更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分
ファッションの都・花の都として誰もが知っているフランスの首都・パリ。 「一度はパリに行ってみたいな」「できたらパリで働いてみたい」と思っている人も多いかもしれませんね。 でも、パリに行った日本人の中で「パリ症候群」になる人が増えているって知ってましたか? ここでは「パリ症候群」の特徴やかかりやすい人について、またパリ症候群にならないための対策等についてもご紹介していきます。
「パリ症候群」とは、あこがれの街として訪れたパリの「現実」に触れることで理想が崩壊し、そのギャップで起こる適応障害のこと。
多くの日本人が「オシャレで瀟洒な街」として捉えているパリなのですが… 実際には街はゴミや犬の糞等が多い上に、薄汚れた雰囲気の場所がほとんど。 また「オシャレな人ばかり」というイメージも残念ながら「実際には違う」と言わざるをえないところがあります。
また「相手の意思を汲み取る」と言った日本人独特の文化は通用せず、自己を堂々と主張しない限り、周囲からは「放置して当然」という態度を取られることがほとんど。
このような「街や人の理想と現実」の違いに耐えられず、抑うつ症状に似た以下のような症状が出ることがあるのです。
・不眠などの睡眠障害
・食欲の減退・拒食・過食
・「誰からも差別されている」という非差別妄想
・「フランス人から笑われた」等の幻覚・幻聴
・「パリに馴染めない自分」を責めて落ち込む等
パリの街から離れる時や空港等で上記のような症状を既に発症し、肩を落として帰国する日本人の姿は、既に「パリ名物」のひとつとして扱われています。
パリ症候群にかかりやすい人は、日本人の中でも特に女性に顕著であり、中でも20代~30代が目立つことがわかっています。
特に症状が重くなりやすく問題となっているのが、短期旅行・パックツアーなどではなく、留学や就職等のために長期滞在をするケースです。
パリ症候群を発症しやすい人・重症化しやすい人には、他に以下のような傾向があると考えられています。
・パリについての知識の収集源がファッション雑誌・カジュアルなガイドブック・映画等に偏っている
・渡仏前にフランス語会話等の勉強をあまり行っていない
・長期滞在を決定する以前にパリに訪れたことが無い
・リゾート地以外の海外旅行経験が無い・少ない
・おとなしい性格・異性に大切に扱われやすい等で自己主張をすることが苦手
なぜ日本人の若い女性にパリ症候群発症者が多いのか。これには、いくつかの理由が考えられています。
ファッション・グルメ・レジャー等を扱う女性向け雑誌では、パリの「美しい部分」しか報道しません。また旅行情報についても実質的な情報が少ない傾向にあります。
例えば知っておくべき日本とは違うマナー情報・区画による危険度の違い等は殆ど掲載されておらず、「オシャレなショップ・レストラン情報」等に終始してしまうというわけです。
アメリカやヨーロッパ諸国の人の場合、街の中には様々な人種・宗教・文化が混在しているため「異文化」があるという認識や対処法を経験則として学んでいます。
ところが日本国内に在住しているのはその多くが日本人。 同じ言語・同じ文化の人としか接触をしてきていないため、「日本の常識=世界でもそうなのだろう」という認知の歪みが起こっている傾向にあります。
日本では謙虚や協調性が尊ばれ、控えめにしていれば相手が自分の意志を汲みとって対処してくれるコミュニケーション方法が取られます。
特に女性の場合、「主張をすると周囲から嫌われる」という強迫感から自己主張を苦手とするケースが多いようです。 ところが「言わなくてもわかってほしい、察して欲しい」という対応はフランスでは通用せず、不満・不信が高まってしまいます。
パリ症候群への対策としては以下の様なものが挙げられます。
・パリの情報収集をインターネットや専門書籍等から幅広く行う
・事前に語学の勉強を行い異文化とのコミュニケーション力を高める
・日頃から自分の意見を持ち、ハッキリと主張をする意識を持つ
・「店員の丁寧で親切なサービス」「すぐに相手に『すみません』と謝る習慣」などは日本独特のものであると認識する
特に「マイナス面の情報も偏りなく収集すること」は大切です。
今回は「パリ症候群」についてご紹介しましたが、これ以外にも「理想と現実のギャップ」による適応障害の発症は増加傾向にあります。
例えばフランス以外の外国、東京等の都市での一人暮らし、外資系企業やファッション・出版・芸能系等の一見華やかに見える業界への就職等で「理想と違う」ことに耐えられずに抑うつ症状に似た症状を発症する人が増えているのです。
「素敵に見える情報」だけに踊らされることなく、様々な側面から情報を得ることを意識しましょう。
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