人はなんのために生きるのか?「生の意味」を考えるためのヒント

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: もやもやする

人はなんのために生きるのか――。

おそらく有史以来、幾度となく繰り返されてきた問いであることでしょう。

「人はなんのために生きるのか」という問いに答える学問としては、社会学、進化生物学、医学、宗教学、工学、哲学、脳科学、心理学など、さまざまな学問があります。

そこで臨床心理学におけるロゴセラピーの観点から、「人はなんのために生きるのか」という問いを一緒に考えてみたいと思います。

死が恐ろしいから、生きている?

「あなたはなぜ生きているのですか?」と聞かれて、「生きる意味は分からないが、死ぬのが恐ろしいから生きている」という回答をする人もいます。

確かに死は恐ろしいものです。しかし、哲学者の中島義道先生は、死が恐ろしいのは『まったくの無になるのが恐ろしい』というストレートな感じというよりも、ずっと無であったのに、一瞬だけ存在して、また永遠に無になる、という途方もなく残酷な『あり方』に対する虚しさ」であり、「自分がこれほどの残酷な運命に投げ込まれたことに対し、どうしても納得できないからだと言います。

(引用元:中島義道『「死」を哲学する (双書 哲学塾)』岩波書店

ところで、この考え方に対しては感想が2通りあるかと思います。

1. 「どうせ人間は死ぬのだ、生きるのはむなしい、はかなく悲しい」と悲観的になり、絶望する。
2. ただ悲観的なだけで終わるのではなく、「それでも人生には意味があると思う」と考える。

1の考え方は大変苦しいと思います。この「自分の存在がなんの意味ももっていない」という感情を、「実存的空虚」と言います。実存的空虚から脱却し、人生に意味を見出すようにするには、どうすればよいのでしょうか。

 

自分の実感を取り戻す機会を意識的にもつ

忙しい毎日に追われていると、「自分を生きている」という実感がもてずに、むなしくなります。むなしいから、気持ちを紛らわせるためにますます忙しくしてしまうのです。

このような悪循環を断ち切るためには、自分の主体性と実感を取り戻す機会を意識的にもつことが必要です。では、どうすれば自分の実感を取り戻せるのでしょうか。

3つの価値領域

ビクトール・フランクルは、人生で実現すべき意味の手がかり通して、3つの価値領域をあげています。

1. 創造価値

仕事などを通して実現される価値。フランクルは仕事の大小にかかわらず、その人が「自分なりの使命をどれだけ果たせたか」が重要であると考えました。

2. 体験価値

人や自然と触れ合う体験、芸術の体験、誰かを愛する体験など。つながりを通して「生きている喜び」を見出すことです。

3. 態度価値

人生には、自分では変えることのできない要素がいくつもあります。容姿や生まれた家、障害、寿命など――。そういった「与えられた運命」をどう引き受け、どういった態度でそこから生きていくかによって、その人の人生の真価が分かる、とフランクルは考えました。

今の状況下で、自分にできることはなにかを考える

結局のところ、「人はなんのために生きるのか」という問いに対し、画一的な答えというものは存在しないのだと思います。「今・ここ」という瞬間において、そのときそのときに自分が「なすべきこと」「できること」を明確に見出し、それをまっとうする――。それこそが、人生の有効な「使い方」であるのかもしれません。

人生は「ツール」なのかもしれない

人生は、「なすべきこと」「できること」を果たすためのツールという側面ももっています。生きること自体が目的であれば、人間はゆくゆく必ず死ぬので、そこには絶望だけが待っているということになってしまいます。

ですが、人生をツールととらえれば、今、「なすべきこと」「できること」を実行しようという気になるのでないでしょうか。

仕事、子育て、なんでもいいと思います。あなたが今、「なすべきこと」「できること」はなんでしょうか。

あなたも、「なすべきこと」「できること」について考えてみてください。そして、自分なりの答えを見つけたら、ほんの少し勇気を出してそれを実行してみてください。そこから、生きる意味が見出されるのではないでしょうか。

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