夫・妻の浪費癖で夫婦関係が悪化した場合に考えたい、その原因と対処法

「うちの旦那、ボーナスや臨時収入が入るとドンドン使ってしまうんです」「妻が洋服に月に何十万もお金をかけて、ちっとも貯金ができない…」

夫や妻の浪費癖で家庭内での関係が悪化し、「言っても治らない」「もはや離婚しかないのか」と悩んでいるというご夫婦は少なくありません。 しかし「夫や妻がなぜ浪費をしてしまうのか?」という心理的な問題について、パートナーが気づいていなかったという事例も非常に多いようです。

なぜ、人は「物を買う」「お金を使う」という行為に走ってしまうのでしょうか? ここではその心理的な原因や、対処法について考えていきましょう。

浪費をしてしまう3つの心理

必要の無いものなのにお金を使いたくなる、ついつい衝動買いをしてしまう…。 このような「浪費」の行為には、以下の3つの心理的な原因が考えられます。

1 )ストレスの発散

特に「衝動的に買い物をする」「元々まったく欲しいと言っていなかったものを、突然買ってくる」といったパターンに多いのが、その原因に「ストレスや不満」の蓄積があるというものです。

【ストレスの一因】


・仕事関係・職場の人間関係等でストレスがたまっている
・夫婦関係に不満がある
・育児疲れをしている
・肉体的な疲労が取れない

ストレスの発散先がわからない、ストレスを発散する時間が見つけられない…このような時、「パッとお金を使ってモノを手に入れる(良いサービスを手に入れる)」という行為は、非常に簡易的で単純なストレス解消となります。

2 )劣等感の穴埋め

女性の場合は洋服や化粧品・エステ等の美容に浪費をするケースが多く、男性の場合には趣味のコレクション、骨董品、車等に出費をするケースが目立ちます。

これらの「美」や「ブランド」「コレクション」にこだわるタイプの浪費の原因にあるのは、自分自身への自信のなさ(劣等感)であることが多いです。

女性の場合には「いつもキレイで流行の格好をしていなくては、女として見られないのではないか」という強迫観念であったり、「母のようにはなりたくない」といった母・姉妹等への思いが影響をしていることもあります。

また友人関係に依存をする人の場合、「キレイで居ないと友人関係が維持できない」「周囲に合わせていないと一人ぼっちになるのではないか」といった恐怖感・見捨てられ感が根底にあることも少なくありません。

男性の場合には、容姿や階級(昇進)等へのコンプレックスの裏返しとして、まったくそれらとは関係の無い趣味に浪費をして、自分自信を安心させようとすることもあります。

3 )孤独感の解消

女性向けの洋服店や美容院・エステ等では、サービスとして丁寧な接客を行ってくれるもの。 また男性の多い趣味のコレクションの店や飲食店では、趣味にまつわる話題で店主と盛り上がったり、店主が常連として特別扱いをしてくれることもありますね。

ひとつの店舗へのサービスにこだわったり、常連であることを無理に維持しようとするといったケースの場合、その心理的な原因には「寂しさ」が隠されていることが多いのです。

「店の人に大切にされる」「特別扱いをされる」「相手が話を聞いてくれる」…このような「お金を払うと得られる人間関係」にのめり込み、本来必要の無い洋服をたくさん買ったり、健康食品を必要以上に買い求めるといったケースも見られています。

パートナーに浪費癖が見られた場合の3つの対処法

1 )パートナーの「不満・ストレスの源」を探してみよう

まずは夫や妻とゆっくりと話す時間を持ち、仕事・家庭面でのストレスの原因を探ってみましょう。 夫・妻のいずれかに浪費癖が見られるご家庭の場合、ご夫婦間でネガティブな話題を避けていたり、ケンカの火種になりそうなことを先延ばしにしているケースも多いです。

重症化してカウンセリングを受けるようになってから、「妻が不満を言わないので、不満は無いと思っていた」と夫側が言う--こんなケースも珍しくありません。 向き合って話をしてみれば、隠されていたストレスが見つかったり、夫婦でのストレス解消策を考えるための最初の一歩にもなります。

2 )パートナーを褒める習慣を付けよう

最近、パートナーを褒めたのはいつですか? 女性の場合には「外見・髪型・ネイル・服装・家事」等、男性の場合には「仕事ぶり・昇進・スタイル」等、パートナーに認めて欲しい部分というのは誰にでもあるものです。

「今更ほめなくても…」と口に出さなければ、浪費癖のあるパートナーはますます自信を失ってしまいます。 「自分はこのままで良いんだ」「自分は自分で大丈夫なんだ」とコンプレックスから抜け出せるように、夫や妻が「褒めて支える」ことが大切です。

3 )夫婦で過ごす時間を増やそう

夫・妻いずれかに浪費癖が見られるご家庭では、「妻が子供にかかりきりになり、夫との会話がなくなっていた」「夫が仕事で忙しく、家にほとんど帰れていなかった」等、夫婦間・家族間での繋がりが希薄となっているケースが多く見られます。 週末には夫婦で趣味を楽しむ時間を作る、時には子供を預けてデートをしてみる等、パートナーの寂しさを癒やす時間を提供してみましょう。

おわりに

浪費癖は重症化している場合、家庭内での対処が難しいこともあります。特にコンプレックス(劣等感)や見捨てられ感が非常に強い場合には、家族の支えだけでは不安が抑えられず、借金をしてでも浪費するといったケースも見られているようです。またギャンブルに対して浪費をしている場合には、既に依存症となっている可能性もあります。

この他、それまで浪費癖がなかったのに、急速に衝動買いが増えた・異常な程に高額な買い物が増えたといった場合、双極性障害の発症といった可能性も考えられるでしょう。いずれにしてもこのような場合、「浪費癖を止めろ」と言い、金銭を取り上げるだけの対処では問題は解決しません。当人の心の問題を改善するために、はやめに専門医・カウンセラーに相談をしましょう。

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