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言い訳は人間関係の潤滑油。でも使い方にはご用心

公開日 2015年06月26日 |
カテゴリ: 自信がない
言い訳は人間関係の潤滑油。でも使い方にはご用心

これは、私の好きな漫画[1]のセリフです。

生きている以上、ミスや失敗を避けることは出来ません。そして失敗から学び、次に活かすことはもちろん大切です。

そのうえで、失敗の直後に傷口を広げないようにすることも大切でしょう。

失敗して気まずくなってしまった人間関係を円滑にするために重要なことの一つが「言い訳(Excuse)」です。

言い訳や弁解という言葉は、日常生活の中であまり好ましい印象を持たれていませんが、人間関係の潤滑油として実は大切な役割を担っています。ただし、使い方を間違ってしまうとデメリットをもたらす諸刃の剣でもあります

そこで、普段何気なく使っている言い訳について改めて知ることで、日々の人間関係に役立てていただければと思います。

言い訳とは何か?

社会心理学において、言い訳は釈明(Account)の一種に位置づけられています。人は相手の期待に反するような行為(つまりミスや失敗)をしてしまったとき、様々な方法によって相手との関係の再確立を試みますが、その試みを総称して釈明と呼びます[2]。

釈明の分類[3]

・言い訳
・正当化
・否認
・謝罪

そして言い訳はその釈明のなかで、「悪いことをした」という点は認めつつ、「やむを得ない事情があった」などの理由を示すことで、その行為に対する自分の責任を軽減しようとするタイプの釈明です。なお、ここで詳しくご紹介するのは言い訳だけですが、実際には複数のタイプの釈明を組み合わせて使うこともよくあります。

言い訳のメリット

冒頭で申し上げたとおり、言い訳には良い面と悪い面があります。最初に言い訳することでもたらされるメリットについて,次にデメリットについてご紹介します。

言い訳によってもたらされるメリットは,大きく3つあります。

1.怒りや罰の軽減・回避,イメージ悪化の抑制

一つ目は、対人的な側面に関するものです。言い訳することで、失敗に対する相手からの罰や叱責、非難といった行動を軽減することができます[4]。また、行動面だけでなく、相手が自分に抱くイメージや評価が悪化することを防ぐ働きもあります[5][6]。

2.自尊心の保護、ネガティブ感情の抑制

二つ目は、言い訳した本人の内的な状態に関するものです。基本的に言い訳は相手に対して向けられるものですが、同時に自分自身に言い聞かせている面もあります。失敗の原因を自分以外に求めることで,失敗したのは自分のせいではないと考えられ、自尊心が保護されたり[7]、ネガティブな感情を感じずに済んだり[8]します。

3.相手の面子を保つ

三つ目は、言い訳する相手に関するものです。言い訳には「私が失敗してしまったのには、こんな事情があったからであって、あなたをないがしろにしたからではないんです」というメッセージが含まれているとも考えられています。そのため、言い訳には相手の面子を保つという機能もあります[9][10]。

言い訳のデメリット

一方、いいことばかりではありません。言い訳によってもたらされるデメリットは大きく2つあります。

1.むしろ怒られる、無能と思われる

一つ目は、メリットと同様に対人的な側面です。例えば、不適切な言い訳をしてしまった場合、何も言い訳しないときよりも寧ろ、相手の怒りを招いたり、非難されたりしてしまいます[11]。また、「言い訳がましい」という表現が否定的な意味を持っているように、言い訳ばかりしていると周りの人から無能な人と思われてしまいます[9]。

2.変化や改善の機会が失われる

二つ目は、言い訳する本人が、自らの首をしめてしまっているようなデメリットです[12]。本当は本人に原因があるから招いてしまった事態に対しても言い訳をしていると、変化や改善をする機会が失われてしまいます。

例えば、自分の確認が足りなかったために起きた失敗でも、あの人がきちんと教えてくれなかったからだと考えていると、失敗からのショックは和らぐかも知れませんが,自分が成長する機会を失うことにもなりかねません

おわりに

いかがだったでしょうか。

失敗は避けられない人生の中で、もし言い訳が存在しなかったとしたら、失敗するたびに周りの人から怒られたり、悪いイメージを持たれてしまったり、あるいは自分で自分を責め過ぎてしまったりして、とてもギクシャクした人間関係になってしまうかも知れません。

失敗からの衝撃を受け止め、人間関係を円滑にするサポートをしてくれる言い訳は、緩衝材や潤滑油として大切な存在と言えるでしょう。

ただし、時にはウダウダ言い訳せずに、潔く非を認めた方が良い場合ももちろんあります。大切なのは、なぜ失敗してしまったのか冷静に原因を考えて、自分の中で改善できる部分はなんだろうかと省みることではないでしょうか。そして、改善する機会を得るための次なるステップへ円滑につなげるために、言い訳を添えると良いでしょう。

[1] 城アラキ (原作)・長友健篩 (作画). (2009). Bartender 13巻 集英社
[2] Scott, M. B., & Lyman, S. M. (1968). Accounts. American sociological review, 33, 46-62.
[3] Schönbach, P. (1980). A category system for account phases. European Journal of Social Psychology, 10, 195-200.
[4] Wood, R. E., & Mitchell, T. R. (1981). Manager behavior in a social context: The impact of impression management on attributions and disciplinary actions. Organizational behavior and human performance, 28, 356-378.
[5] Crant, J. M., & Bateman, T. S. (1993). Assignment of credit and blame for performance outcomes. Academy of Management Journal, 36, 7-27.
[6] Snyder, C. R., & Higgins, R.L. (1988). Excuses: Their Effective Role in the Negotiation of Reality. Psychological Bulletin, 104, 23-35
[7] McFarland, C., & Ross, M. (1982). Impact of causal attributions on affective reactions to success and failure. Journal of Personality and Social Psychology, 43, 937-946.
[8] Mehlman, R. C., & Snyder, C. R. (1985). Excuse theory: A test of the self-protective role of attributions. Journal of Personality and Social Psychology, 49, 994-1001.
[9] Folkes, V. S. (1982). Communicating the cause of social rejection. Journal of Experimental Social Psychology, 18, 235-252
[10] Weiner, B., Figueroa-Munioz, A., & Kakihara, C. (1991). The goals of excuses and communication strategies related to causal perceptions. Personality and Social Psychology Bulletin, 17, 4-13.
[11] Tyler, J. M., & Feldman, R. S. (2007). The double-edged sword of excuses: When do they help, when do they hurt. Journal of social and clinical psychology, 26, 659-688.
[12] J.A. シェパード・K.D. クワニック (2001). 不適応的な印象維持 R.M. コワルスキ・M.R. リアリー (編著) (2001). 臨床社会心理学の進歩 実りあるインターフェースをめざして (pp.279-314) 安藤清志・丹野義彦 (監訳) 北大路書房.

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