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身体的アプローチからトラウマを癒す | 臨床心理士 藤本昌樹

更新日 2017年02月16日 |
カテゴリ: 専門家インタビュー
身体的アプローチからトラウマを癒す | 臨床心理士 藤本昌樹

子供への関心、子供からの延長にある大人との関わり

ーー藤本先生はどのような思いで今の臨床心理士というお仕事につかれたんでしょうか。


もともと心理系の学部ではあったんですが、それほど真剣に心理職を目指しているつもりはありませんでした。けれど、あるとき発達障害のあるお子さんの家庭教師をやることになったのをきっかけに、どんどん不登校の子の家庭教師をお願されるようになって、ほぼ全員学校に行けるようにもなって、こういう仕事は向いているかもしれない、と思いました。

そして、大学院を出て小児科などでも働きながら、大学の助手をやりはじめた頃、ある時ふと思い出して、小学校のときの文集を開いてみたんですよね。そうしたら、小学6年生のときの3つの夢が、「心理学者になって大学の先生になるか、小児科医なるか、コンピュータの会社(IBM)」というものでした(笑)。

私は、人の可能性が開けていくのが好きですね。子どもは特にその時期に変わることができれば将来は大きく変わります。大人もその人たちなりに本来持っている可能性や、自分が学んできたことを活かせるようになる。もともとは子どもへの関心から始まっていますが、子どもが成長したのが大人ですから、当然大人のケアにもつながってきます。愛着研究が専門だったのですが、やはり子どもの頃の親子関係や愛着スタイルは、大人になってからも影響を受けています。

ーー大人になってからも影響を受けている「愛着スタイル」とはどんなものですか?


ひとつのモデルとして、自己概念と周囲の人に対する評価の組み合わせで、愛着のスタイルが決まるという考え方があります。子供のときに高い自己概念を持ち、周囲に対しても安定した愛着を持てた子供は、必要なときに助けを求められるようになります。自己概念は高くても、求めても受け入れられないと、不安定な型になり、人に頼れなくなってくる。

両方が低いと、恐れを感じたり回避したり、ということにつながります。それぞれのモデルがいいとか悪いとかではなく、そうやって周りに適応するためのスタイルを身につけてきたわけです。すべての大人が一定の愛着スタイルを持っていて、環境や発達の過程で、その愛着スタイルが適応的ではなくなり、不全感を持ってしまうと、大人になってから苦しむこともあります。

「わかっていても変われない」ーー身体的アプローチの可能性

ーー藤本先生は、日本にBrainspottingを導入される活動をされるなど、身体的なアプローチを中心に、セラピーを実施しておられます。EMDRやBrainspotting、TFTなどの身体的アプローチの背景にある考え方について教えてください。


今はようやく身体的なアプローチも認知されはじめていますし、特にEMDRはその代表的なものですが、私がそれを初めて知ったのは、1995年です。当時、お世話になった方がEMDRを学んでいて、その方法を知って衝撃を受けました。その頃、阪神淡路大震災などによってトラウマが日本で認識され始めて、児童虐待などの問題化もあり、必要性が高まっていた時期でもありましたし、言葉だけによるセラピーにも、限界を感じていたところでした。

伝統的なカウンセリングは言葉のやりとりによって相手に寄り添うことが中心になります。それはそれでかなり工夫が積み重ねられてきた方法論で、効果はもちろんあるのですが、特にトラウマに関していえば、頭ではわかっているけどすっきりいかない、というのが問題です。

例えば事故にあったとして、これは昔のことで、今は生きているのだから、と考えとしては理解ができます。でも身体的な反応がついてこない。そこに感情や負のエネルギーがついてまわっているわけです。言葉ではどうにもならないほどに衝撃を受けているケースもある。

そのとき、EMDRは頭だけではなく、身体にも働きかけていくわけです。TFTやBrainspottingもそのように「言葉では扱いきれないもの」を身体を通じて働きかけていく手法です。

現在、これまでの臨床経験とある発見から、新しいモデルによる効果的なソマティック心理療法を開発中です。まだ、名前ははっきりと決めていませんが、「ボディ・コネクト・セラピー(Body Connect Therapy)」と名づけようかと思っています。

これは、これまでの心理療法とはまた違った強力なものとなる可能性があると思っています。実際に、EMDRが効果を示さず、Brainspottingでも処理がいきづまっていたクライエントの方に、この方法を適用し、今までの方法より楽にトラウマの処理が順調に進み、クライエントさんからも、いつもより楽になったという感想をもらったのがきっかけです。

大学で理論的な検証をするために基礎研究も開始し始めました。いずれ、統合モデルとして体系化して、皆さんにも紹介できるとよいと考えています。

トラウマ治療に関しては、世界的に見て、身体的なアプローチは広まりつつあります。トラウマ治療の観点からは、大きく二種類あるかと思います。認知行動療法のように、認知的なこだわりをほぐしていくトップダウンからの方法。それから、頭ではわかっているけどどうにもならないものに、身体からはたらきかけていくボトムアップ的な方法です。私は実践を通じて、身体からはたらきかけていく方法の有効性を感じています。

EMDRについては、その作用メカニズムは未だ明らかになっていない部分も多いです。ただ、治療効果はとても高くて、その効果についてはWHOも認めているし、私自身もその強力さを感じます。比較的単純な方法でも、人間は生れながら、自ら回復する力を持っているということなのだと思います。スイッチを押すことで人間の回復力が刺激されるわけです。

メカニズムが完全に解明するまでは完全に使うべきでない、と考えることにはむしろ不利益が多い。一方で、技法に頼らずともクライエントの安全感を守りながら、素手でもやれる臨床家が、ひとつの武器として治療技法を持っている、という姿勢が大切なことだとも考えています。この人は信頼できるという感覚を持てたり、安心感を持てるかどうかが、カウンセラーを選ぶうえでは重要です。

ーー藤本先生のカウンセリングは、どのような人に受けてほしいですか?


うちのカウンセリングルームは、トラウマを専門にしています。自分にトラウマなどと言われると関係ないと思われるかもしれませんが、トラウマとは、心の傷です。それには日常生活での傷つき体験も含まれます。

このようなトラウマに起因する課題や、あるいはトラウマそのものは意識していなくても、心に何かひっかかりがあって前に進めないでいるような方に、来て頂きたいと思います。男女問わず安定した人間関係ができずにいる、というのもひとつのキーワードかもしれません。職場での人間関係や家庭でDVを受けていたり、安心感のある関係性がつくれない場合などにも、訪れてほしいですね。

訪れてくださった方にあわせて、様々な技法を組み合わせセラピーを行っていきます。思い出したくない過去を持っていたり、逆についつい何度も思い返してしまう記憶があったり、眠れなくなったりするような症状で疲れを感じている場合にも、ぜひご相談ください。

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