仕事に行きたくない……わたしって怠け者なの?

朝、起きたときに「今日は仕事に行きたくない!」…、社会人なら一度は感じたことがあることでしょう。理由がはっきりしていればまだ対処法があるかもしれませんが、「なんとなく行きたくない」「落ち込んでいるわけじゃないのに体がだるい」という場合は、「怠け者だからじゃないか」と自分を責めて余計につらくなってしまいますね。そのようなとき、どう考えればいいか一緒に探ってみましょう。

本当の気持ちに蓋をしてしまっている

例えば業務で失敗をしてしまったとか、大きなプレゼンが控えているとか、“はっきりとした理由”がある場合は行きたくなくて当然です。でも嫌な気持ちに心当たりがないときは、途方に暮れてしまいますね。果たして本当に心当たりがまったくないのでしょうか。それまで我慢してきたことや、見ないふりをしてきたネガティブな事柄がどこかにありませんか? 

人は、日常生活を円滑に送るのに支障が出るような感情には、知らず知らずのうちに蓋をしてしまうものです。例えば職場で仲良くしている同僚がいたとしましょう。本当は「あまり気が合わない」と感じているにも関わらず、「業務に影響が出るから」「お昼を食べる相手がいなくなるから」などと理由をつけて気の合うフリをしています。このように、自分にとって不都合な感情や欲求を“ないこと”にして心の安定を得ようとする働きを、「防衛機制」といいます。誰でも多少の防衛機制を用いながら日常生活を営んでいるものですが、それがいきすぎるとストレスとなり、気分の落ち込みや身体の不調につながることもあるのです。

そもそも自己評価がネガティブなのかも

誰だって仕事に行きたくない日くらいあるものです。しかし、“仕事に行きたくない”イコール“自分は怠け者だ”と決め付けてしまうのは、いささか極端ではありませんか? このように「少しでもネガティブな感情をもってしまうのはよくないこと」という「白か黒か」の思考パターンがある人は、自分自身への評価も「許せるか許せないか」という極端なものになってしまう傾向があります。

人はたいてい「いいとわかっていてもできない」「よくないのだけれどやってしまう」と、割り切れない思いを抱きながら何とか生活していくものです。しかし「こうあるべき」という考えが強くなりすぎてしまうと、その通りにできない自分自身を許すことができなくなってしまいます。

また、理想通りにできない自分にがっかりしたくないため、「どうせ自分はダメ」とあらかじめ低い評価を設定してしまうのです。嫌なことがあると自分を責めてしまい、さらに落ち込んでしまう…そんなループに陥ってしまうと、ネガティブな気分から抜け出すのはとても難しくなってしまいますよね。

やりたい仕事じゃないと価値がない?

仕事に行きたくない理由のひとつとして、「やりたい仕事じゃないからモチベーションが上がらない」という声を聞くことがあります。本当にやりたいことが他にあるのならば、転職活動や独立準備など具体的な努力をしたほうがいいのでしょうね。一方で、特にやりたいことがあるわけではないけれど「今の仕事が合わない感じがする」「役に立ててない気がする」といった違和感を抱いている場合は、「なぜ仕事をするのか」と、自分自身に改めて問いかける時期が来ているのかもしれません。

やりがいのため? お金のため? 社会的地位が必要だから? 自分が何を一番大切にしたいかがわかれば、今の仕事に対する態度もおのずと決まってくることでしょう。

死んでしまいたいほど嫌なときは逃げたっていい

気分の落ち込みが何日も続いたり、起き上がれないほど身体がつらかったりするときは、「抑うつ状態」や「うつ病」の可能性があります。そのようなときは、ためらわずに医療機関を受診しましょう。私たちは、仕事だけをするために生きているわけではありません。多くの人は、幸せで充実した人生を送るために必要なことのひとつとして、仕事をしているのだと思います。

「どうしても行きたくない」という感情の表れは、「このままではいけない」という危機的状況を知らせる心のメッセージとも受け取れます。解決できることについてはその方法を考える努力が必要ですが、「どうしても解決できそうにないことからは逃げる」というのも立派な解決方法のひとつです。

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