取引先とのトラブル、顧客からの苦情…クレームに上手に対処する心理学的テクニックとは?

「せっかく買った商品なのに、満足できる内容じゃなかった!」 「新人の態度が悪い、どういうつもりなんだ!?」等など、お客様からのクレームや取引先からの苦情というのはビジネスでは避けられないものですよね。 例え自分の会社側に責任があったとしても、文句を言われ続けてウンザリした気持ちになってしまった…という人もいるのではないでしょうか?

クレームに上手に対処するには、クレームを付けてくる「クレーマー」の心理をまず理解することが大切。 そしてクレーマーの感情に寄り添うことで、クレームは思ったよりもずっと早く解決できるかもしれません。

今回はクレームに対処する際に知っておきたい心理学的なポイントについて解説していきます。

1. クレーマーは「怒っている」わけではない?

クレームをつけてくる人は、皆イライラとしていたり、時には大きな声を出してくることもあります。ここだけ見ると、クレーマーが持っている感情は「怒り」であると感じられますよね。 クレームの応対をしていると「そんなに怒らなくてもいいのになあ…」と思う人もいるはずです。

ところがこの「怒り」という感情は、心理学では「第二感情」と呼ばれるもの。 怒りの感情が生まれてくる元には、「第一感情」である根本的な感情が隠されているのです。

その第一感情は、「落胆」や「哀しみ」といったもの。 例えば「良い商品を買えたと思ったのに…」という期待が裏切られた落胆というのもそのひとつです。 また「期待して任せたのに、裏切られた」という気持ちが隠されていることもあるでしょう。

期待が大きければ大きいほど、ガッカリする気持ちも大きくなります。 怒りを見せる人の顔の裏には、哀しみの表情や落胆した表情があるのですね。 クレーマーの当初の興奮(怒り)を落ち着かせ、最終的にこの「落胆」や「哀しみ」といった感情を寄り添うことが、クレーム対応では重要になります。

2. 話すスピードと声のトーンで「鎮静」を

クレーマーは問題の発生当初からクレームを言いにくるまでの間に不満の気持ちを蓄積させ、一挙に爆発させている状態です。 一時的な興奮状態にあるとも言えますね。 この興奮状態をムリに鎮めようとするのはNG。 相手は却って興奮を高め、感情的になってしまうことになります。

まずはこちら側の話し方の「スピード」と「トーン」で、相手の気持ちを落ち着けていきましょう。

相手は興奮状態にありますから、話し方は自然と早口になりがちです。 このテンポに合わせてしまうと、情報の行き違いが増えるだけでなく、お互いに感情が高まりやすくなるため、余計に状況が悪化しやすくなります。 普段よりもややゆっくりとしたテンポで、相手を苛つかせない程度のスピードを保つようにしましょう。

また声色は一般的なビジネスシーンで好まれる「明るくハキハキとした声」よりもやや落とし、低めのものに切り替えるのが効果的。 こちらが落ち着いた話し方を意識することで、相手も「冷静になろう」という意識を持つことも多いのです。

3. 共感を示せる「オウム返し」

クレーマーに対しては、相手のことを自分が理解し共感している姿を見せ、安心をしてもらうことが大切です。 共感的な姿勢を示すには、以外なことに「オウム返し」という方法が効果を持ちます。 とは言え、相手の言うことをまるごと繰り返すというわけではありません。

相手が言った言葉や、相手の使う用語をそのまま使って、あいづちや頷きの言葉に取り入れていくのです。

例えば相手が「このコンピューターが壊れたんだ!」と怒っていたとしましょう。 ここで正式品名で「わかりました、◯◯のノートパソコンですね」というよりも、「そうでしたか、こちらの『コンピューター』ですね」という用語を使った方が、より相手は「自分が理解された」と感じるというわけです。

4. 「クレーマー=未来の良いリピーター」と考える

アメリカのジョン・グッドマン氏の研究「グッドマンの法則」では、クレームがもたらす企業のメリットがわかりやすく数値化されています。

この法則からわかるのが、商品やサービス内容に問題や不満を感じても、顧客のうち96%が「文句を言わずにその後の購入をやめる」というもの。 クレームをつけ、問題点を提示してくる人はたった4%なのです。 4人の顧客がクレームをつけてきたら、実はあなたの会社は、他の96人の「黙ったままの顧客」を失っている可能性大、ということになりますね。

反対に4%のクレーマーは、クレームに対して正確な対処をしたり、その不満の感情に上手に寄り添うことができれば、80%以上という高い確率で「再度のサービス利用」をしてくれます。 クレームを言ってくる人ほど、その後「良いリピーター」となってくれる可能性は高いのです。

クレーム対応の場を「将来的な良いリピーター獲得のチャンス」と捉えなおしてみることで、対応の姿勢も大きく変わってくることでしょう。

おわりに

ビジネスシーンでは、クレーム対応においてついつい「問題の解決」のみを焦点にあててしまいがちです。 しかし問題が根本的に解決できなかった場合でも、クレーマーの哀しみや落胆の感情にうまく寄り添えれば、顧客や取引先はマイナス感情を持たず、「誠実な対応だった」とポジティブな受け止め方をしてくれることもあります。 論理的な解決法ばかりでなく、ぜひ「相手の感情の動き」に気を配ってみましょう。

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