更新日 2024年08月29日 | カテゴリ: 習慣を変えたい
手首や腕、あるいは腹部や足--様々な体の部分をカッター等の刃物で切りつける「自傷行為」。 これが常態化した状態は「リストカット症候群(リストカットシンドローム)」と呼ばれています。
10代~20代の若年層に多く見られ、また女性の率が80%近くであるため「少女の病気」と言われることも多い症候群です。 現在でも10代女性の1%--100人に一人がリストカット症候群であると考えられています。
なぜ彼女たちは、何度も手首を切らずにはいられないのでしょうか? ここではその理由について探っていきます。
まず最初に知っておきたいのが、「自傷行為=必ずしも自殺を企図した行為ではない」という点です。 ほとんどの場合、刃物で傷つけた傷は浅いことが多く、致命傷となるケースは4%~5%未満となっています。
「切る、血が出る、痛みを感じる」この自己破壊的な感覚を求めている行為です。 もちろん「死のうと思った」「死にたかった」と言う人は少なくありません。
しかしその心の奥にあるのはむしろ「生きたい」という叫びであるとすら言えるでしょう。 ただし理由を尋ねても自分の中で回答が明確にならず、「衝動的に」「切らずに居られなかった」という曖昧な理由が多く見られます。
またリストカット症候群が自殺企図者とは異なるのが「繰り返し、何度もリストカットを行う」という点です。 当初は何らかの悩みを感じてリストカットを行った場合でも、繰り返しリストカットを行ううちに理由が明確にならなくなっていくケースも少なくありません。
リストカット症候群となった女性に多く見受けられるのが、母親との関係性が過度に密である、もしくは過度に離れすぎているというものです。
人間は赤ん坊の時には自立ができず、母親もしくはそれに変わる人に依存をする形で成長していきます。 徐々に大人になるにつれて母親から離れ、分離(自立)をしていくわけですね。
ところがこの「分離・自立」がうまくできないと、母親・両親に対してだけでなく様々な人間関係に対しても不安を感じるようになります。 そのような不安に直面したくない、逃げたい--このような逃避行動として、リストカットをするケースも多く見られています。
分離不安によって「愛されている」という確信が得られないと、対人関係においては常に「見捨てられる」という状況に対して強い怯えを抱き続けることになります。
友人・恋人等に対して強く依存し、その依存性の高さから相手から距離を置かれる、反対に「見捨てられる前に見捨てる」といった行動を起こすといった事例も見られる等、人間関係がうまくいかなくなる傾向が強く見られるのです。
このような状況下における孤独感・見捨てられ感を打破するために、リストカットを行うケースも多々あります。 一度リストカットをすると、両親、友人、恋人といった対象は大きく騒ぎますし、リストカッターに対して心配をします。カンタンに言えば「注目を集められている」という状態です。
初期には逃避行動としてリストカットを初め、親・周囲からの注目を集められたことで何度もリストカットを繰り返すという常態化への移行が起こることもあります。
元々成長期の10代の若者達は自我の不安定さ、自分への無価値感を強く感じる傾向にありますが、「人間関係が良好に構築できず、常に不安が強くある」という場合には自我確認(自分が自分であるという確認)が更にうまくできないことがあります。
リストカットという痛みを伴う行為を行うことで、ようやく自分を取り戻せるという安心感を得られるケースも多いようです。
また普段の感情表現や自分の感情確認がうまくできず、怒りや哀しみといったネガティブ感情の処理がうまくできていない場合もあります。 この抑圧された怒り・哀しみ等をぶつける場所が他に見当たらず、手首・足首といった箇所を「自分以外のもの」として感情爆発の対象とするケースも見られています。
リストカット症候群(リストカットシンドローム)は、正式な病名ではありません。うつ病、神経症、また境界性人格障害の症状のひとつとして自傷行為の常態化があると考えられています。 リストカットへの対処について、周囲が自己判断を行うことは危険です。まずは専門家による診断を受け、周囲も指示を受けた上での適切な対応を取る必要があります。
前述の通りリストカット症候群による死亡率は比較的低いのですが、100人のうち4人以上が実際に死亡しているという点は看過できません。自傷行為が止められない、家族にリストカッターが居るといった場合には、速やかに専門医・カウンセラー等への相談を行うようにしましょう。
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