強迫性障害に立ち向かい、打ち勝つための7つのコツ|臨床心理士 矢野 宏之

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: カウンセリング

強迫性障害とは、強迫観念と強迫行為が悪循環を起こしてしまう病気です。治療には、SSRIを中心とした薬物療法と認知行動療法(曝露儀式妨害法)が用いられます。なかなか根気が必要ですが、その治療の中からポイントを紹介します。

1. 20時間は暴露儀式妨害法してみよう

暴露儀式妨害法とは、不安に直面しながらも儀式を行わない治療法です。洗浄強迫ならば、汚いと思うものに触れて手を洗わないなどの方法を行います。ある研究では、暴露儀式妨害法が効果を出すには20時間が必要であったそうです。なかなか暴露儀式妨害法を行う勇気がない人でも、20時間は頑張ろうと目標があると取り組みやすくなります。

2. 考えを変えようとしないで、行動を変えよう

強迫観念は、頭の中で起こります。何とか大丈夫だと自分を説得し、気を紛らわそうとすればするほど、強迫観念は強固になってきます。多くの人は強迫観念を消そうとしますが、強迫観念そのものを消す試みは失敗します。強迫観念には抵抗せず、自分の行動だけを変える方がうまく行きます。

3. 迷ったら強迫と思え!

強迫性障害の人は、トイレから出てきたら手をどのくらい洗うべきか、家を出るときに鍵は何回確認をしたほうが良いのかと悩みます。この悩みを解消するために周囲の人にきいて、清潔であること・安全であることを保証してもらいたい衝動にかられる人もいます。しかし、悩んでいる時のほとんどは強迫観念です。迷ったら、その行為はしなくてよいと覚えておきましょう。

4. あきらめるなら、さっさとあきらめる

今日は強迫行為をしないと決めてもどうしても辛い時があります。うつ病との関連で、調子が悪いときは強迫行為をしたくなるという方もいます。特に治療中の方に多いのですが、15分くらいは我慢したものの、強迫行為をやってしまったというパターンもあります。これでは、治療になりませんし、治療をやっているという錯覚に陥ってしまいます。我慢をしたのに強迫行為をするくらいならば、さっさとあきらめて、「今日は強迫行為をしてしまった、次はしないようにしよう。」と思うほうが次につながります。

5. 強迫に与える時間を減らそう

強迫性障害の好きなものは暇です。暇があるほど、強迫行為に費やせる時間が増えるからです。なるべく、日中もデイケアや仕事をするなどをして強迫行為に費やす時間を減らしましょう。極端な人では、仕事中は忙しくて強迫行為をしない人もいます。

6. 寛解しても時々は認知行動療法をやり続けよう

無事に寛解状態になったとしても、調子が悪い時期が必ずやってきます。その調子が悪い時に、一気に再発してしまう人と踏みとどまれる人の差は、寛解後にどれだけ認知行動療法をやったかにかかってきます。寛解状態になった後も、時々でもよいので暴露儀式妨害法を行うと再発のリスクは下がります。

7. 応援してくれる人を探そう

強迫性障害の治療はとにかく根気が必要です。そのためには仲間が必要です。他の人の話をきいて、自分の病気に対する理解が深まることもあります。また、調子が悪い時には励ましてもらうこともできます。そんな仲間が身近にいると治療に取り組みやすくなります。家族の協力もとても大切です。

まとめ

強迫性障害の治療は、とにかく根気が必要です。しかし、認知行動療法に取り組めば、必ず改善します。薬だけの治療でも、不安に直面しなければ改善はしないことが分かっています。また、薬物療法だけで寛解してしまうと、再発のリスクが高くなります。ここでのコツを生活に取り入れて、強迫性障害と上手に付き合っていきましょう。

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