリングで改善できるのか、判断することができます。病院の場合は、精神科医療の現場の事情として、じっくり話を聞いてくれる先生は多くないように思いますから、薬を出されてしまうことが多いように思います。

心の問題は、薬で治るような脳科学の問題じゃない部分がかなり多いので、わからないときにはまずカウンセリングを受けることをおすすめしたいなと思います。

ーーうつ病といっても、薬で対処できることとできないことがあるんですね。


環境への不適応や対人関係の問題で抑うつになっている人は、薬だけを飲んでも感情的な問題は残っていくことになります。薬を飲んでもよくならないような方が、カウンセリングで変わっていくことも多いですよ。反復性のうつの場合は脳の器質的な問題以外に性格傾向が入ってくる場合もあるし、自分が苦手とするような環境や、繰り返してしまうシチュエーションがあったりします。そういう自分に向き合っていかないと、いつもそうなっちゃう、ということが続いていくんです。

ーーそうは言っても、気軽にカウンセリングを受ける、というのはなかなか難しいことでもありますよね。


カウンセリングでは欧米では気軽に受けるものになっていますが、日本の場合はまだまだそうなっていないですね。男性は特に心の中を他人に打ち明けない人が多いですが、そういう人にこそ来て欲しいと思います。男性の場合は競争心が強かったり、弱音を見せたくなかったりで、夫婦間でも言うことができずに、会社であったことや愚痴を押さえ込んで、身体や心に出てきてしまったりします。

人には言えないけどここなら言える、という場所として、カウンセリングを使ってもらえると、労働の生産性が上がってくることもあるし、ワークライフバランスも良い方向に向かっていきます。全部つながっていますから。夫婦のコミュニケーション改善にもつながりますよね。

女性の場合は、占いやスピリチュアルに頼る人は多いようですね。自分では決められないとか、示唆をしてもらいたいとか、依存傾向の強い方、答えを出してもらいたいという方にはそういう方も多いように思います。こういう方が、カウンセリングに来るようになると、自分ときっちり向き合って、自分自身を変えていくことができます。行動すれば何かが変わるんだよ、というマインドセットに変わっていくといいですよね。

ーー酒井先生がカウンセリングをやっていてよかった、と思う瞬間はどんなときでしょうか。


カウンセリングルームには、いろんなところで見放されてしまったり、諦めてしまったような人がいらっしゃることもあります。そうすると最初にきたときには、泣いていたり、暗い顔をしている人も多いのですが、お話をしていると少しずつ笑顔が増えてくるんです。そんなときにやりがいを感じます。

もちろん限界もあって、寄り添うことしかできないこともあるんですが、辛いときに支えになれるといいな、と思いますね。クライエントに、時間がたって「あの人にあのとき出会えてよかった」と思ってもらえたら。人生を変えるようなことはできないけれど、あのときに出会っていたから違う方向に進めた、と振り返られるような存在であれたら嬉しいですね。

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