更新日 2024年08月25日 | カテゴリ: 自分を変えたい
仕事などで失敗が何度も続くと、人は気落ちし、すっかり自信を失ってしまうものです。「もう何をしてもうまくいく気がしない」なんて思ったり、「自分はなんてダメなんだ」なんて自分を責めることもあるでしょう。
そんなときは是非、先人の知恵を借りましょう。日本において最も著名な教育者の一人、福沢諭吉の残した教えです。
彼の代名詞でもある著書「学問のすすめ」。副題に「心事の棚卸し」と記されたその第十四編は、うまくいかないとき、自分の心と向き合うことの大切さをわたしたちに説いています。
第十四編の冒頭で、人は
と述べられています。
たとえば、四六時中悪事のことしか考えていないような根っからの悪党だけが悪いことを働くのかというと、そうではありません。また、本当にどうしようもない愚か者だけがとんでもない大失敗をしでかすのかといえば、そうともいえません。「智者といえども案外に愚を働くもの多し」と、述べられている通りです。
つまりここでは、そもそも前提として「人は誰でも失敗するし、間違うものだ」ということを福沢諭吉は強調しているのです。
まずその点を認めて、必要以上に自分を責めるよりも、改善することのほうに意識を向けましょう。
それを踏まえて、人はなぜ何度も失敗を繰り返してしてしまうのか。福沢諭吉はそれを商売になぞらえて、「心事の棚卸し」をしていないからだと指摘します。
棚卸しとは商品や原材料などの在庫を数え、その数や品質、資産評価を把握することです。商売は仕入れと販売の繰り返しですが、どうしても商売上の判断ミスというのはつきもので、自信を持って仕入れたはずの商品が在庫をダブつかせていたり、利益率が高いと思っていた商品が意外とそうでもない……どころか赤字を出していたりして青ざめることもあるでしょう。
棚卸し作業は重労働なだけではなく、そうしたミスや損失とも向き合わなくてはならない作業ですので、なるべくやりたくないという人は多いでしょう。しかし、その作業をするからこそミスに気づけるのであり、ミスに気づけばそこから調整を図ることもできますし、それをデータとして次に活かすことができます。
逆にもし棚卸し作業をごく稀にしか行わなかったり、杜撰にしか行わなかったら、間違いに気づかないまま長期間にわたって損失を出し続けるかもしれません。
あまりに失敗が多く物事がうまくいかない人は、その棚卸しを自分の心に対して行っていない。つまり自分と向き合うことをせずに、失敗から学ぶ機会をみすみす逃している。福沢諭吉はそう指摘し、それを
と表現しています。
では自分の心の棚を開けて、問題となっている「不良在庫」を探してみましょう。
簡単に見つかればいいのですが、他の在庫に紛れて見つかりにくいかもしれません。それもそのはず、何度も繰り返してしまう失敗というのは、長い時間の中で染み付いたクセのようなもので、無意識のうちにやってしまっていて自分でもその原因がわからないことが多いです。
そこで、自分がやってしまうことの多い失敗や、うまくできないと思っていることを、その状況やシチュエーションも含めて書き連ねてみましょう。そうしているうちに、自分の失敗やうまくできないことに、一定の傾向や法則を見つけられるかもしれません。
たとえば用意した資料に抜けがあったり、データの打ち込みを誤ったりといったミスが多いのは、最後にもう一度最終チェックをするという習慣を疎かにしているせいかもしれません。また、一緒に組むと仕事がし辛い人がいるなど、特定の状況下において仕事の精度が下がっているということもあるかもしれません。
そのような失敗に繋がりやすいクセや習慣を見つけ出すことができたら、それをいつも意識するようにして克服していきましょう。自分以外に原因の一部がある場合は、自分の気持ちだけでそれを遠ざけるのは確かに難しいことですが、その原因を把握しているというだけでもある種の覚悟ができますから、「よく分からないけど何だかやりにくいな」というよりは影響は少なくなるはずです。
いかがでしたでしょうか。ほんのわずかでも失敗に悩んでいる皆さんの参考になったなら幸いです。
最後にもう一つだけ福沢諭吉の言葉をご紹介します。
それでは、福沢諭吉に倣って、定期的に「心事の棚卸し」に励んでいきましょう。
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