集団療法とは?〜周りに刺激を受けながら自分を見つめる場所〜

更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: カウンセリング

精神科の疾患や心の悩みは、孤独や不安が大きな原因となっていることがあります。誰にも相談が出来ないことや、苦しみを理解されないという気持ちが、症状をより重大にしてしまうのです。集団療法を用いることで、この孤独や不安から解消されるだけでなく、同じような苦しみを受けるリスクが大きく下がります。集団療法とはいったいどんなものなのでしょうか。

集団療法の種類は?

集団療法と一言にいっても、その形態は様々です。精神科デイケアや患者会などは精神科で実施されている集団療法の一つです。一般の方がセミナーなどで受講するエンカウンターグループも集団療法として機能しています。また、集団療法と銘打ったグループも存在します。

集団療法は、目的に応じて構成員は様々ですが、スタッフ一人当たり6人程度のグループになります。大きいグループになると40人を超すこともあります。精神科デイケアは基本的にリハビリを行う医療になりますので、集団での行動により社会的なリハビリを行うという目的があります。

実際に行うのは集中力を高める軽作業や認知機能を回復するための共同活動、社会復帰後の生活技能訓練などです。患者会などの同じ疾患や悩みを抱えるグループでは、体験の共有や対処法の情報交換などになります。エンカウンターグループのように体験型の集団を通して自身を見つめなおしたり、他者理解を深めたりします。

集団療法のここがいい!

悩みはそれぞれで、多くの方が絶望的な気分になっています。その苦しみは誰にも理解してもらえないと感じます。医者でさえ同じ気持ちになってことはないのだからと、孤独感が強まってしまいます。集団療法を受けると、全く同じではないにしても似たような悩みを抱えた仲間と出会い、癒されます。今後自分がどうなっていくのかというモデルを体験することができるのです。

とても人前で話せないようなことも、集団療法の場であれば話すことができるといった効果もあります。つまりは、仲間ができるのです。先輩から教わることを、いつの日か後輩に伝えていく立場に変わっていきます。心細く所在なかった自分が、気が付くと笑顔が出るようになっているのです。仲間だけでなく、集団療法の内容をしっかりと身に着けることで、同じような問題に直面した時に解決する力を身に着けていきます。実際に練習をすることもあり、学んだ技術をすぐに使うことができることもメリットの一つです。人間は社会的な動物だと哲学者アリストテレスは述べています。小さな社会の中で、人間的な回復がなされていくのです。

ここには気を付けておこう

集団に入るということは対人交流が発生するということです。参加している方は同じような悩みを抱えていたり、人間関係が不得意な人だったりします。積極的に話しかけたり話しかけられたりすることがお互い負担になることがあります。そういう時はスタッフに相談するようにしましょう。

また、周りの雰囲気についていけないと感じます。初回はみなさんおなじ気持ちになります。気後れしてしまうのは当然です。逆に頑張らなきゃと無理をしてしまうこともあります。あなたのペースで参加して大丈夫ですので、落ち着いて参加しましょう。

集団療法の効果

集団療法は個人療法と違い、自分の問題をじっくり考える場面は多くはありません。しかし、人の中で過ごすことにより、新たな気づきや感じ方を変えるのに効果的です。周りの動きに触発されて行動的になれたり、不安な気持ちは気が付くと解消されていたりするものです。悩みが重い時期に参加することはとても労力を要しますが、明日のためにひと踏ん張りして参加してみてください。

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