更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: キャリア・人生・仕事の悩み
「今日も深夜まで残業だった…」 忙しい現代日本社会では、こんな言葉を頻繁に耳にします。 残業の削減に務める企業も増えていますが、反対に違法な長時間残業を労働者に強いる「ブラック企業」の問題も散見されているのが現状です。
長時間残業が横行する問題のひとつとして、管理者側にも労働者側にも残業時間に関する基礎的な知識や意識が不足していることが考えられています。 ここでは時間外労働、つまり「残業時間」について知っておきたい4つの基礎的情報について解説していきましょう。
調査会社が60,000人以上対象として行ったアンケートによれば、日本人の平均的な残業時間は約47時間となっています。 ただしこれは全業種を対象とした平均値であり、業種によって残業時間には大きな開きが見られました。 平均残業時間数値を押し上げていると考えられているのが、以下の業種です。
・報道・出版関係(特にマスコミ関連)
・外食系
・広告系
・不動産業
・建築業
・IT関係(但し、企業社風により大きく異る傾向あり)
全体的な比率で考えると月30時間前後の割合が最も多く、残業時間が突出した業界を除けば「月30~40時間」というのが平均的な残業時間帯であると言えるでしょう。
意外と知られていないのですが、労働基準法ではそもそも週40時間を超過した労働は原則的に認められていません。 つまり1日8時間を越えた時間外労働(=残業)は、「原則としては」NGなのです。
しかし、労働基準法36条の規定では、企業側と労働側が話し合いで定めた残業時間を書面として労働基準監督署に提出すれば、時間外労働を行ってOKということにもなっています。 こちらにも制限があり、残業時間の上限は「1ヶ月45時間以内」です。
限度時間を延長した時間外労働(臨時的・突発的残業)を行うには様々な条件が定められ、これを守らない残業は臨時的とは認められません。
労働基準法等の法律規定においては、労働時間における休憩は以下のとおり定められています。
1 )労働時間6時間以内の場合→休憩無し
2 )労働時間6時間超過の場合→休憩45分
3 )労働時間8時間超過の場合→休憩1時間
この「労働時間」とは、時間外労働(残業)を含めたものとなっています。 そのため8時間の労働に加えて残業を行った場合でも、法律で指定される休憩時間は「1時間」ということになるのです。
例えば昼休憩に1時間を使用した場合には、法律上は「残業中の休憩無しでもOK」ということになります。 昼休憩45分の場合には、残業中に15分の休憩を取れる計算です。
ただし上記はあくまでも法律上の規定であり、残業中にまったく休憩を取らずに作業を行えば作業効率が落ちることが心配されます。 厚生労働省の『VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン』では、作業と作業の合間には10分~15分の小休止を、連続作業の間には1~2回の小休止を取ることも定められているのです。
デスクトップパソコン・ノートパソコン等によるVDT作業を行う場合には、心身への負担をより軽減すべく、時間外労働(残業中)においても小休止を取るべきであると言えるでしょう。
厚生労働省の過労死等防止対策推進法、ならびに過労死についての認定基準の改正では、月当たり45時間以上の時間外労働(残業)が1ヶ月~6ヶ月にわたって継続した場合、過労死リスクが高まるとされています。
更に1ヶ月80時間以上の残業が2~6ヶ月継続されたことによって身体的な病状・精神障害等の問題が生じた場合には、その原因が労働災害であると認定される目安ともなるのです。 2~6ヶ月の80時間残業の継続、もしくは発症1ヶ月前の残業100時間は健康障害と残業時間の因果関係が認められやすい目安とされており、この2つは俗称として「過労死ライン」とも呼ばれています。
現在上記のような残業体制が継続されている場合、早期的な残業時間の削減が必要とされている状態です。
残業についての4つの基礎知識はいかがでしたか? 過労死を防ぎ、心身の健康状態を維持するためには、上記のような残業時間に対する知識を管理側と労働者側それぞれが共有し、改善に努めていく必要があります。
「時間内に仕事が終わらないのだから、残業でカバーすれば良い」という意識を根本的に変えていかなくては、残業削減の対処を形式的に行っても、継続的な効果は維持できません。 また80時間~100時間というような残業時間を強制されたり、残業時間に対して正当な残業代が支払われないといったブラック企業に困っているという場合には、早期的に自治体の労働相談センターやNPOに相談をしてみましょう。
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