言いたいことが言えない人が「うまく伝える」ためのアサーションの技術
更新日 2018年10月01日 |カテゴリ: 人間関係を良くしたい

自分も相手も大切にする「アサーション」は、気持ちのよいコミュニケーションのヒントになります。
では、実際にどうしたら素直に自分の気持ちを伝えること―アサーティブなコミュニケーションができるでしょうか。
アサーションのための準備―自分の気持ちを確かめる
自分の気持ちをきちんと伝えるには、自分が実際にどういう気持ちなのか明確にすることが必要です。
「こう言ったら迷惑だろう」とか、「気に障ることかもしれない」と他の人のことを優先させていると、自分の本当の気持ちをつかむことができません。
また、表現しない感情は自分の感情として強化されないといわれています。そうなると自分で自分の気持ちが分からなくなってしまいます。
まずは自分の気持ちを把握することがアサーションのための第1歩です。
言語的アサーション―正直に自分の言葉にしてみる
自分の気持ちを確かめたら、その思いを自分の言葉で言語化します。
一つの言葉で言い表せることもあれば、相反する感情が共存することもあります。気持ちがはっきりしないこともあるでしょう。
このような場合にも、きちんと自分の気持ちと向き合い「矛盾する感情を持っている」や「迷っている」などということを素直に言葉にすることが大切です。
非言語的アサーション―視線や声のトーンなども大切
コミュニケーションで大切なのは言葉だけではありません。言葉以外の非言語的な部分から多くのメッセージが伝わるといわれています。声のトーンや大きさなどの聴覚的なもの、顔の表情や動作などの視覚的なものといった非言語もアサーションの重要な要素です。
例えば、言いたいことに自信がないとなかなか相手に視線を合わせられないことがあります。視線を合わせずに話しかけても、「本当に伝えたいのか?」「誰に話しているのか?」などと相手に疑問や不信感を抱かせてしまい、気持ちがうまく伝わりません。適度に相手の目を見るなどして、「相手に関心がある・伝えたい」ということを表現する必要があります。
伝えることと相手を否定することは違う
言いたいことが言えない人の中には、自分が考えていることを「伝える」ことが相手を「否定する」ことにつながってしまうのではないか、そうすると自分が嫌われたり非難されたりするのではないか、と考える人がいるかもしれません。しかし、あくまでアサーションの考え方は「相手を否定しない(you are ok)」かつ「私も否定しない(I'm ok)」なのです。
「私はこう感じています。あなたはこう感じているのですね、ではそれを踏まえて、どんな風に問題を解決していきましょう」というコミュニケーションの土台をつくるための作業であり、誰かを傷つけたり嫌われたりすることを心配する必要はないのです。
うまくアサーションができるようになると、「あ、言っても大丈夫だったんだ」という気づきが得られ、視野も気分も一気に明るく開けるはずです。
まとめ
コミュニケーションは自分以外の相手とするもので、お互いの意見が必ずしも一致するわけではありません。また、状況やそのときの気分でも変化しますから正解がないものです。しかし、少しでも気持ちのよいやり取りができたら、お互いにストレスなくその人らしい生活が送られるのではないでしょうか。
アサーションについては、書籍などでも学ぶことができます。コミュニケーションで悩んでいる方は参考にしてみてください。
参考文献
平木典子 著 図解 自分の気持ちをきちんと「伝える」技術―人間関係がラクになる自己カウンセリングのすすめ
平木典子 著 アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法 (講談社現代新書)
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