更新日 2024年08月29日 | カテゴリ: 子育て・家族関係
「アダルトチルドレン(AC)」という言葉をご存知でしょうか。
最近では「あの人はACだ」「私ってACなのかな?」と診断名のように扱われていますが、実はACの使い方として適切なものではありません。
今回はACの定義や意味、ACで悩む人が活用できるサポート資源をご紹介します。
「アダルトチルドレン」という病名や診断名はありません。
アダルトチルドレンは信田さよ子先生によると「現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人」と定義されています。
大切なのは、苦しんできた本人が「私はアダルトチルドレンだ」だと認識しているなら、それだけで「アダルトチルドレン」だということ。
他者からの評価や医療の診断といった客観的判断によるものではないのです。
アダルトチルドレンは「Adult Children of Alchoholics」という言葉から始まりました。
これは「アルコール依存症の親のもとで育って成人した人」を指します。
アルコール依存症の親を持つ子は、飲酒による暴言や暴力を繰り返す親と、そんな環境から自分を守ってくれない親の狭間で苦しみます。
また両親の言い争いや暴力を日常的に目の当たりにすることで何も出来ない無力感を抱きます。
次第に「自分は大切にされる価値がない」「自分は役に立たない」といった自己否定感が大きくなってしまいます。
その結果、成人してからも無力感や自己否定感で生きづらさを感じ続けてしまうのです。
この概念はアルコール依存症の親を持つ人に限らず、様々な問題から適切に機能していない「機能不全家族」で育って苦しんでいる人も対象として広がっていきました。これが現在の「アダルトチルドレン」です。
「生きづらさ」は自分の性格や考え方などによる「自己責任」とされる傾向がありました。
しかし、それでは「自分はダメだ」という気持ちがますます高まり、さらに自分の生きづらさを強めてしまう悪循環が起こってしまいます。
「私はアダルトチルドレンだ」と認めることで、「今の生きづらさは私の責任ではない」と自分を許すことができます。
また外からの評価や診断ではなく、自分自身で「私はアダルトチルドレンだ」と認めることで、親から人生を取り戻し、主体的に生きる第一歩を踏み出すことができるのです。
アダルトチルドレンは、機能不全家族で何とかして適応しようと役割を演じていることがあります。その5つのタイプと特徴をご紹介します。
親からの期待に応える優等生の役割です。
テストで良い点を取ったり、部活動で優秀な成績を残したりすることで、親を喜ばせようと努力を積み重ねます。
しかし、少しでも目標を達成できないと、自分の全てが否定されたように感じて、ひどく落ち込んでしまいます。
親を刺激しないように、自分の考えや感情を表現しない聞き分けの良い子供です。
自己主張すると問題が起こるという恐怖を抱えているため、大人になっても自分の意思を表明できず、他者からの言いなりになってしまう傾向があります。
学校などでは「問題児」と思われてしまいやすい子供です。
親からの注目を集めたり、両親が協力したりすることを期待して、非行や不良行為に走ります。
そういった方法でしか自分の意思や気持ちを伝えられないため、成人してからも乱暴な言動が目立ち、人間関係に支障をきたすことがあります。
機能不全家族のバランスを整えるために献身的に働く子供です。
自分を犠牲にしてでも、人の役に立つことが自分の存在意義だと考えています。
そのため、どれだけ尽くしても満足してもらえないと、自分の価値を見失ってしまいます。
また、自分の心や身体から発せられる「つらい」「しんどい」などの訴えを大切にする習慣がなく、気づくと不調に悩まされていることがあります。
わざとおどけたり、冗談を言ったりすることで、沈み込んだ空気を和ませようとする役割です。
自分自身の辛さや苦しさは一切見せず、常に陽気で楽しい自分を演じます。
しかし、表面上は明るいひょうきん者でも、心は他者の発するサインを見逃すまいと張りつめているストレスフルな状態です。
そのため、ピエロとしての自分と本当の自分との間で葛藤し、苦しんでしまうことがあります。
アダルトチルドレンの多くは、職場や学校での人間関係での悩みを抱えることがあります。
そのため、まずは今まさに悩んでいる問題の対処から扱っていくことが必要です。
今の心や身体の置かれた環境を少しでも楽なものにすることで、過去の家族関係を扱うエネルギーを満たすことができます。
機能不全家族との関係をカウンセリングで解きほぐすことは、過去を過去として見つめつつ、それでも主体的に生きる自分を取り戻していく大切な作業となります。
しかし、苦しい体験の記憶は思い出すこと自体が負担となることがあります。辛い時には休みながら、少しずつ取り組んでいきます。
時にはカウンセラーにネガティブな思いを抱くかもしれません。
そういった気持ちもぜひカウンセラーに話してみてください。
自分の気持ちを表明できること自体が素晴らしいことですし、ネガティブな気持ちを伝えても関係を継続できる体験は、これからを安心して生きるための力となります。
同じ悩みを持つ仲間と出会い、その気持ちを分かち合うことができる「自助グループ」があります。
自分の気持ちを伝えても受け入れられる体験や、同じように悩んでいる仲間がいる心強さが、自分の問題を乗り越えるための糧となります。
アダルトチルドレンはストレスを抱えやすく、身体や心に不調をきたすことがあります。
そういった不調を薬で緩和するだけでも負担が軽くなります。
もちろん薬物療法は一時的な対処ですが、心や身体が楽になることで、根本にある問題に取り組む余裕が生まれます。
本当に理解してくれる友人や恋人の存在は、「自分にも愛される価値がある」という実感をもたらします。
ただし、これまで自分の中の甘えを封じ込めていた分、「甘えてもいいんだ」と感じると過度に依存してしまう可能性があります。
あまりにも激しい依存には相手も耐えられません。
結局、関係が壊れてしまい、「やっぱり愛される価値がない」という悪循環を引き起こしてしまいます。
専門家のもとで自分について理解を深めながら、上手に付き合っていくことが大切です。
アダルトチルドレン(AC)は診断名ではないので、カウンセリングや治療で「治った」と感じることは難しいかもしれません。
しかし家族のためではなく、自分自身がより良く生きていく道を一緒に探すことはできます。
カウンセリングをはじめとした支援を上手に使いながら新しい道を見つけていきましょう。
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