主人公症候群とは何か?―自己中心的なだけとはどう違う?

更新日 2024年10月17日 | カテゴリ: カウンセリング

主人公症候群とは何か?


主人公症候群とは、自分の人生を物語や映画のように捉え、自分自身を物語の中心人物として認識する心理状態を指します。この言葉はSNSから生まれたもので、正式な症候群や精神疾患ではありません。しかし、一部の精神的な状態と重なる部分もあるとされています。

主人公症候群の主な特徴としては以下が挙げられます。

  • 自己中心的な世界観
  • 過度な自己重要感
  • 他者への共感性の鈍化
  • 現実からの乖離傾向

自分を主役や主人公のように見ていると、人生という舞台で常にスポットライトを浴びているかのような錯覚に陥ります。もちろん、誰もが他人の視線を意識して多少の演技をすることはありますが、しかし、主人公症候群ではその傾向がさらに強まります。素の自分を隠し、他人に見せたい自分のイメージを作り上げようとする行動をつねにとってしまうようになるのです。

例えば、日々の出来事を物語のように構成し、自分を中心に据えた「ドラマ」のように演出します。また、他の人が自分の話を聞きたがっていると思い込んで公共の場で大声で話したりすることも挙げられます。

ときには、周りの人たちを軽んじてしまうこともあります。周囲の人々を自分の物語の「脇役」扱いしてしまうからです。そのため、本来自分が目立つべき場面でないにもかかわらず注目を集めようとすることがあります。例えば、友人のためのお祝いの場でも自己アピールをしてしまうことや、誰かが自分の悩みを打ち明けている場面で、会話を突然自分の趣味の話題に切り替えたりしてしまいます。

極端な場合、周囲の人々を「味方」か「敵」かの二極で判断するようになります。つまり、自分の物語を盛り上げてくれる存在か、それとも邪魔をする存在かという単純な図式でしか他者を認識できなくなるのです。

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主人公症候群の原因

SNSは、主人公症候群が生まれやすい主要な環境だと考えられています。常に自己をアピールする場が提供され、自己演出の機会が増加しているからです。しかし、SNSだけがこのような自己認識の変化を引き起こすわけではありません。

不安感や自己不信、自尊心の低さを持っている人は、主人公症候群を発症しやすい傾向があります。こうした性格の人は、自分らしくいることに不安を感じ、素の自分でいることが苦手な場合があります。そのため、周囲に見せたい理想の自分を演じようとする傾向が強まるのです。また、他者からの認知や承認を得たいという欲求が、過度な自己演出につながることがあります。

主人公症候群とSNS

SNSは、誰にでも「観客」を得る機会を与えているといえます。SNSのフォロワーが増えるにつれて、常に「ステージの上にいる」「誰かに見られている」と感じやすくなり、簡単に自分の生活を一種のパフォーマンスに変えることができるのです。

特にSNSでは、良いことやきれいな瞬間だけを見せることがよくあります。自分の生活がSNSでどう見えるかを気にして、いつも演じているように見える人もいます。SNSでは、自分の人生をまるでショーのように見せることが目的になってしまうこともあるのです。

SNSがもたらす現実認識のゆがみ

SNSやインターネットに多くの時間を費やすと、現実との感覚がずれてしまうことがあります。他人と自分を絶えず比較するようになり、相手も同じように自分の生活を取捨選択して見せていることに気づかないかもしれません。そして、そうした比較の中で「自分は劣っている」と感じると、より良い印象を与えようとして無理に演出しようとすることにつながります。

その結果、日常の出来事を「SNS映え」するかどうかで判断するようになることがあります。たとえば、リアルな瞬間をもっと「Instagram映え」するように工夫したり、その場をどうSNSで紹介するかを常に考えたりするようになります。

このように、オンライン向けに自分の生活を演出する習慣は、やがて現実の生活にも影響を及ぼすことがあります。

主人公症候群の症状

主人公症候群の兆候の中には、肯定的に捉えられるものもあれば、そうでないものもあります。

例えば、「自分が壮大な物語の主人公である」という感覚は、モチベーションや自信を高める助けになることがあります。不安や自己不信、自尊心の低さに悩んでいる人にとっては、これらの感覚がプラスに働く場合もあります。しかし、一方で否定的な側面も見られます。

主人公症候群の特徴

以下のような行動や考え方が見られることがあります

  • 自分が実際より重要だと考えたり、他人に対する自分の行動の影響を過大評価する
  • 現実を歪んで認識してしまう
  • 自分の行動の結果や影響を見落とす、または気にしない
  • 注目を集めるためだけに行動したり、大げさな振る舞いをする
  • 自分の問題を美化し、「成長のために必要な試練」と思い込む
  • 自分の価値観や信念に反する行動をしたとき、違和感を感じてもそれを正当化しようとする
  • 本来の自分らしくない服装や行動をする

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主人公症候群の対処法

どこへ行っても自分が主役のように振る舞っていると、人間関係や日常生活に支障をきたすことがあります。

しかし、自分のことを主人公だと思い込みがちだと自覚することで、それをコントロールし、生活のバランスを取り戻すことができます。

主役から一歩引くタイミングを知る

主人公症候群が、良い友人であることを妨げないようにしましょう。他の人の特別な瞬間には、脇役に回ることが大切です。

  • 友人が嬉しいニュースを共有したいときや、悩みを打ち明けたいときは、相手の話をきちんと聞きましょう。
  • 他人の誕生日、結婚式、祝いの場では、目立とうとせず、その人の時間を尊重することが大切です。
  • 普段から、家族や友人と接するときに「今、自分が目立ちすぎていないか?」と一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。

本当の自分と向き合う

自分の行動が本当の自分の価値観や信念を反映しているか、冷静に振り返りましょう。

  • その行動は、自分の本来の好みに沿ったものですか? それとも、ただの演じている自分でしょうか?
  • その行動を今後も続けたいかどうか、意識的に判断しましょう。

素の自分に立ち返ることで、自分が誰であるかを再確認し、無理な演出を減らしていくことができます。

人間関係を見直す

自分では気づいていないかもしれませんが、自分の「主人公症候群」が他人を傷つけていることがあります。友人や家族、パートナーが、あなたが自分の話ばかりしていて、相手の話を聞いていないと感じているかもしれません。

大切な人たちと正直な会話をしましょう。次のような質問をしてみると良いでしょう。

  • あなたは、ちゃんと話を聞いてもらえていると感じますか?
  • 私はあなたの話をきちんと聞いていますか?
  • 私がもっと良い友人/パートナー/兄弟姉妹になるために、どんなことができると思いますか?
  • 私たちの関係の中で、私にもっとこうしてほしいと思う場面はありますか?

彼らの答えは、聞くのがつらいこともあるかもしれません。彼らの言葉に耳を傾けるときは、自分を弁護しようとするのではなく、静かに聞くことに集中してください。

一つのことに集中する

自分を完全に変えようとすると、本当の自分を見失いがちです。より良い自分を再構築したいのであれば、まずは自分の中で変えたい小さなことに焦点を当てましょう。

例えば、性格の一部を変えたい場合、他の人が話しているときに頻繁に割り込んでしまうことを改めたいと思うかもしれません。また、外見に関することでも構いません。例えば、もっとおしゃれになりたいというのも一つの目標です。ただし、一度に一つのことに取り組むようにしましょう。その変えたい理由を自問自答し、具体的な計画を立てて、そこに集中します。

カウンセラーに相談する

もし「主人公症候群」があなたの生活に大きな影響を与えていて、自分をコントロールできなくなっていると感じているなら、心の専門家が助けてくれるかもしれません。オンラインでカウンセラーを探すこともできます。専門家のサポートを受けることで、あなたの状況が改善される可能性があります。

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まとめ

  • 主人公症候群とは、どんな状況でも自分が人生の物語の主役であり、他の人は二次的な存在であるという考え方です。これは実際の症候群ではなく、ソーシャルメディアで生まれた表現です。
  • 自分自身で主人公症候群を抑えるためのステップを踏むことができます。また、カウンセラーが、その症候群を改善する手助けをしてくれることもあります。

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