うつ病ってどんな病気?発症・治療・回復までを分かりやすく解説します

更新日 2024年08月21日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分

うつ病はどのようにして発症するのか?

少し古いデータではありますが、うつ病の人が最初に受診するのは、多くの場合内科(65%)や婦人科(10%)で、心療内科・精神科は9%程度に過ぎませんでした(三木、2002)。それくらい、うつ病の初期には身体症状が見られることが多いのです。最も多いのは頭痛・めまい・便秘や下痢・食欲不振・睡眠障害などです。

うつ病が発症するプロセスは一般的に、以下のようになっています。
①ストレスを受ける
②交感神経が亢進し、バランスが乱れる
③イライラ・緊張が高まる
④自律神経失調症
⑤疲労・うつ状態
⑥うつ病

うつ病になる過程では、自律神経失調症を呈することが多いので、その際に身体症状が多くでてきて、うつ病の発症にあたってもそれは継続します。

急に発症する、というわけではなく、徐々に症状が悪化してきますので、受診に至らないケースも多く、230万人がうつ病の症状がありながら、受診をしないまま経過しているというデータもあります。

うつ病はどのように診断されるのか?

①憂鬱で、気分の落ち込みが続きますか?
②何をしても楽しめず、周りのことに興味がなくなっていますか?
③食欲がないか、逆に食欲がありすぎて体重が著しく増減していますか?
④眠れなかったり、早朝・夜中に目が覚めたりしますか?
⑤話し方や動きが鈍くなったりイライラしたりするようになりましたか?
⑥疲れやすく、無気力になったりましたか?
⑦自分には価値がないと思ったり、自分を責める気持ちが強いですか?
⑧考えがまとまらず、決断できなくなったりしていますか?
⑨消えてしまいたい、死にたいなどと考えますか?


以上9項目のうち、①・②のいずれかを含み

・5項目以上がほとんど1日中、2週間以上毎日持続し、
・著しい苦痛や生活に支障があり、
・その他の身体的疾患や薬物・アルコールによるものではなく、
・躁鬱病とも判断されない場合に、「うつ病」という診断が下ります。

うつ病はどのように治療されるのか?

うつ病学会が公開しているうつ病治療ガイドラインによれば、軽症のうつ病の場合は、支持的精神療法と心理教育を基礎的介入として受け、必要に応じて抗うつ薬や認知行動療法が行われます。ただ、現状認知行動療法を受けられる精神科・心療内科は限られていることから、抗うつ薬が利用されることが多くなっていますが、軽症うつ病には薬物療法の効果は現れにくいことが知られています。

中程度や重症、精神病性うつ病の場合には、まず抗うつ薬の投与が推奨され、次いでECT(電気けいれん療法)、必要に応じて気分安定薬や抗精神病薬、抗うつ効果増強療法、理学療法が併用されます。中程度・重症のうつ病の場合には、精神療法単独での治療は行われず、抗うつ薬等との併用が推奨されています。中程度以上のうつ病では、脳内に生物学的な変化が起こっているとされており、話をして行動や考え方を変えていくだけでは、効果が発揮しづらいとされているのです。

抗うつ薬による治療は副作用を伴いますから、しっかりと説明を受ける必要があります。少量から開始され、状態を見ながら抗うつ薬が増量され、投与量を上げて、1〜2ヶ月程度経過が観察されます。ここで効果が見られない場合には、薬を変更したり、併用されたりすることになります。

うつ病はどのように回復していくのか?

抗うつ薬の効果は一般的には1〜2ヶ月で出てきます。6ヶ月程度でほぼ回復するのが平均的ですが、直線的に回復するのではなく、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら、全体としてはよくなっていく、というプロセスです。

回復初期には、セロトニンが関与している「焦燥感」や「不安感」がまず改善してきます。中期になると、ノルアドレナリンが関与している「抑うつ感」が改善し、その後「根気がない」「興味がない」などが改善してきます。

ドーパミンが関与している「喜びがない」「生きがいがない」などについては、一番最後に改善してきますが、一般的にはノルアドレナリンが関与している「抑うつ感」「根気がない」などが改善してきた時点で、周りから見ると「よくなった」と捉えられることが多いようです。

ただ、うつ病は、寛解後すぐに投薬治療を中止すると、再発することが非常に多くなっています。したがって、急性期からは回復しても、最低6ヶ月は急性期と同じだけの抗うつ薬を継続することが推奨されています。また、回復期には認知行動療法などのカウンセリングを併用することで、再発予防に貢献します。

おわりに

うつ病はどのように発症し、どのように治療し、どのように回復していくのかを時系列で追ってみました。うつ病とひとことで言っても、重症度やタイプによっても治療や回復の過程は異なります。また、どの症状が最初に出てくるかも個人差がありますから、不調が長く続いている場合には、一度病院に行ってみる、というのも検討するのが良いのかもしれません。

参考書籍

川上憲人「神経・精神疾患 診療マニュアル」
張賢徳 「抗うつ薬、抗不安薬の処方の始め方、そしてやめ方」

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