「小学生うつ」のサイン——子供の様子がいつもと違うと感じたときにするべきこと

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分

うつ病などの精神疾患は、大人だけの病気だと思っていませんか?実は、小学生などの子供でも精神疾患を発症してしまうことがあります。しかし、子供の精神的な病気には気づきにくいものです。最近、子供の様子がいつもと違うなと感じたら、それは子供達なりの不調のサインかも知れません。

「小学生うつ」の症状

小学生の子供に見られるうつ症状で顕著なのは、学校に行けなくなるというものです。「学校に行きたくない」という一言にも、色々な要因が潜んでいる可能性があります。例えば、不眠状態になっているため朝が眠くて起きられない、体がだるくて動けない、頭痛や腹痛などの身体的な痛みがある、人に会いたくないなどです。「学校に行きたくない」と言われると、子供の気まぐれと思ってしまいがちですが、実は子供なりに不調を感じていて、学校に行けないという場合もあるのです。

子供は、自分の感情を表現する語彙や方法を、大人のように知っているわけではありません。そこで、言葉にならない感情を行動で表現しようとします。子供にとって一番簡単なのは、暴れること。物を投げつけたり、親や兄弟を叩いたり、体をめちゃくちゃに動かしたりして、自分の感情の様子がおかしいことを伝えようとするのです。つまり、突然攻撃的になったり暴力的になるというのも、「小学生うつ」の症状である可能性が考えられます。

また、大人と同様に、様々な事柄に関心を示さなくなります。今まで大好きだったゲームをしなくなる、テレビを見なくなるなど、一見親としては喜ばしいことも、興味や関心が欠如している兆候かも知れません。このような場合は、もちろん勉強もできません。何かを考えているという様子もなく、ただぼーっとしている状態で何時間も過ごすことが増えてきたら、危険信号です。

他にも、食欲がなくなる(ご飯を残す)、寝つきが悪くなる・眠れなくなる・夜中に何度も目が覚めるという不眠など、うつ病に典型的な症状も現れます。

「小学生うつ」の治療

「小学生うつ」を治すためにまず必要なのは、適切な医療機関で診察を受けることです。感情表現を言葉でできない子供は、主に、どこかが痛いなどの身体症状を訴えます。そのため、まずは内科を受診して、内科で異常がなければ心療内科や精神科を受診するというステップを踏んでもいいでしょう。

心療内科や精神科を受診する前には、電話などで子供の診察を行ってくれるかを確認するようにしましょう。子供の不調や行動の変化は、一時的なものなのか、精神疾患によるものなのかを見分けることが非常に難しいものです。できれば、子供の診察の経験がある医師を選ぶことをおすすめします。

さらに、カウンセリングができる臨床心理士がいる病院の方が安心です。子供のうつ病の治療は、投薬治療よりも、カウンセリングなどの精神療法が重視されます。抗うつ剤などの薬を子供に用いると、副作用が重く出てしまう可能性があるためです。また、精神療法を用いることで、子供の心の底に潜む苦悩や不安などを表面化し、それらを解消するための対策を考えることができます。

「小学生うつ」の子供との関わり方

耳が痛くなるかも知れませんが、「小学生うつ」の原因は、親御さんにある場合が多いというのが実情です。もちろん、いじめなど、家庭の外の環境が要因になる場合もあります。しかし、いじめを受けていることを親に話すことができない、子供自身が「親に話してもムダだ」と思っているなど、子供と親の信頼関係が未成熟であることも、子供の精神疾患の原因になり得ます。

家族内に厳しいルールを設ける、子供の話を聞く時間を満足に取れない、子供との身体的なふれあいの不足などは、幼児期に限らず、子供にとって大きな精神的苦痛となります。その積み重ねが、「小学生うつ」を招いてしまうことが多々あるのです。実際に、親との関係が良好になるにつれて、投薬治療などをしなくても、「小学生うつ」が改善するという事例はたくさんあります。

子供が「小学生うつ」を発症した場合、一番重要なのは、親も治療に参加するということです。臨床心理士などを通して、子供との関わり方、子供のしつけ方などを見直すきっかけを作り、親自身の「子供に対しての考え方」を変えることが、子供の精神疾患の治療には不可欠である場合が多いのです。

おわりに

子育てとは、本当に難しいものです。子供にとって良かれと思ってしていたことが、逆に子供の負担になってしまう現実を受け入れることは、容易ではありません。しかし、本来、子供は親を深く信頼し、愛し、親にもまた信頼と愛をもらいたいと本能的に求めています。すべてを子供の願う通りには実現できないかも知れません。しかし、親が努力してくれていることを、子供はしっかり感じ取ります。

子供の様子がいつもと違うと感じたら、「どうしたの?」「少しずつでもいいから話してみてほしい」と、子供のペースに合わせて話す機会を作るとともに、必要に応じて適切な治療を受けさせてあげることが大切です。

参考書籍

小学生が「うつ」で自殺している(扶桑社新書)

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