忘れ物をする、物を失くす…そんな夫(妻)にイライラする前に知っておきたい大人のADHDと対処法


「『絶対忘れないで』って言っても、なんでもすぐに忘れちゃう」

「大切なものなのに、すぐにどこかに失くしてしまう」

「小学生じゃないんだから、ちゃんとして欲しい!」

「ついウッカリ」が多い夫や妻に対して、不満やイライラを溜め込んでいませんか? 忘れ物や紛失物が多い、言ったことや約束をポカッと忘れてしまう…このような「注意の散失」が多い場合、ADHD(注意欠陥・多動性障害)という可能性も考えられます。 「しっかりして」と怒ってしまう前に、ADHDの人に合わせた対処法を試してみるのはいかがでしょうか。

ここでは大人のADHDの特徴やその対処法について、わかりやすく解説していきます。

ADHDとは何?

ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、『Attention Deficit Hyperactivity Disorder』を省略した名称です。 アスペルガー症候群や自閉症スペクトラムと同じく「発達障害」のひとつであり、脳機能の発達が関係している生まれつきの先天的な障害であるとされています。 知的障害とは異なり、IQ(知能指数)や勉学面等では問題が見られないというケースが多い傾向があります。 そのため子供の時にはその障害に当人や家族が気づかず、「性格の問題」として見過ごされてしまうパターンが少なくありません。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)では、以下のような傾向が見られています。


1)注意力の低さ
目の前の作業に集中ができず、すぐに他の作業や工程に気を散らす傾向を持っています。 反面、自分が興味を持つ対象に対しては非常に強い集中力を示し、それを最優先に行うのも特徴です。 そのため「優先順位を付けて順番に作業を行う」といったことが苦手となります。

また整理整頓・片付けといった「優先順位が問われる作業」も苦手です。 常に注意が他の物に向くか自分の興味対象のみに向かいやすいため、人の話やモノに対する集中力が弱く、約束や話の内容を忘れたり、モノを無くすことも多くあります。


2)衝動性の強さ
自分の感情や興味の赴くままに行動を起こす傾向があり、「周囲の様子を見る」「流れを読む」といったことを苦手とします。 相手の話を待てずに話し出す等、他の人のペースに合わせることがなかなかできません。 他者との強調や集団行動が苦手で、自分のペースを抑えられると強い不満を示すこともあります。


3)落ち着きの無さ
ひとつの場所にじっと座る、静かに寛ぐといった「静止状態」を維持することを強く苦手とします。 足や手等の体の一部を常に動かしたり、モノに触り続ける、他の人に話しかけ続ける等、常に行動・発言を行おうとする多動性の強さが特徴です。

また「今はおとなしくしているべきかどうか」といった判断がしにくく、オフィシャルな場所であっても大きな声で話をし始めることもあります。 「家族/会社」といった状況に合わせた態度の切り替えもあまり得意ではありません。 子供の頃は「活発さ/元気さ」としてこれらの多動性が見過ごされるケースも多いです。

大人のADHDへの対処法は?

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人に対して「忘れないで」「覚えておいて」と繰り返すだけでは、忘れ物や失くしものを減らすことには繋がりません。 先天的な注意力の散漫さを補うために、以下のような対処法を取ってみましょう。


1)保管場所の定着
「モノを置く場所」「しまってある場所」は必ず毎日「同じ箇所」に定着させるようにしましょう。 引き出しの中等もできるだけ区分をハッキリさせ、「この引き出しにはコレとコレ」「この棚にはコレ」とわかりやすい分類を行います。 引き出しや保管する瓶・缶等のフタに色付きのシールや絵等でラベリングを行うのも手です。

バッグの中身等もこれと同様に、仕切りの多いバッグを使って「右ポケットに定期」「左ポケットにハンカチ」といった区分を行っていきます。 何がどこにしまってあるのか、ひと目でわかる表を作っておくのも良いでしょう。


2)集中力の一本化
ADHDの人は、多方面に対して同時に集中を行うことが苦手です。 そのためTVを観ながら、何かの作業をしながら話をすると、話の内容に対しての集中力や記憶力が著しく低下する傾向を見せています。 何かをする時・して欲しい時には、まず一度完全に「途中の作業」を終わらせてからにしましょう。 また話の内容や伝達事項で「アレも、コレも」と一気に多数の情報を織り込まないのもコツです。


3)データ保存と確認の習慣付け
伝達事項がある場合、「口頭」のみで話を終わらせず、「手帳に書く」「カレンダーに書く」といった確認行為までをワンステップとします。 またスマホのスケジュール機能(アラーム機能)等をあわせて確認作業とするのも手です。


4)確認行為のリスト化
持ち物の確認、スケジュールの確認をする際のプロセスは、ただ漫然と「確認しておく」ではなく完全にリスト可することが大切です。 「1.ポケットの右側を見る→2.ハンカチを入れる」等、ひとつひとつの確認や作業工程を細かく分け、ひとつずつチェックを行うようにしていくと確認抜けの軽減に繋がります。

おわりに

大人のADHDについては、本人に自覚がなく、家族も「単に忘れっぽいだけ」「ズボラなだけ」と思い込んでいるケースが少なくありません。 しかし注意力の散漫さから会社や社会生活で重大な問題が生じたり、場合によっては仕事が続けられない、家庭に大きな亀裂が生じるといった事例も見られています。

「本人に自覚が無く、対処に対しての協力体制が得られない」「ADHDと思われる傾向が非常に強く、家庭生活に大きな支障が出ている」といった場合、一度専門機関に相談をしてみるのも手です。自分がADHDであるという自覚を持ち、専門家の指導による適切な対応法を知っていくことで、本人も家族も「ずっとラクになった」というご家庭は多数あります。

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