更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: 人間関係を良くしたい
お酒を飲むとひどく暴れて人に迷惑をかける男性がいるとします。家族に暴力をふるったり、大声を上げて近所の人を怖がらせたりという悪行が目立つ人です。その人には奥さんがいます。
奥さんは自分も暴力や暴言を受けながらも、近所の人に「いつも主人が申し訳ありません」と頭を下げます。ご主人は自分で自分の始末をつけず、お酒が原因で生じる問題を全て奥さんに尻ぬぐいさせています。
この状況だけ見れば、ご主人が奥さんに依存して生活している、と誰もが思うでしょう。
問題の後処理だけでなく、衣食住や経済的な面も依存していることが想像できます。
しかし、この状況にある1つの要素が加わると、奥さんもまたご主人に依存していることになります。
それは、奥さんが「この人の世話は私がしなければ」「この人の世話こそが私の役目」と思っていることです。
自分に不利益を被りながらも、問題のあるパートナーを支える献身的な自分の姿に存在価値を見出す。そのため相手の依存を受け入れてしまう。
こうした関係のことを共依存と言います。
互いに依存しあっているのなら問題ないだろう、と思う人も少なくないかもしれません。しかし、共依存の恐ろしさはその閉鎖性にあります。
先ほどの例で言えば、ご主人と奥さんは「夫婦」という関係の中に閉じ込められて他の人へ働きかけようとしません。また、外部からの働きかけに応答しないという事にもなります。
なぜなら「旦那さんにお酒をやめさせた方がいい」「暴力を受けているなら逃げた方がいい」という外部からの働きかけは、奥さんから「夫の問題の後処理」という役目を剥奪するものだからです。それを取り上げられては奥さんは自分の存在価値を見失ってしまいます。
極論を言えば、自分が価値ある人間であると思うためには、旦那さんの飲酒暴力が必要不可欠なものになってしまうのです。
こうして共依存という関係に固執し、2人きりの生活の中で暴力や暴言がまかり通ることになってしまうのです。
共依存に陥りやすいのは、「自罰的で献身的な人」と「相手を自分の思い通りにしようとする人」の組み合わせです。
前者は相手の問題は自分の責任であると感じやすい、相手の気持ちを敏感に感じ取る、自分を犠牲にしても相手に尽くす、1人で生きていく自信がなく人に見捨てられる不安を抱えている、と言った心理的特徴があります。
後者は、人に借りを作りたくない、自分の問題を棚に上げる、人間関係において同じトラブルを繰り返す、嫌なことに向き合わない、と言った傾向があります。
前者が他人を放っておけない傾向にあるのを、後者の人間が利用するような形で人間関係が形成されてしまいますが、前者はそもそも問題が起きても自分のせいだと考えてしまうので、相手を責めようとしません。
そのため問題がなかなか表面化せず、2人がその関係に強く執着するようになってしまうのです。
自分と相手の性格傾向を振り返ってみて、このような特徴が当てはまるようであれば、少し付き合い方を工夫してみる必要があるかもしれません。
1つのコミュニティで問題が起きたとき、どこか他のコミュニティに助けを求めることが出来れば、その人の退路は確保されます。
例えば彼氏とケンカした女性が、友達に彼氏について愚痴をこぼします。
これは「恋人同士」というコミュニティで問題が起こったため、「友達同士」というコミュニティに助けを求めているのです。「恋人同士」を大切にしつつも「友達同士」にも価値を見出しているという事です。
1つの人間関係に固執しすぎずいろいろな関係を円滑に結ぶことで、人はスムーズに社会生活を営み、心のストレスを上手に発散することが出来ます。
時々、恋人が出来ると急に人付き合いの悪くなる人がいますが、そうした人は共依存の予備軍です。
新しい人間関係が出来ても、それまでの関係を大切にすること。
2人で解決できないことを第3者的に分析してくれる他者を持つこと。
それが共依存の負のループに陥らないための人間関係の結び方なのではないでしょうか。
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