子供への虐待は連鎖する?「白雪姫コンプレックス」とは

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 子育て・家族関係

日本でも「幼児虐待」の報道が頻繁に行われるようになり、虐待に対する人々の関心は徐々に高まっているものの、「虐待の背景」についてはいまだ関心を持つ人は少なめです。 「なぜ、子供を可愛がれないのか」「なぜ子供を憎いと思ってしまうんだろう」--我が子を愛せずに苦しみ、「いけない」と思いながら虐待へと走ってしまう、そんな心はなぜ生まれるのでしょうか。 ここでは虐待の背景のひとつとなっている「母親から子供へのコンプレックス」である「白雪姫コンプレックス」について、わかりやすく解説をしていきます。

1. 「嫉妬と虐待」の物語である『白雪姫』

グリム童話『白雪姫』の基本ストーリーは誰もがご存知ですよね。 白雪姫をうとんだ継母は、狩人に命じて森で白雪姫を殺させようとします。 逃げ出して七人の小人と暮らし始めた白雪姫のことを知った継母は、今度は「毒りんご」を用いて白雪姫を殺そうとするのです。 王子様の助けによって毒りんごが吐き出され回復した白雪姫は、王子様と無事に結婚しました、めでたしめでたし… これが多くの人がご存知の「白雪姫」であることでしょう。

ところがこの物語を描いたグリムは、元々この話を「継母」ではなく「実母」として描いていたそうです。 ちなみに王子と結婚をした後の白雪姫は、自分を殺そうとした実母に焼けた鉄の靴を履かせ、命が絶えるまで踊らせたという壮絶なエンディングも付いています。

『白雪姫』とは実母による娘への嫉妬と虐待のストーリーである…心理学的に見ていくと、白雪姫はこのような物語であると言えます。

2. 「愛されなかった子供」の心が生む復讐心

『白雪姫コンプレックス』とは、この「王子様と結婚した後の白雪姫」から考えられた言葉です。 一見するとハッピーエンドに思える王子様との結婚ですが、実母によるひどい虐待を繰り返し受けてきた白雪姫は、自分の子供に対して同じような虐待をしてしまう可能性が高い、「悪い、いけないことだ」と知りながら止められない…このような指摘が行われ、母から娘へと受け継がれる「虐待の連鎖」についてを指す言葉となりました。

問題となるのは、虐待を受けた子供(白雪姫)の心の傷が癒やされていない可能性が高いという点です。 被虐待児の中には、虐待を行った母への怒り、守ってくれなかった父・周囲環境への怒り、そして復讐心などが残ってしまうケースが少なくありません。 これは例え王子様(夫)と幸福な結婚生活を送っていたとしても、という但し書き付きです。 「親・周囲に向けられず、昇華できなかった怒りや復讐心」が向かう先が、「自分の子供」という存在なのです。

3. 「虐待」は「精神的な虐待」となることも

『白雪姫コンプレックス』は、その言葉が出てきた当時には主に身体的な虐待を指す言葉として使われてきました。 例えば子供を殴る・蹴るなどの暴力、食べ物を与えないと言ったものです。 ところが最近では、言葉や態度による精神的な虐待の背景にも『白雪姫コンプレックス』が関係しているケースが多いのではないかと考えられるようになっています。

例えば母親から男女差別・容姿や能力の嘲笑等の精神的虐待を受けてきた子供が、成長して自分が子供を産んだ時に、同じような精神的虐待を自らの子供に与えてしまうというものです。

また「息子はカワイイけれど娘はまったく可愛がれない」等の男女性別等による待遇の格差付け、「娘がキレイでカワイイ格好をするのが許せない」と言った服装等への強い規定、育児放棄(ネグレクト)、子供への著しい無関心などに現れることもあります。

精神的な虐待を行っている母親の場合、「なぜ娘が愛せないのかがわからない」「なんとなく『良くないコト』だとはわかっていても止められない」等、虐待の根本的理由にまったく気づいていなかったり、「娘が悪いのだ」という言い訳作りをしてしまっているケースも少なくありません。

おわりに

虐待を受けてきた子供の中には、虐待の記憶を無意識のうちに封じ込めていることもあります。 また精神的虐待などの場合、「過去の親からの待遇が虐待だった」という認識自体ができていないということも珍しくありません。 このような被虐待児からその子供に受け継がれる虐待の連鎖を断ち切るには、まず被虐待児であった母親が専門医・カウンセラーの診断を受け、自分自身の心を受け止め、癒やすことが大切です。

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