「自分は重い病気だ」と思い込む--「心気症」の3つの特徴とは?

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: もやもやする

「胃が痛いんです。胃がんじゃないでしょうか?検査をしてください」--こんな質問を急に医師にぶつけてくる患者の率は、実は年々上昇傾向にあると言われています。 「自分は病気に違いない」「重い病気で治らない」何度もこんなことを言われて検査で何も出なければ、家族や周囲は「仮病だ」「嘘つき」と思うかもしれませんね。

しかし、このような繰り返される重病への不安は心の病気のひとつ。 「心気症(しんきしょう)」という精神障害のひとつであり、治療を受けるべきは「心」なのです。 ここでは心気症の3つの特徴について、わかりやすくご紹介していきます。

1. 医学書やネットで「特徴が似た病気」を探しだす

心気症の人は、ごく小さな自分の体に対する違和感を見逃しません。 例えばわずかな熱(37℃にもならない程度のもの)、咳、軽い腹痛などが起こった場合、通常であれば「風邪かな」と思う程度ですよね。 体を大切にする人であれば、早めに寝るとか、栄養のあるものを食べるといった対処をすることでしょう。

ところが心気症の人の場合、「発熱」をしたら「発熱」が症状として出てくる病気をくまなく調べてしまいます。 そしてできるだけ重い病気を探しだし、「自分はこの病気に違いない!」と思い込むのです。 咳があれば「結核かも」、腹痛があれば「がんかもしれない」、動悸がおこれば「心臓に問題が」というわけです。

従来の心気症では「なんとなく具合が悪い、なにかの重い病気だと思う」という人も多かったのですが、最近では上記のような「病気特定」をする人が増えている傾向も見られているようです。 これにはスマホやパソコン等で手軽に特殊な病気やその症状を探し出せることが影響していると言えるでしょう。 インターネットで病気を探しだし、その重さや辛さを更に調べて更に大きな不安に駆られることになります。

2. 繰り返される受診・検査とドクターショッピング

心気症の人は僅かな具合の悪さですぐに病院に向かい、医師に向かって不具合を述べます。 大抵の場合には通常の診察を受け、「特に問題が無い」であるとか「風邪ですね」と言われる程度に終わることでしょう。その具合の悪そうな訴えの重さから、レントゲン検査等の様々な検査を受けることもあるようです。

いずれにしても身体に問題は見られないため、医師からは「健康です、問題ありません」という結論を得ることになります。 ところがこのような「健康体という診断」や「風邪などの軽い病気」に心気症の人は納得しません。 「あの医者はきちんと検査していない」「病院がおかしい」等と言い始め、他の病院を何件も回るようになります。 これがいわゆる「ドクターショッピング」と言われるものです。

「病状を重く受け止める医師」や「検査をしてくれる医師」を求めて病院巡りが続くようになるケースは珍しくありません。 病院側も何度も来られれば対処ができますが、初診の患者の心理状態まではわからないため、「心の病気である」ということに気づかないままになってしまうのです。

しかし、ここで周囲が知っておきたいのは、本人は「心から病気を恐れている」という点。 「重病であるに違いない、それが見つかっていないだけで、きっと特殊な病気なのだ」という恐怖がそこにあります。 いわゆる「仮病・詐病」といったものとは根本的に異なるのです。

3. 不安から身体的症状を起こす

心気症の症状が重くなると、本人は日々の病気への強い不安とストレスから、ついに身体的な症状を発症することが増えます。

心配事があるとき、胃が痛くなったり、おなかをくだしたりする人は多いですよね。 ストレスで発症しやすい身体的症状としては、腹痛(胃痛)、吐き気・嘔吐、食欲不振、下痢、またアトピー性皮膚炎等のアレルギー症状の悪化等も挙げることができます。 このようなストレス性の身体症状が日々あらわれてくるわけです。

ところが、心気症の人はこれらの症状を「ストレスのせい」とは認めません。 「見つかっていない病気が更に重くなった」「別の重い病気にもかかった」と受け止めてしまいます。 「もう自分は死ぬに違いない」と強い悲観視をしたり、さらにはうつ病になってしまうケースも珍しくありません。

おわりに

非常に様々な病気を調べあげてくる「心気症」の人ですが、不思議なことに「自分が心気症ではないか、これは心の病気ではないか」という点に思い至ることはなかなかありません。 身体的な違和感に常に過剰に気を配っており、さらに「死に至る病(重い病)」を望みやすいことが「精神障害」が選択肢に上がらない理由であると考えられています。

家族や恋人、周囲に「もしかして」と思うことがあれば、薦めるべきは精神科や心療内科です。 専門医による薬物治療とカウンセラーによる認知行動療法をしっかりと続けていくことで、心気症やそれに伴ううつ病などを寛解させた人は大勢います。 「仮病だ、心配症だ、嘘つきだ」という思い込みを捨てて、ぜひ早めの受診を勧めましょう。

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