更新日 2024年08月29日 | カテゴリ: 子育て・家族関係
「もういっそ死んでしまいたい」「死ねたらラクになるのに」--ショックな出来事が起きた時、激しく落ち込んだ時等に、こんな気持になったことは誰もが一度や二度はあるはずです。通常であればその気持ちは一時的なもので、徐々に気持ちは元の状態へと戻していくことができますよね。
しかし心の状態が不安定なままになっていたり、ネガティブな状態が慢性化していると、このような「死にたい」という気持ちが常態化してしまうことがあります。
このボンヤリとした「死にたい」と願う状態は「希死念慮(きしねんりょ)」と呼ばれる症状です。
もしも家族や友人から「死んでしまいたい」と言われたら、一体どうするべきなのでしょうか?
ここでは『希死念慮』の症状と適切な対処について解説をしていきます。
「死ねたらいいのに」と思う希死念慮と、自殺願望・自殺企図にはどのような違いがあるのでしょうか? 一般的には、「希死念慮」「自殺願望」「自殺企図」は以下のような区別が付けられています。
いじめ・経済的困難・失恋等、解決をするのが困難と思われる問題・状況から逃避・脱却をするために「自殺をしたい」と考えるもの。「死にたい」という理由は比較的明確であるとされる。
「自殺したい」というハッキリとした考えは出ていないが「死ねば楽になる」「死ねたらいい」という思いに常に満たされている。
例えば「事故に遭って死ねたら良い」といったような、自殺以外の方法による死を望んでいることもある。死を望む理由については特に明確なものが無いことが多く、「生きているのが辛い」という生からの逃亡・自己否定であると考えられる。
自殺願望・希死念慮が発展し、実際の自殺方法を考え始める、自殺をくわだてる、自殺未遂を起こすこと等を指す。
しかし「自殺願望」と「希死念慮」の区別は非常に曖昧であると考えられています。
例えば「死にたい理由は特に無い」と言われれば希死念慮ということになりますが、本人の苦しみが激しい故に、「自殺したい」という理由を特定することを無意識のうちに拒んでいることもあるからです。
また自殺願望にしても希死念慮にしても、より危険性の高い「自殺企図」へと発展をする可能性があることは同じと言えます。
「死にたい」と漠然と思い続ける「希死念慮」は、うつ病や双極性障害(躁うつ病)の症状の特徴でもあります。
「うつ病」とは自律神経の失調等により、脳の「幸福感」を感じる神経伝達物質「セロトニン」等の活動が低下したり、欠乏してしまうこと等を原因とした病気です。
うつ病患者は生に対する喜びや充実感等を感じられなくなり、自己否定の気持ちや空虚さ、自罰感(生きていて申し訳ない、誰かに迷惑をかけている)といった気持ちを常に抱えています。
そのため「死ねればいいのに」という希死念慮にとらわれやすく、それが自殺企図へと発展してしまう危険性もあるのです。
「死んでしまいたい」そう相手に言われた時、以下のような対応を取ることは厳禁と言えます。
・冗談として受け流す
・アドバイスや叱咤激励をする
・「死ぬな」とひたすら発言を否定する
・「弱々しい」等と怒る 等
「死にたい」と言い出してきた本人は、深い苦しみの中に居ます。死にたいけれどどうしたらいいのかわからない、少しでも信頼できる人に打ち明けたい…そんな気持ちから、言葉を絞り出しているのです。
即座に話を否定したり、本人の苦しみに対して無理解の姿勢を示せば、本人は「理解されない」と心を閉じ、より深い希死念慮を抱えてしまうことになります。
「死にたい」と言う人は、深い孤独感を抱えています。まずは一人で抱え込まないように、その「辛さ」に対して理解を示してあげましょう。
環境や状況を一変させることはできなくても、話をすることが当人の心を軽くし、別の視点から物事を見るきっかけとなることもあるのです。
「辛いんだね、がんばってきたんだね」と気持ちを受け止め、話をゆっくりと聞いて上げることが何よりのいたわりとなります。
また相手に「死ぬな」と否定する言葉をかけるより、「あなたが死んでしまったら、私はとても哀しい」という「自分」を主体にした言葉を選ぶことも大切です。
前述のとおり、希死念慮はうつ病の症状のひとつであり、中でも重症化をしている可能性の高い症状と言えます。
既に当人にうつ病の診断がおりている場合には、「病気の症状として、死にたくなることがあるようだ」ということを伝えてあげてください。
また未受診の場合、「心の状態をケアする場所」として専門家の存在を知らせるのも手です。
繰り返しになりますが、希死念慮・自殺願望はいつ「自殺企図」へと発展するかがわからない症状です。「死にたい」という言葉を聞いたら、本人の状態に注意を払うようにしましょう。
急に身辺整理を始める、急に明るくなるといった態度が見られる場合、自殺企図へと発展している恐れもありますので特に注意が必要です。
また現在このコラムを読まれている方が「死にたい」という希死念慮の状態にある場合には、できるだけ早めに精神科・心療内科・神経科を受診することを強く推奨します。
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