夢をよく見たら注意信号?「レム睡眠/ノンレム睡眠」と「抑うつ・疲労感」の関係とは

更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: もやもやする

ここ最近、きちんとグッスリ眠れていますか?

「あまりよく眠れていない」「寝ている筈なのに寝た気がしない」と感じていたら、それは「レム睡眠」「ノンレム睡眠」等の睡眠周期に乱れが生じているのかもしれません。
その原因は、知らないうちにためているストレスである可能性も。
また睡眠周期の乱れが、抑うつの原因となるストレスを更に増やしてしまうこともあるのです。

ここではレム睡眠/ノンレム睡眠等の睡眠周期と「抑うつ」や「疲労感」との関係性について解説をしていきます。

レム睡眠・ノンレム睡眠とは?

レム睡眠(REM睡眠)とは、眠っている間の急速眼球運動を伴う睡眠状態のこと。
この状態にある時、人間の「体」は休息状態にありますが、「脳」は覚醒をしている状態です。
いわゆる「夢」を見る状態がレム睡眠ということになります。

反対にノンレム睡眠(Non-REM睡眠)とは、休息眼球運動が伴われない睡眠状態を指します。
ノンレム睡眠は「体」だけでなく「脳」も休息状態に入っている状態です。
ごくカンタンに言えば、「グッスリと眠った状態」がノンレム睡眠というわけですね。

睡眠周期と「うつ」の関係

人間の「眠り」は通常、以下のような段階を経ながら深い睡眠段階へと移行していきます。

【睡眠段階】

入眠状態

睡眠状態~深い眠りへ(ノンレム睡眠)

レム睡眠(約90分)

ノンレム睡眠(約90分)

レム睡眠(約90分)…

ところが近年の睡眠ポリグラフィー検査では、「うつ病」等の気分障害の患者に以下のような傾向が見られることがわかってきました。

1)入眠後~深い眠りに入るまでの時間が短く、30分以内にレム睡眠が訪れる
2)レム睡眠の時間が平均値(平均90分~100分)よりも長くなっている
3)ノンレム睡眠の中でも最も深い眠りの段階の時間が短くなっている

ごくカンタンに言えば、睡眠時間全体のうち「レム睡眠(脳が働き夢を見ている時間)」の量が増え、ノンレム睡眠(脳が休まる時間)が減っていることになります。
うつ病等でストレスフルになっている脳の睡眠は「レム睡眠」に偏りがちなのです。

ノンレム睡眠の減少による弊害

ノンレム睡眠にある脳は、ゆっくりと休みながら一日の中で得た情報(記憶)を整理し、脳機能を回復するためのメンテナンスを受けている状態です。
ノンレム睡眠の時間がきちんとあってこそ、脳はストレスを解消して、翌日に疲れを持ち越さずに済んでいるというわけですね。
ところが上記のようにうつ病等の抑うつ状態にあり、ノンレム睡眠が少なくなってしまっていると、脳は疲れを取りきることができません。

結果として、「眠ったのに、寝た気がしない」という疲労感の元になってしまうわけです。
また疲れた状態にある脳は、その「疲れ」もストレスとして受け止めます。
元々ストレス等から抑うつ状態になっていた人が睡眠障害となった場合、ノンレム睡眠の減少によって、更にストレスを貯めやすい状態になってしまうのです。

こんな状態になっていたら要注意!

睡眠段階のうち、レム睡眠の段階が増えると、人間の眠りは以下のように変化します。

1)ちょっとしたことで目が覚めるようになる

レム睡眠では脳が起きている状態のため、ほんの少しの物音、喉の渇き、暑さ寒さといった現象にも敏感に反応をしがちです。
特に眠りが浅い状態にある場合、何も無いような状態でも目が覚めるようになります。
「夜中に何度も目が覚める」「明け方に目が覚める」といった睡眠の途切れが起きている場合、レム睡眠の段階が増えている可能性が考えられます。

2)夢を見ている状態で頻繁に目が覚める

夜中等に目を覚ました時等にも常に夢を見ていて、しかもそれを覚えている…という場合、眠りの段階はかなり浅めです。
「頻繁に夢を見て、夜中に目覚める」という場合、レム睡眠の増加で眠りの質がかなり低下している恐れがあります。

3)目覚めた時に「寝足りない」と感じる

人間が必要とする睡眠時間には個人差がありますが、原則として7時間~8時間程度であるとされています。
8時間近い睡眠時間を確保したにもかかわらず、目覚めた時に「グッスリと寝られた」という満足感が得られない場合、レム睡眠の増加によって脳の疲れが取れていないのかもしれません。

4)寝起きから疲労感が取れない

ノンレム睡眠(徐波睡眠)による記憶整理等のメンテンナンスを十分に受けていない脳は、起床後にもなかなか覚醒状態に入れません。
朝からグッタリと疲れていたり、午前中にも眠気が取れない、頭に霧がかかっているかのようなモヤモヤ感があるといった状態になります。

また脳・体の疲労回復が万全に行われていないため、集中力・記憶力等も低下しがちです。うっかりミスが増えたり、物事を落ち着いて考えることが難しくなります。

「すぐ目が覚める」「眠りが浅い」といった睡眠状態の悪化が続いている場合、うつ病・不眠症といった病気の注意信号であると言えます。
過労等によるストレスを溜めていないか、一日の中でリラックスをする時間が作れているか等、こころの健康状態を振り返ってみましょう。

おわりに

「睡眠」は私達の身体だけでなく、「脳」や「心」のリフレッシュをさせてくれる大切な存在です。睡眠の質に変化が訪れたら、それは「心がリフレッシュできていない」という合図。
睡眠の質の低下、それによる社会生活への支障等が気になる場合には、一度心療内科・精神科等に相談をしてみるのも手です。

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