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大災害や身近な人の喪失…強いストレスで生じるPTSDやトラウマってどんなもの?

更新日 2017年09月27日 |
カテゴリ: ストレスに対処したい
大災害や身近な人の喪失…強いストレスで生じるPTSDやトラウマってどんなもの?

現代社会に生きる私たちは、常に何らかのストレスにさらされながら生活しています。そのストレスに対する耐性の程度は、本人の性格や生活経験など個人差によって大きく異なります。

ですが、重大な自然災害や暴行、殺傷、事故など、自分や身近な人の生命や安全に対する重大な脅威を目撃したり体験したりして、その人のキャパシティを凌駕するほど激しい心理的ストレスが加わると、誰にも共通する、以下のような精神状態や経過が生じることがあります。

急性ストレス反応

急激に強い心理的ストレスにおそわれると、人間はパニック状態になります。そのため、精神機能の一部をまひさせることで、一過性の現実適応をはかります。つまり、周囲に対する興味や関心を減退させたり、外傷的な出来事の発生前後の記憶を忘却したりするのです。

たとえば、その出来事で亡くなった人と、あたかも生きているように対話したりすることもあります。これに引き続いて、不安感を訴えたり、落ち込んだかと思えば急に気分が昂揚したりするなど、気持ちの浮沈が激しい様子がみられることもあります。これは、ショックを受けた直後からはじまり、数時間~3日以内にほぼ消失しますが、状況により1ヶ月程度継続することもあります。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

外傷的な出来事により強い心理的ストレスにおそわれた後、数週間~6ケ月以内に、以下のような症状が出現することがあり、これをPTSD(Posttraumatic stress disorder)といいます。

再体験

心的外傷の原因となったトラウマティックな体験が、自分の意思と無関係に繰り返し思い出されたり(フラッシュバック)、その情景を夢にみたりする。

回避

トラウマ体験を思い出すような状況や場面を、意識的あるいは無意識的に避ける。

心身の過敏反応

過覚醒による不眠が続いたり、いらいらする、怒りっぽくなる、など神経の興奮状態が続いたりする。頭痛や食欲不振、全身の倦怠感などを訴えることもある。

このような心身の反応は、本人にとっては非常につらいものですが、強烈なストレスにさらされるようなことがあれば、誰にでも起こりうるものでもあります。周囲の見守りや適切な対応に支えられ、次第に自分の力で回復していきます。

ですが、これらの症状が1ヶ月以上持続している場合には、自覚的な苦悩を抱えることのしんどさもさることながら、対人関係や社会生活にも影響を及ぼしかねません。アルコールや薬物依存といった嗜癖行動にもつながることがあります。社会的機能の障害は本人の孤立化を招きます。重症化する前に、医療機関などに相談するべきでしょう。

PTSDの治療には、SSRIといった抗うつ薬が用いられることもありますが、精神療法でもエビデンスが蓄積されつつあります。

PTSDに効果のある精神療法として、認知行動療法やEMDR(眼球運動による脱感作および再処理法)、ストレス管理法が代表的なものとしてあげられます。以下、PTSDの治療法のなかでも高い評価を得ている持続エクスポージャー療法についてみてみましょう。

PTSD症状はつらいものですが、大半の人は程なくして自然に回復の途に向かいます。この自然回復の力は、本来誰にでも備わっているはずのものです。回復への過程には、「トラウマ記憶を何度も賦活させ、トラウマ体験にまつわる感情を喚起させ、それを他者と話し合い、向き合うことによって生じる」日常生活の情動処理が関わっていると考えられており、持続エクスポージャー療法(PE)はこの考えを応用した心理療法といえます。

PEは、トラウマに焦点をあてた認知行動療法であり、セラピスト(臨床心理士)との対話を通じて、本人が回避していたトラウマとなっている記憶に、あえて触れるような課題を繰り返し、慣れていく方法です。

トラウマ体験を想起させるような刺激の回避は、それによって短期的に不安が軽減されるためにその行動が維持されています。ですが、長期的にみると、回避行動はトラウマ記憶が適切な情動処理を受けることを妨げるので、トラウマに関連した感情を維持させてしまいます。

その結果PTSDが慢性化すると考えられるのです。また、情動処理の促進により、不安に対する慣れが生じることが期待されます。PTSDの症状に苦しむ人たちは、それが永遠に続くような気持ちになっていますが、不安や恐怖に慣れることによって「不安によって自分がコントロールできなくなるのではないか」という誤った思い込みを否定することができます。

とはいえ、不安を喚起させるような記憶に向き合うことは、大変な不快感と苦痛を伴います。不安だけでなく、恐怖、悲しみ、怒り、恥、罪悪感など、様々な情動と関わらなければならないこともあるでしょう。

セラピストは、PEを実施するにあたり十分に訓練を受けていることが求められます。単に支持的、共感的な態度で接するだけでは足りず、当人の苦痛に注意を払い、必要に応じて介入をする心構えも持ち合わせていなければなりません。

切迫した自傷・他害行為のおそれや精神病症状がある場合には、その状況に応じたケアが優先されます。また、トラウマ体験の記憶が不明瞭である場合にも、効果は期待できないでしょう。

PEでは、週1~2回、各90分程度のセッション(面接)を10~15回行います。また、各セッションで段階に応じた宿題が課されます。宿題も、PEにおいて重要なものになっています。PEは、PTSD症状だけではなく、うつや全般性不安障害、怒りや罪悪感に対しても効果があるとされていますが、もちろん有効性には限界があります。いずれにせよ、技法に精通したセラピストの下で治療を受けることが望ましいでしょう。

なお、心身ともに発達の途上にいる子どもでは、トラウマ体験に対して大人と異なる反応を示すことがあります。最近の大規模自然災害時にも、ニュースなどでとりあげられ注目されるようになったのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

たとえば、発熱や皮膚疾患等の身体的症状のほか、一人でいるのを怖がる、急に興奮する、排泄の失敗、夜泣き、多弁・多動になる、非現実的なことを口にするなど、生活や行動の変化をみせることもあります。ひどくなると、友人や学校生活に無関心となり、ひきこもる子どもたちもいます。

子どものトラウマ反応は、赤ちゃん返りに似たものもあり、一見すると単なるわがまま行動のように思われることがあります。周囲の大人たちは、子どものトラウマ反応を正しく理解することが必要です。

まずは安心できる場所を確保し、子どもが話したがるときはじっくりと耳を傾け、繰り返される質問にもその都度簡潔に答えてあげましょう。友人とコミュニケーションをとれる場所や、遊び場を用意してあげることも大切です。

大規模災害時には、一時的に各地の臨床心理士が被災地の学校にスクールカウンセラーとして派遣されることがあります。保護者である大人たちも「何とかしなければ」と頑張りすぎ、自らのトラウマ体験を引きずることのないよう、子どもたちの様子で心配なことがあれば積極的に臨床心理士に相談してみてください。

臨床現場では、DVや戦争など長期の対人関係による外傷がもとで起こる複雑性PTSD(C-PTSD)も認識されており、PTSDの治療をめぐっては今後も工夫や研究が必要となるでしょう。トラウマティックな出来事そのものをなかったことにすることは不可能です。でも、その出来事に起因するPTSD症状を軽減し、トラウマ体験から自らを解放するための援助方法は存在します。そのつらさについて、相談できる専門家がいることを心に留め置いていただきたいと思います。

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