5~6時間睡眠の人はうつ病になりやすい?「睡眠不足」の5つの危険性

更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分

「最近、忙しくって毎日睡眠不足」 「寝なきゃとはわかってるんだけど、ついつい夜更かししてしまう」 毎日通勤電車や午後の仕事中等に「ああ~眠い…」となっている人、多いですよね。

でも実は、この「睡眠不足」がうつ病等の心の不調を引き起こす大きな要素となることもあるんです。 今回は「睡眠不足」の危険性について、5つのポイントを解説していきます。

1. 短時間睡眠では「脳の疲れ」が取れない

「眠ること(睡眠)」について、一般的には「体の疲れを取るためのもの」と思われがち。 ところが実際には、睡眠は身体の疲労よりもむしろ「脳」を休ませ、その疲れを取るものであることがわかってきています。 そして脳の疲れをきちんと取るには、一定の睡眠時間が必要となるのです。

睡眠時の段階は、以下のように変わっていきます。

【睡眠段階】

第一段階:入眠状態の浅い眠り。いわゆる「うとうとした状態」です。
第二段階:真の睡眠状態(ノンレム睡眠)
第三段階:やや深い眠りに入った状態(ノンレム睡眠)
第四段階:最も深い眠りの状態(ノンレム睡眠)
第五段階:レム睡眠

この後、ノンレム睡眠とレム睡眠は約90分ごとに切り替わってきます。

さてこの睡眠段階のうち、主に脳を休ませている時間であると考えられているのが第三段階及び第四段階。 ところが第三段階と第四段階の眠りは、睡眠全体の20%程度です。 脳をきちんと休ませ、ストレス等を軽減させるには、7時間~8時間以上の睡眠が必要であると考えられています。

2. 6時間以下の睡眠はうつ病の危険性大

人間の脳は緊張・興奮状態の時には自律神経のうちの「交感神経」が強く働きます。 反対にリラックス状態の時には「副交感神経」が働き、体や脳を休めてくれるのです。

ところが睡眠時間が6時間を切った場合が続くと、交感神経・副交感神経のスイッチがうまく切り替わらなくなってきます。 24時間、交感神経の方が出やすい状態--つまり脳も体も「常に緊張した状態」になってしまうのです。

この状態がもたらすのは、心拍数の上昇や高血圧、消化機能の低下等の身体的症状。 そして緊張や不安、ストレスの増大といった精神的な症状となります。

アメリカの大学の調査では、睡眠時間が6時間以下の人は、8時間睡眠の人に比べて高血圧等の生活習慣病、またうつ病等の精神的な症状の発生率が240%近くにも上がることがわかりました。

3. 「寝なくても平気」は疲れに麻痺した状態?

徹夜等の睡眠不足の状態の時には、脳の交感神経が活発になるため一時的な興奮や集中をもたらすこともあります。 「徹夜明けに妙にハイになったことがある」という人も多いのではないでしょうか。

しかし実際の調査では、睡眠不足状態での人間の集中力や記憶力は著しい低下を見せています。 単純な作業等はなんとかこなせても、パフォーマンスは低下した状態なのです。

また5~6時間睡眠といった慢性的な睡眠不足が続くと、このようなパフォーマンスの低下や脳が疲れた状態を意識しにくくなります。 「寝なくても大丈夫だ」と考え、身体や脳の疲れをどんどん貯めこんでしまうわけですね。

4. 「眠気ざましアイテム」の常用は危険!

ねぼけた頭を起こすため、濃いコーヒーや眠気覚ましのガム、栄養ドリンク等を使っているという人もいるはず。

これらの「眠気覚ましアイテム」に含まれているのは、交感神経を活発にさせるためのカフェイン等の成分です。

カフェイン等の興奮作用のある成分は、期間を置いた適量の使用であれば特に問題はありません。 しかし常用化しやすく、慣れるごとに使用量が増えやすいのがネックと言えるでしょう。

カフェインの常用によって交感神経が過剰に働き過ぎた状態となり、自律神経の失調、うつ病の悪化等をもたらすこともあります。 毎日のように眠気覚ましアイテムを使っているという人は、「脳がまったく休めていない状態」となっている可能性も大きいのです。

5. 「寝だめ」では脳の疲労は回復できない

「平日に寝られなかった分、休日に寝坊しよう」という人は多いですよね。 このようないわゆる「寝だめ」は、たしかに身体の疲労に対しては一定の効果をもたらします。

5日程度の睡眠不足(5~6時間睡眠)でもたらされた身体的疲労は、3日間10時間程度の長時間睡眠を続けることで、かなり回復させることができるのです。

ところが同様の実験では、3日間の長時間睡眠(寝だめ)をしても、「脳の疲れ」は回復できていないことがわかりました。

ストレス等の脳の疲れをしっかりと取るには、毎日の睡眠時間をきちんと確保することが重要になってきます。

おわりに

現在の日本人の平均睡眠時間は7時間30分前後で、これは世界的に見てほぼ最短と言える状態です。 また、20代~40代では睡眠が6時間より短いという人が全体の40%近くにも及んでおり、日本人の多くが「睡眠不足」となっている状況が伺えます。

「他の人も寝ていないから自分も大丈夫」と考えるのは、とてもキケンです。 心身の健康状態を維持する上でも、まずは「最短でも7時間以上の睡眠」を確保することを意識してみましょう。

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