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母性愛神話と「子供がかわいいと思えない」母親の苦悩

更新日 2016年12月19日 |
カテゴリ: 子育て・家族関係
母性愛神話と「子供がかわいいと思えない」母親の苦悩

子育ての理想と現実

子育てが辛い、ストレスに感じると感じる母親は多いはずです。

複数の教育雑誌の協力のもと、母親を対象としたアンケートが過去に行われました。アンケートの結果は、

「子供がかわいく思えないことがある。」が78.4%、
「子育てがつらくて逃げ出したくなることがある。」が91.9%

でした。つまり、子育てをつらいと感じてしまうのは、極めて普通のことなのです。

そのように感じてしまうお母さんの中には、イライラのあまり、お子さんをを叩いてしまったことがある方もいらっしゃるかと思います。手を出してしまった後「私はいい母親をやれていない。私には母性がない。どうしていいのかわからない。」と自己嫌悪に陥ってしまうような経験をされた方は多いのです。

ただ、そういった苦しみを持ってしまうのは、育児に対して真面目であるが故とも言えます。お子様に対して愛情をきちんと持っているからこそ、理想の母親像に義務感を覚え、現実とのギャップに悩み、自己嫌悪を覚えてしまうのです。

では、理想の母親像とは、どのようなものであるか。また、理想の母親像が、どのような経緯で母親の心にプレッシャーを与えるに至ったのかを一つの社会現象として見ていきましょう。

子育てのマインドとしての母性愛神話

「母性は女性が生まれながらに持っている本能で、女性なら、誰でも愛情をもって上手に子育てができる。」という考えを持っている人は多いようです。

確かに、そのようなことができれば素晴らしいことです。しかし、母親だって一人の人間です。子供に対してイライラしたり、子供を鬱陶しく感じる母親がほとんどであることは、先述のアンケートが示していましたね。

では、母性は本当に女性が持つ本能であって、子育ては母親が行うものなのでしょうか。歴史的にみると、必ずしもその考え方が正しいとはいえません。

エリザベート・バダンテールというフランスの教育哲学者が、興味深い研究を残しています。バダンテールによると、18世紀後半のパリの人口統計では、一年間で生まれた2万1千人の新生児のうち、母親によって育てられた乳児は、わずか1千人程度だったそうです。当時のパリでは、ある程度の年齢になるまで子供は里親に育てられるという習慣がありました。

日本でも、まだ農民が人口の大半を占めていた時代では、母親は農業に専念し、育児は祖父母が担っていたという民俗学的な研究もあります。つまり、文化的には必ずしも母親の母性に依存した子育てが一般的ではなかったのです。

日本の母性を研究している第一人者である大日向雅美氏によると、日本の母性観は、1970年代ごろに変わり始めたようです。当時の自民党の福祉予算削減策の一環として、乳幼児予算削減案がありました。「日本型福祉社会構想」によると、政府は「子育ては保育所を使わずに母親が家庭で行うべきだ!保育所よりも、母性愛をもつ母親が適している!」とその予算削減案を打ち出したのです。

さらに、当時は、経済の担い手のほとんどが男性だったこともあり、子育てを母親が行うというのは企業側にも都合がいいとして、そのような考え方が広く社会に流布しました。

1999年に行われた世論調査では、「母親が育児に専念すべき」「父親は許す範囲で育児に参加すれば良い」が67%を占めていました。近年、徐々に男性の育児参加が叫ばれてきたとはいえ、2011年でもその比率60%まで下がったに過ぎず、いまだに大多数は母親中心の育児を前提としているのです。

母性愛神話に惑わされず、自分の限界を自覚し、助けを求めよう

社会的には「母親には母性が備わっていて、母親が中心になって子育てをすべき」という考えがあるために、母親ばかりが役割を担い、責任を感じてしまいがちになります。しかし歴史的にみると、本来は地域単位で担ってきた育児を、一人の母親に押し付けているのですから、難しくて当然なのです。

いつもは母性を持ってしっかりと子育てをしている母親であったとしても、自分の調子が優れないときには不安や不快感を持ってしまうのも、自然なことです。

「母性なんてもともと持ってるものじゃないんだから、最初から育児なんてできなくて当たりまえ。」と考え、自分の親や夫、地域社会と分担する方法を模索していきましょう。行き詰まったときに苦しさを打ち明けられる相手にいてもらうことが、育児を一人で抱え込み、ストレスを子供や自分、家族にぶつけてしまう前に必要なことなのです。

参考文献

大日向雅美 母性愛神話の罠
厚生労働省 平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る- 

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