「手のかからない子だと思っていた」--子供の感情表現を失わせないために

更新日 2024年08月25日 | カテゴリ: 子育て・家族関係

泣く、笑う、怒るなどの感情表現が行えず、集団生活に入って支障を来している子供の数の報告は年々増えています。
自らが感情表現をしないというだけでなく、相手の表情や怒り・哀しみなどの感情が理解できず、コミュニケーションが行えないというトラブルも頻発しているようです。


このような子供たちについては、赤ん坊の頃に「サイレント・ベビー」であった事が多いという報告もあります。
笑ったり泣いたりすることの無い「サイレント・ベビー」が何故育ってしまうのか?
ここでは「サイレント・ベビー」が育つ環境についてを紹介していきます。

1. 子供は生まれつき笑うわけではない?

私達人間の心には、毎日何かしらの「感情」が生まれるものです。
怒ったり、悲しんだり、それを顔や言葉、態度にあらわして表現する術も持っています。

しかしこれらの「感情」と「その表現」をする術は、実は生まれ持って備わったものではありません。
日々の親や周囲の人間との関わりの中で、「感情表現をすることの重要性」を学んでいくものなのです。

生まれたての赤ちゃんは、「笑う」ということを知らない--これをご存知でしょうか?
生まれたばかりの赤ちゃんがちょっと笑うように見えることがありますが、これは痙攣の一種で本来の「笑顔」では無いもの。 親や家族などの周囲の笑顔を見て赤ちゃんは「笑顔」を知り、自分が快適なときに笑顔になれば相手も笑顔になってくれること、笑顔になることで相手との快適なコミュニケーションが生まれることを言葉ではなく「態度」で学んでいくのです。

そのため周囲とのコミュニケーションが無ければ、赤ん坊は「笑顔」の大切さ、笑うことを覚えないままに大きくなっていきます。
笑わない大人たちに囲まれていれば、「笑わない子供」が出来上がるのはカンタンとすら言えるでしょう。

2. 「泣かない子供」が生まれる環境とは

赤ん坊がまず最初に覚える感情表現は「泣く」ことです。
空腹や不快感を訴える術として、「泣けば解決される」ということを学習していきます。
無力な赤ん坊に取って、泣くことは唯一の生命維持をするための重要な感情表現なのです。

しかし、いくら泣いてもミルクが与えられなかったり、暖かく抱きしめられることがなかったらどうでしょうか?
子供は「泣いても無駄なのだ」という「無力感」を学習していきます。
そして、いつしか泣くのを止めてしまうのです。
心理学でいうところのこの「学習的無力感」は、非常に大きな影響を心に与えます。

泣かない子供、笑わない子供を育てた親の中には、このような「サイレント・ベビー」を「手がかからない子供で、楽だと思っていた」と話している人が少なくありません。

「放置しておいたら泣かなくなった」--このような環境で生まれた「泣かない子供達」は、感情表現を学ぶ環境が無いままに成長をしていくことになります。

3. テレビ・スマホの台頭が子育てに影響を与えた?

サイレント・ベビーが増えている理由のひとつとしては、「テレビ」が子育てに使われるようになったことの影響が非常に大きいと考えられています。
テレビは付けておけば常に何かが動いているため、「テレビさえ見せておけば子供はおとなしい」と、テレビに子守を任せてしまう親が増えているのです。

しかし、テレビは「テレビ側」からしか感情表現が行われないものですよね。
今でこそ地デジの影響で「双方向性」が謳われるようになりましたが、こちらが笑おうが泣こうが、テレビの向こう側の反応が変わるわけではありません。
ですからテレビをいくら見せていても、子供は「自分の感情表現が相手に影響を与える」という学習はできないのです。

加えて言えば、ゲームも同様です。
自分の操作で相手の感情が変わることはゲームでもありますが、これはあくまでも「操作を選択している」というだけであって、「自分自身」が何か怒ったり、悲しんだりしているわけでは無いものです。
そのため、人間同士でのコミュニケーション(感情表現)を学ぶということには残念ながら繋がりません。

さらに携帯電話・スマホの台頭が「親が子供を観る回数」を減らしているとも言われています。
一緒に居ても親が自分を見ない、泣いても笑っても親の視線がスマホを向いているとしたら、これは「放置をされている」のと同然ということになるのです。

おわりに

子供に顔を合わせて話しかけたり、抱きしめたりというスキンシップは、「生物としての成長過程としては不要なのではないか?」と思われてしまうことも多いものです。
しかし子供が「人間」として育つために、感情表現やコミュニケーションができるようになるためには、親や周囲とのスキンシップを欠かすことはできません。
子供の顔を見て話すこと、子供に話しかけること--日々これらのコミュニケーションをきちんと行うことを日々忘れないようにしてみましょう。

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