複雑な問題にもワンストップで対応できる相談室を運営 | 臨床心理士 曽根美恵
更新日 2018年07月11日 |カテゴリ: 専門家インタビュー

ーー青山心理発達相談室には、どんな方が相談に来られるのでしょうか。
こちらの相談室では、幼稚園のお子さんから80歳の方まで見えていて、年齢層が非常に幅広いのが特徴です。発達のライフステージに応じた問題に対応できる専門家が8名在籍しています。オリエンテーションも様々で、精神分析的精神療法、認知行動療法、クライエント中心療法のいずれにも対応していますから、どんな相談内容の方がお越しになっても、その方に合った方法で対応可能です。
具体的にご相談を受けている内容としては、幼稚園や小学校、中学校、高校の不登校、職場の不適応、うまく集団になじめない方々の問題、親子の問題、ご夫婦の問題、自分探し、自分がどうアイデンティティを獲得していったら良いか、職場における対人関係の問題、身体的な病気を持っている方がどう人生と向き合っていったら良いか…本当に多様です。トラウマ治療のためのEMDRも提供しています。それぞれの発達のライフステージの中で様々な問題が起きてきますから、それぞれに合わせて、相談をお受けしています。
ーー相談室の名前の「発達」というのは、「発達障害」などを連想しますが、そうではなく「ライフステージの発達段階」といった意味合いなのですね。
その通りです。どんな人にも、人生の中のライフステージごとに、向き合うべき課題が生じ、その課題を乗り越えることで、人は生涯発達し続けることができますから。発達という視点でそのときどきの問題について向き合っていくお手伝いをし、一人ひとりの方の成長、発達の後押しをています。

また、ご自身やお子さんの特徴、強み・弱みに関する理解を深め、カウンセリングに役立てていただくために心理検査や知能検査も行っています。心理検査や知能検査は必ずしも問題をもっていたり、発達障害を疑っておられる方だけではなく、自己理解を深めるために活用される方も多くおられます。お子さんがお受けになった場合には、お子さんにも親御様にもわかるように結果を丁寧にお伝えし役立てていただけるようにしています。
ーーカウンセリングルームであるにも関わらず顧問弁護士がおられるのが特徴的ですね。
最近、心理的問題を抱えてお見えになる方の中に法律的な問題を抱えている方が増えています。特に離婚の問題ですね。ご主人とうまくいかなかったり、お子さんが不登校だったり、といった問題に取り組んでいくと、離婚を視野に入れる必要性が表面化することもあります。
そういうときに、法律の面は弁護士に相談できる体制をつくっています。感情的にセンシティブな問題や傷ついている方に寄り添えるようなトレーニングを受けている顧問弁護士、協働弁護士と連携をしています。
離婚の問題について、心理的問題や課題に理解のない弁護士に相談して辛い経験をされたというお話もよく聞きます。「あなたのわがままじゃないか」とか「考え方が甘い」とか。話を聞いてもらえないまま、すぐ調停に持って行かれたり。そのやり取りの中で傷ついてしまうことがままあるようなんですね。こちらでは、まずは感情的な部分をカウンセラーが受け止めたうえで、離婚をする、しないに関わらす、顧問弁護士、協働弁護士が相談をお受けしますので、ワンストップ(同時進行)でお話を伺うことができます。
ーー離婚に至る前のカップルに対するカウンセリングも行っているのですね。
相談室では、カップルセラピーや家族でのセラピーも行っています。セラピーを行った結果、最初は離婚を視野に入れていても離婚をとりやめるカップルもいます。もし、離婚という結論になったとしても、面会交流の手続きや財産分与、ADR(裁判外紛争解決手続き)など、法律的なことを含めて一緒に相談に乗ってくれる顧問弁護士、協働弁護士の先生方がいるので安心して頂けると思います。
ーーそのほかにはどんな連携を行っておられるのでしょうか。
精神科のクリニック・病院の先生方や、福祉の方々とも連携しています。相談にお越しになる方の中には、医療機関を受診し、お薬を処方していただいたほうが良い方もいますが、医療機関に関する情報も、ネット等で見つけるのはなかなか難しいので、信頼できる先生方をご紹介し、連携が取れるようにしています。ここに来れば、心理カウンセリングだけでなく、法律、医療、福祉のネットワークにワンストップでつながることができるようになっています。問題を抱え、どこに行ったらよいのかわからない、というときには、まずご連絡を頂ければ、必ずお力になれると思います。
ーー多くの機関や専門家との連携のもと、セラピーをうけられるのはとても安心ですね。
是非、お気軽にご活用いただければと思っております。 お忙しい中ありがとうございました。
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