更新日 2024年08月29日 | カテゴリ: 子育て・家族関係
東京オリンピックが開かれる2020年には「3人に1人が高齢者」という超・高齢化社会を迎える日本。
高齢者特有の病気についての問題も話題に登ることが増えています。
そのひとつが「老人性うつ」といううつ病の存在です。
若年性のうつ病とは異なる特徴を持つ「老人性うつ」は、認知症と似通った特徴が多々あるため、誤認をされるケースが多いことでも知られています。
ここでは「老人性うつ」の特徴・対策等、高齢者特有のうつ病についての情報を解説していきましょう。
なぜ「認知症」と「老人性うつ病」は混同されてしまいやすいのでしょうか?
それには、以下のような共通点があることが挙げられます。
うつ病の症状には、意欲の低下・哀しみ・落ち込み等の感情が継続する「抑うつ症状」があることはご存知の人も多いことでしょう。
しかしこのような「抑うつ症状」(うつ状態)は、認知症の初期症状でもよく現れます。
認知症の初期段階にある患者のうち、40%近い人が「意欲低下」「気分の落ち込み」「不安感」といった抑うつを感じており、そのために「抑うつ=認知症」という判断をされてしまいやすいのです。
老人性うつ病では集中力の低下によって「記憶力」が低下しているように見られることがあります。
例えば集中力が散漫になったことで家族が言ったこと等をよく聞いていないために「物忘れするようになった」と見えるわけです。
この症状が「認知症」に似ているため、「年齢によるものだ」と家族が捉え、老人性うつ病が見落とされるケースも多いと言われています。
では「老人性うつ病」の認知症とは異なる特徴はどこにあるのでしょうか。
夜間に眠れないだけでなく、寝付きが悪い、すぐに目が覚めるといった睡眠障害に本人が困る傾向を持っています。
認知症とは異なり、夜間に起きて外出するといった問題行動を起こすことはほとんどありません。
認知症の場合、初期には認知機能の低下を自覚して不安を覚えることもありますが、徐々に症状に対する不安感・焦りは失われていきます。
ところがうつ病の場合、自分の症状に対する自覚はハッキリとしており、不安・焦り等を口にすることも多いです。
老人性うつ病の場合、抑うつ症状・不眠・悲観的な発言といった症状が短期間で様々に現れてきます。そのため家族が「おかしい」と気付くのは比較的早い傾向です。
反対に認知症の場合には症状がゆっくりと進行するため、周囲が症状に気付くのは遅くなります。
腰が痛い、歯が痛い、肩が痛い等、体の不調の訴えが増えます。また専門医で治療を受け原因を取り除いても「不快感」が取り除けず、「治っていない」「まだ辛い」と訴える傾向があります。本人には詐病といった自覚はありません。
認知症とは異なり、老人性うつ病では大幅な記憶力の低下が起こることはありません。前述した通り集中力の低下によって「話を聞いていない」といったことは起こりえますが、認知症のような「ひどい物忘れ(健忘)」といった症状はほとんど見られないのです。
老人性うつ病は、環境の変化によって起こりやすい病気です。
例えば引越・施設への入居・病気による入院といった住環境の変化、家族・配偶者等との死別・離別、子供の独立といった家族環境の変化などは、老人性うつを引き起こす大きな要因となります。
環境変化が起こった際には、当人が不安や孤独感を覚えることの無いよう、周囲が特に丁寧にサポートをしてあげることが大切です。
これは老人性うつ病に限らず若年性うつ病にも言えることですが、打ち込める趣味やストレスを発散する場が無いと、うつ病を発症する確率が高くなります。
一日の中で「張り合いのある時間」を作り、達成感・充実感を得られるようにしていきましょう。
また家族・友人・近隣の人等との交流が少ないほど、老人性うつ病になりやすい傾向も見られています。
特に趣味が無い方、お仕事を引退された方の場合には、高齢者向けのサークルやデイケアセンター等で趣味の教室に参加する等、「趣味の時間」「交流の時間」を増やすようにするのも手です。
前項の「老人性うつ病の特徴」で解説したとおり、老人性うつ病は短期間に様々な症状が見られる傾向にあります。
「眠れない(不眠の訴え)」「体が痛い(体調不良の訴え)」「もう死んでしまいたい」…こんな発言がよく見られるようになったり、「なんだか調子が悪い」と自分の症状に不安を覚えている様子が見られる場合、早めに精神科・心療内科等の専門医に受診させましょう。
前述のとおり老人性うつは認知症と間違えられやすく、家族が様々な症状を見ても「年齢のせいなのだ」と無理に納得をしたり、「気のせいなんだから」と高齢者を説得してしまう傾向が見られています。
しかし老人性うつは認知症とは異なり、早期に的確な治療を行えば改善できる病気です。
ただ若年層のうつ病と違い、当人が「うつ病かもしれない」という自覚を持つことはやや難しいので、早めに家族や周囲が「老人性うつ」の可能性に気づき、専門医を頼ることが大切と言えるでしょう。
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