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今話題の認知行動療法ってどんなもの?

更新日 2018年12月18日 |
カテゴリ: カウンセリング
今話題の認知行動療法ってどんなもの?

認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy:CBT)』という言葉は、カウンセリングや心理療法にご興味のある方であれば、もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。

最近、海外の取り組みがテレビで紹介されたり、精神科医療で取り入れる病院が増えてきたりと、なにかと注目を集めています。しかし認知行動療法は、さほど新しい療法というわけではありません。

ただ、効果を数値として評価しやすい特徴をもっているため、現代の社会システムにフィットしやすいということ、また予防対策として取り組みやすいことなどもあって、注目を集めているのではないかと思います。では一体、認知行動療法とはどのような療法なのでしょうか。その内容を、ご紹介してゆきます。

認知行動療法のなりたち

認知行動療法をざっくりと説明すると、「ストレスの問題に対して“認知”と“行動”の両面から働きかけ、それらを自分でコントロールする力を高めることによって改善をはかる心理療法」といえるでしょう。

もともと『認知療法』と『行動療法』という別々の心理療法がありました。しかし、1960年代にBeckという人が、自身が開発した認知療法に行動療法の技法を取り込み、1970年代頃からそれらを『認知行動療法』と呼ぶようになりました。

認知療法

Beckが開発した心理療法です。人が物事をとらえる時、実は客観的な事実をそのまま見ているわけではなく、自分なりの思い入れを持って世界をとらえており、Beckはそのことに注目しました。

そして、その人独自のとらえ方を「認知」と呼び、「認知」の歪みを修正することで、症状の改善を図ろうとしました。Beckは、うつ症状になりやすい人の認知特徴として、自己・世界・将来に対して非論理的で悲観的な考えを持ちやすいことを見出しました。

そこから、何か起きた時に反射的に浮かんできてしまう「自動思考」と、その根底にある非論理的な思い込みである「スキーマ」に着目し、それらを現実に合うよう修正してゆく療法を考案しました。

行動療法

学習理論という心理学の理論に基づいた心理療法です。学習理論では、基本的に動物の行動は「学習」の結果だと考えています。そして、“どういう刺激をうけたら、どういう行動をとるか”という一連の流れを「条件づけ」と呼びました。刺激(S)と反応(R)の関係から、S-R理論ともいわれています。

皆さんも「パブロフの犬」はご存知ではないでしょうか。これは、犬にエサを与える際にベルを鳴らし続けていたら、ベルの音だけでも唾液が出るようになったという学習理論の実験です。この犬は“ベルが鳴ったらエサがもらえる”ことを学習したため、ベルの音だけでも唾液が出るようになりました。

しかし、これは間違った学習です。ベルの音とエサは、本来全く関係ありません。このように、間違った行動は間違った学習によるものと考え、新たに正しい学習をし直すことで問題行動を改善してゆこうというのが行動療法です。

また、先ほどの実験で全ての犬が同じ行動をとるわけではなく、刺激(S)と反応(R)の間には、有機体(O)の要因も絡んでくることにも気づきました。そこから、S-O-R理論という新たな理論を打ち立てました。このOの部分には、人の「認知」も含まれています。

認知行動療法による問題のとらえ方

では、認知行動療法では具体的に問題をどんなふうにとらえているのでしょうか。例を取り上げて考えてみましょう。

<例>

営業職のAさんが取引先からクレームを受けました。Aさんはガックリと気分が落ち込みます。

「部長に怒られるだろうな」「謝りにいきたくないな」などネガティブな予想や逃げたい気持ちが次々とわいてきて、どんどん気が重くなってゆきます。

「あぁ、もう何もしたくない」と無気力なり、普段ならサッとできるような事務処理にも手間取ったり、どっと疲労感が襲ってきたり、胃がキリキリと痛んできたりします。

そんな様子を上司に見られ、"クレームどうなってるんだ、しっかりしろ"と叱られます。そして「なんて自分はダメな奴なんだ」と自分を責めます

<解説>

認知行動療法では、問題と対処のパターンを基本モデルにあてはめて整理します。上記の例をあてはめてみると、こんな感じです。

  • 環境:取引先からのクレーム
  • 認知:ネガティブな予想をする。逃げられないかと策を考える。自分を責める
  • 気分・感情:落ち込み、無気力
  • 行動:パフォーマンス低下
  • 身体:疲労感、胃の痛み

Aさんは、仕事でミスをするとだいたいこういったパターンを繰り返してしまいます。そして、そのパターンにいつもどういう対処(コーピング)を取るかを、認知面、行動面から振り返ります。

  • 行動コーピング:仕事を先延ばしにする
  • 認知コーピング:「何とかなる」と言い聞かせる。神に祈る。カウンセラーに相談しようと思う

さらに、こういった時にどんなサポートが得られるかを洗い出してみます。

  • サポート資源:妻、神、信仰、カウンセラー、本、薬

このように、問題となった体験を全体像として把握します。

これらを一枚のシートに書き出して、視覚的にとらえる場合もあります。こうして具体的に書き出してみると、どういう悪循環が起きていて、どのように改善したら良いかが段々見えてきます。

そして、取り組みやすいものから順に、ホームワークが課せられます。この例だと、例えばこんなホームワークが考えられます。

  • ホームワーク:職場でどんな落ち込みがあるか、自己観察してくる。

そして次の面接では、ホームワークの記録を使いながら、どんなことが起きていたかをさらに細かく見てゆきます。その時に、気分の度合いをパーセンテージで数値化することもあります。

この例でいうと、「処理しなければならない書類が山積み」は“落ち込み度50%”、「みんなの前で上司に叱責される」は“落ち込み度90%”といった具合です。

まとめ

このように、問題となる体験を細かく具体的に整理し、どのような“認知”と“行動”が起き、それらをどう改善したらよいかを考え、実際に練習を重ねてゆくことによって、正しい“認知”と“行動”を身に着けてゆくのが認知行動療法です。

ただし、上記の例でご紹介した方法はごく一部です。例のようにカウンセラーと一対一で行う場合もあれば、同じ悩みを抱える人たちとグループで行う場合もあります。ワークシートを使ったり、ホームワークを行ったりと、変化が記録に残るので、成果を実感しやすい方法といえるでしょう。自分で振り返ることもできますので、自己コントロール力のアップも期待できます。

引用文献(事例)

・伊藤絵美(2005)認知療法・認知行動療法カウンセリング CBTカウンセリング 初級ワークショップ.星和書店

参考文献

・大野裕(2003)こころが晴れるノート.創元社
・岡田佳詠,田島美幸,中村聡美(2008)うつ病の集団認知行動療法.秋山剛,大野裕(監修).医学映像教育センター

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