更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 子育て・家族関係
アルコール依存とは、長い間大量にお酒を飲み続けることによって、しだいにお酒なしではいられない体質になってしまう病気のことです。いわゆる依存症の一種ですが、「意志が弱い人がなる病気」という誤解が広まっています。
しかしけっしてそうではなく、長期で飲酒を継続することにより、お酒なしではいられない体質に変化してしまい、ひいては酒量や飲むタイミングなどを自分でコントロールできなくなるほどの脳の変化を起こしてしまうものであり、立派な病気なのです。
そのため、専門的な治療が必要となります。
家族に一人、アルコール依存の人がいると、家庭が崩壊すると言われています。それだけに本人だけでなく家族に大ダメージを与える病気です。特に、親のアルコール依存は深刻です。本来、守られるはずの子どもが守られなくなってしまいます。
病気である以上、治療が必要であり、家族だけで何とかするには限界があります。専門家に相談することをお勧めします。 身近な相談機関として、地域の保健所や精神保健福祉センターがあります。保健所には精神保健福祉課という、精神保健専門の課がありますので、そこで相談が可能です。
アルコール依存症はすべての精神病院で対応可能なわけではありません。多量のアルコール摂取による内臓疾患が心配される病気でもあるため、内科的対応ができる病院であることや、依存症に対する専門医がいる病院であることなどの条件があります。
まずはお近くの行政機関に相談すると、治療可能な医療機関を紹介してもらえます。
アルコール依存症の究極の治療は「断酒」です。断酒を継続させるには本人の強い意志が必要です。アルコール専門病棟への入院には本人自身の自署による誓約書が必要なほどです。
そのため、家族は本人を治療につなげるよう、医療機関に導くことが大切な役割となります。ちょっとやそっとの説得では難しいかもしれません。
実際は治療につなげる説得の方法などのノウハウを保健所や医療機関の相談員に相談しながら教わりつつ、時には優しく、時には突き放したりしながら本人自身に「このままではいけない」と思わせることが治療に結び付きやすいでしょう。
漫画家の西原理恵子さんのケースでは、夫がアルコール依存になり、夫への対応、子どもを守ること、仕事といっぱいいっぱいになってもう限界…と感じた時に離婚を決意したそうです。
そしてそれをきっかけに夫が「酒をやめる」と決意し、紆余曲折を経て専門病院に入院、治療につながったとのこと。このようなことを「底つき体験」と言いますが、この体験を経ることで治療につながりやすくなります。
ただ、本人の性格や個性によるものでもあるので、できるだけ専門家と相談しながら治療につなげるアプローチができるといいですね。
30年程前から「アダルト・チルドレン」という言葉をよく聞くようになりました。これは
"子供の頃に親から受けた心理的傷が癒されないまま大人になり、自信がない、いつも不安など、心理的症状を抱えるようになった成人"(引用:知恵蔵 2007年)
という意味ですが、この言葉の母国であるアメリカでは、「アルコール依存症の親に育てられた大人」というように限局された意味を持っていました。
親がアルコール依存だと、子どもは本来子どもらしく過ごす時期に我慢し、「自分が耐えればよい」「自分さえ我慢すれば家族は丸くおさまる」といった考えを持つようになり、それが大人になるにつれトラウマとなっていきます。このようなアダルト・チルドレンの自覚がある人は、「私にも人生を楽しく過ごす権利はある」と自分を解放し、自分自身を許してあげることが大切です。
アルコール依存症は、専門的な治療への取り掛かりが早ければ早いほど、回復も早いです。深刻化するとアルコール離脱症状(アルコールが切れると震えや吐き気、イライラ、ひどい場合は幻覚が見えるなど)が現れたり、内臓を傷めてしまいます。
家族にアルコール依存症と思われる方がいるという方は、我慢しないで専門機関に相談してください。アルコール依存症は、我慢すればするほど、誰も得しないのですから。
・西原理恵子×月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気(小学館)
・朝日現代用語 知恵蔵 2007(朝日新聞社)
・アルコール依存症治療ナビ.jp
・厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
・アルコール依存症克服ガイド
・wikipedia アダルトチルドレン
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