更新日 2024年08月21日 | カテゴリ: キャリア・人生・仕事の悩み
最近、「マタハラ」という言葉を耳にする機会が増えています。
「マタニティハラスメント」を省略したもので、妊娠・出産や育児休業などを理 由とする解雇などの不利益な取扱いをすることを言います。語感としてはセクハラに似ていますが、セクハラは英語(セクシュアルハラスメント)ですが、マタハラはパワハラと同じく日本発の用語です。
毎年、都道府県労働局の窓口に対するマタハラに関する相談件数が多く寄せられ ることから、厚労省は妊娠・出産や育児休業などを理由とする不利益な取扱い禁止に関する取組みや周知徹底を積極的に行っていくこととしており、つい先日も、「そのマタハラ、違法です。」という新聞広告を出していました。
「こんなケースはNG」という表現で、妊娠・出産などを理由とする不利益取扱 いとして、「契約更新するはずだったのに、妊娠の報告を受けたので雇止めにし た。」「育休を1年間とりたいと相談されたので、経営悪化等を口実に解雇した。」「実際は妊娠が理由だったが、別の理由をつけて正社員をパートにした。」などの事例を挙げていました。
要するに、「妊娠、出産」「産休、育休」などを理由として、解雇、退職の強要、雇止め、正社員からパートへの契約変更の強要などを行うことは違法だということです。
厚労省がこのようなプロモーションを行っている背景には、毎年6月が厚労省の「男女雇用機会均等月間」であることから、男女雇用機会均等法やポジティブ・ アクションを周知するための取組みを行っているということもありますが、今年は、男女雇用機会均等法が30年目を迎える節目の年ということもあって、このマタハラ防止PRを非常に積極的に行っているのです。
昨年10月には、最高裁によるいわゆる「マタハラ判決」も出ました。
広島の理学療法士の女性が、妊娠で負担の軽い業務へ回され、副主任職を解かれた事件をめぐって、均等法9条3項違反(妊娠等を理由とする不利益取り扱い)を認めたものですが、マスコミでも大きな話題になったことを覚えておられる方 も多いでしょう。
この裁判の裁判長は厚労省出身の方なのですが、その後の展開を見ていると、マスコミを動員しつつ国を挙げてマタハラに取り組んでいるという印象が強いように感じます。
最近では、JALの客室乗務員が、妊娠して地上勤務を希望したのに休職にされたのはマタハラだとして訴訟を提起した事件が報道されました。
セクハラに始まってパワハラ、マタハラと「○○ハラ」がはやり言葉になっていますが、数えると30種類くらいあるそうです。例えば、アカハラ(学校の世界)、ドクハラ(医療の世界)、アルハラ(アルコール)、スモークハラ、ペットハラなど。
いずれのハラスメントも、日本特有の雇用慣行や超時代遅れの労働法を土台に、 加害者と被害者だけでなく、向こう側に色々な人や組織がからんだ複雑な人間模様の現実があります。
国やマスコミは制度の充実により問題解決をしようと考えているようで、さらなる管理の強化と制度依存のプロモーションを展開していますが、そもそも制度過剰から生まれた問題を制度の上塗りで解決できるのか、人と人との関係を制度で制圧できるのかという疑問もあります。
今回はマタハラについて取り上げましたが、メンタルヘルスの分野でも同じような構図はあります。制度から生まれたものを制度で統制しようとするよりも、個別のケースと向き合うことがとても大切であるということを、肝に命じたいですね。
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