「理想の恋人」をいつまでも追い求めてしまう4つの心理とは?

『青い鳥症候群』という名前を聞いたことがあるでしょうか?

これは「自分にはもっと向いた仕事がある」と転職を繰り返したり、「もっと自分を理解してくれる人が居るはず」と理想の恋人を追い求める傾向のことを指しています。

症候群の名前の由来となったのは、メーテルリンクの歌劇『青い鳥』。

木こりの兄弟チルチルとミチルが「青い鳥」を探して世界中を旅しますが、何も見つからずにやっとのことで帰宅すると、なんと家で飼っていた鳥が「青」だったのだ…という物語です。

身近な幸福に目を向けられず、いつまでも「夢」を追ってしまう…このような傾向は何故生まれるのか、そして脱却するにはどうしたら良いのかを紹介していきます。

1. 現実とかけ離れた「高い理想」が「青い鳥」を産む

『青い鳥症候群』になりやすい人とは、自分とその周囲に対して非常に高い「理想」というハードルを掲げています。

例えば恋人で言えば、自分と趣味の全てを共有し、自分の声質を理解して深く愛する上に、富や財産も豊かであり、更に外見的にも魅力的な人…というような具合ですね。

そして、周囲から見てかなり「好条件」と思える人でも、その中に「欠点」を見つけ、その点を不満に感じてしまいます。99%が「合格点」だったとしても、残りの1%に「不満」があれば、その点ばかりに注目をしてしまうのです。

また職や学校等の「環境」に対して不満を持つ『青い鳥症候群』では、「現在の自分は元々持っている価値を発揮していない」と強く感じる傾向もあります。

2. 「他者への責任転嫁」が『青い鳥症候群』を強くさせる

『青い鳥症候群』に陥りやすい人は、元々学力に優れていたり、外見的魅力を備えている等、「或る一定の能力」は有しているという傾向にあります。

特に幼少期や中学生頃までに何らかの突出した点を持った人は、両親や先生などからその点を褒められ自分に対して「肯定感」を強く抱くことも。

その分、周囲との協調性・社会性等を得にくい傾向にあり、広い世界に出てからの「注意・訓告」などを受け入れ難くなるのです。

何かトラブルが起こった時に、変えるべきは「自分」ではなく「他者(環境)」であるという感覚を持ちやすくなります。そのため、100%自分を受け入れ賞賛してくれる「桃源郷」のような場所を追い求めてしまうのです。

3. 根底にあるのは「強い自己否定」?

理想が高く、自分への肯定感が強いというと、一見すると「青い鳥症候群は、自信満々な人がなりやすい」と感じられるかもしれません。

しかしその奥底には、強い不安や劣等感、自己否定の精神が隠されていることもあります。

理想と現実がかけ離れていることを感じ、「自分の理想通りの姿ではない自分」を許すことができていないのです。劣等感が強くなればなるほど、その状況を打破しようと周囲から見れば「無茶」と思えるような環境の変化を呼び起こしたり、反対に「幸運」が訪れることを待ち続けてしまうこともあります。

そのため年齢を重ねるに連れて「無茶な行動」に出る人と、まったく行動を起こさなくなる二極化を起こすようです。

4. 『青い鳥』を探すのをやめるには?

完璧主義を手放す

常に100点でないと満足がいかない人にとって、人生のほとんどの時間は不幸な時間になってしまいます。「こうでなければ」「あそこにいかなければ」ともがくのではなく、まずは自分が持っているものを認め、感謝しましょう。

主観的な思い込みを捨てる

『青い鳥症候群』から抜け出すには、「主観的な考え」を一度捨てることが大切。

自己評価、他者評価について、自分の考えで全てを決定せず、周囲の評価を取り入れて「客観的」に見るようにしてみましょう。

また自分の環境や恋人・配偶者等について、「欠点」ではなく「長所」に目を向けることも重要です。

短所を指摘されたら、感謝する

『青い鳥』を探している人の場合、訓告や忠告を「自分を否定された」と捉えてしまうことが多いですが、「叱る」「注意をする」という行為は、決してその人を否定し、嫌っているから行うものではありません。

忠告については「今後をより善いものにするために、労力をかけてくれている」と考え、その意見に耳を傾けるようにしてみましょう。

不満に気付いたら、「どうしたら良くできる?」と考えよう

青い鳥症候群の人は、何か悪いところに気がついてしまうと、「これはだめだ」と否定してしまいます。そうすることで、新しい場所を探したり、新しい仕事を探したり、新しい恋人を探したりするよういなるのです。しかし、今持っているものが100点でなかったとしても、あなたが求めている100点のものはどこにもないのかもしれません。それであれば、今持っているものを「どうしたらもっと良くできるだろう?」と考える癖をつけましょう。

「やりたいことはどこにあるんだろう」ではなく「これを楽しむにはどうすればいいんだろう」と考えを切り替えることで、ずいぶん自分の幅も広がるはずです。

おわりに

『青い鳥症候群』は日本の精神科医によって提言された、比較的新しい言葉です。

1980年代という日本が急速に「豊か」になった時代、職業や恋人等を自由に「選べる立場」だからこそ生まれた概念とも言えます。

しかし2010年代に入り、長い不況の時代を越えても『青い鳥』を探す人の数は減らず、むしろ増え続けている状態です。

インターネットの台頭により、「こちらのほうが良いのでは?」と思える選択肢を見る機会が増えたことがその一因であるとも考えられています。

『青い鳥症候群』は、本人が自覚をしにくいというのも特徴のひとつ。

脱却のための「始めの一歩」--つまり「自分がこの世には無い『青い鳥』を探している」状態に気付くことが、この症候群の解決に至る最大のポイントと言えるのではないでしょうか。

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