地震、台風、水害…様々な災害によって起こる「PTSD」の症状や対策を知ろう!

更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分

2011年の東日本大震災、そして2016年の平成28年熊本地震と、大型の地震災害が続いている日本。 また2014年の広島市の土砂災害、平成26年の豪雪、各地での火山の噴火、平成27年関東・東北豪雨等、いまや毎年のように様々な自然災害が起きています。

このような大きな災害において、対策の遅れが叫ばれているのが「心のケア」。

特に「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」については未だ認知度が低く、被災された方が一人で苦しみを抱えてしまっているケースも少なくありません。 今回はPTSDが起こる原因や主な症状、対策について解説をしていきます。

心のダメージが後からやってくる「PTSD」

「PTSD」とは「Post Traumatic Stress Disorder」の略称。 Traumatic(トラウマ)という言葉は、聞いたことがある人も多いことでしょう。

トラウマ(ドイツ語:Trauma)とは、大きな精神的な衝撃(ショック)、恐怖体験等によって起きる心の傷のこと。 このダメージが後々にも心に残り、精神的・身体的な症状として現れます。

PTSDの「P」にあたる「Post」とはラテン語の「後ろ」や「後から」と言った語源から生まれた言葉です。 日本語ではPTSDは「心的外傷後ストレス障害」と表記されていますが、この「外傷『後』」という部分は見逃されがちかもしれません。

PTSDショックは、もちろん体験した直後から起こることもあります。 しかし、体験後数週間以上を経てから発症したり、更には数カ月後に発症をするというケースもあるのです。

フラッシュバック、感覚の麻痺…PTSDの主な症状

PTSDでは主に以下の様な症状が確認されています。

1 )フラッシュバック

ショック体験(災害時の状況等)の悪夢を繰り返し見るケースは少なくありません。 睡眠中にうなされたり、寝起きに動悸や寝汗等が見られ悪夢であったと思われるものの、本人にはその内容を覚えていないこともあります。

また起きている時のふとした瞬間に、ショック体験を鮮明に思い出したり、視覚・聴覚でリアルに再現をするケースも。 それまで何もなかったのに当人が突然に不安定な状態となったり、泣き出したりするため、周囲は当惑することが増えます。

2 )緊張状態の継続

小さな物音などでにも過敏に反応したり、「誰も信頼できない」とピリピリするなど、緊張・警戒の心が行き過ぎた状態となります。 常時イライラとしてマイナス感情を露わにしやすくなる他、寝付きが悪い、眠りが浅いといった睡眠障害が起きる傾向も持っています。

3 )現実感の無さ

自分が存在していなかったり、周囲から切り離されているような現実感の無さを伴う「解離症状」が見られるケースもあります。 哀しさ・苦しさ・喜びといった感情が湧かないように思われたり、何を話していても他人事のように感じられるといったものも解離症状の代表的な症状です。

4 )トラウマからの逃避

ショックを受けた場所や状況等を避けようとしたり、症状が重い場合には災害等の記憶そのものを消去してしまうこともあります。

5 )感覚・感情のの鈍麻

苦しむことや悲しむことを避けるべく、感覚や感情全般を麻痺させて自分の心を守ることもあります。 周囲から受ける優しさや愛情が理解できなくなったり、人に対して優しさや愛情を持てなくなる傾向も見られています。

PTSDの対策とは?

1 )ショック直後~4週間程度

災害等の辛い経験を受ければ、PTSD症状は殆どの人に現れると言っても良いものです。 まずは心が刺激を受ける量を減らし、心の均衡状態をできるだけ早く取り戻すための「応急看護」的な対応を行います。

・テレビ視聴を避ける
繰り返し行われるテレビの災害報道での視覚的な刺激を受けることで、不安が増す傾向が見られています。 情報の収集はラジオ、新聞、ネット等で必要最低限に抑え、視覚的ショックを減らすことに努めましょう。

・「被災者としての対応」は他者に任せる
親戚や友人等から安否の確認を受けたり、状況の報告を逐一行うことが心の疲れを強めるケースもあります。 「周囲を安心させなくては」と無理をせず、安否確認等の連絡対応は可能な限り他の人に任せ、ゆっくりと過ごすようにしましょう。
心が刺激を受けることをできるだけ避けることで、受けた心的外傷によるダメージが自然回復することもあります。

2 )長期的症状が見られる場合

フラッシュバック、解離症状といった症状が悪化していたり、症状が長期化している場合には、早期に専門家に相談しましょう。

PTSDを克服するためには、トラウマに向き合い、それを過去のものとして終わらせることが大切です。 症状によって持続エクスポージャー療法や認知療法等の治療法が行われます。 また睡眠障害等の辛い症状が出ている場合には、薬品による治療が行われることもあります。

いずれにしても、辛い記憶に向き合うためには経験のある専門家の手を借りることが重要です。 自分一人、また知識の無い人によるトラウマへの向き合いの強制が、却ってPTSDの症状を重くさせてしまうこともありますので、必ず専門医・カウンセラーに相談するようにしましょう。

おわりに

特に地震・水害といった大規模な自然災害の場合、PTSDの症状で苦しまれている被災者の方が「でも、他の人も大変なのだから…」「自分だけではないのだから…」とガマンをしてしまうことがあります。

しかし心の傷を放置しておくことで、その症状が悪化し、日常生活や社会生活に戻れなくなったり、何年間もフラッシュバックに悩まされる…というケースは少なくありません。

少しでも「辛い」と感じることがあれば、できるだけ早く専門家の手を借りて、心の傷の回復をしていきましょう。

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