ネットで「批評・批判」をしたくなったら要注意?「批判クセ」がもたらすデメリットとは

個人サイトやブログ、TwitterやFacebookなどのSNSなどが浸透するにつれ、様々な人の「意見」を目にすることが増えましたね。
実生活や他のメディアでは目にしないような批判や批評を読んで、「確かにそうだ」と頷いている人も多いのではないでしょうか。
しかし、批判・批評を繰り返し読むうちに、「批判クセ」がついてしまいやすいのが少々困りもの。
「もしかして、そうなってるかも…」と感じたら、まずは自分の最近の考え方などを振り返ってみましょう。

1. 「正論」が通りやすいネット社会

インターネット上に溢れている様々な批判や批評の中には、もちろん論調として「正しい」と感じられるものも多々あります。
例えば、「誰かが公共機関でスリに遭った」という話があったとして、「防犯をしっかりしていないからだ」「日本の防犯体制はゆるい」という批判は確かに「正しい」点もあるでしょう。

しかし、例えば親や兄弟、親しい友人などが同じ被害にあったとして、面と向かって同じような批判を口にする人は少ないものです。
これには心理学でいうところの「熟知性の法則」が影響している面もあります。
「熟知性の法則」とは、人間はよく知っている人に対しては好意的に物事を捉える傾向があるというもの。
スリに遭った友人を思いやったり、驚いただろう、気の毒だ…そのような捉え方になることが多いのですね。

同時に、親しい人の場合には「自分の身に置き換えて考えやすい」という傾向もあります。
例えば上記の「防犯」という面について、海外旅行に行っている時のようにカバンに常に手をかけ、ファスナーが開いていないかを確認している人は日本では稀と言えるでしょう。
友人などがスリに遭った場合、「自分にも防犯をしていない面があるな」と無意識に自分の身に置き換えて、相手の非を追求することが少なくなるのです。

ところが、ネット上ではこのような「熟知性」も無ければ、自分の身に置き換えることも少なく、相手の「非」のみを追求しやすくなります。
そのため、「結果論」や「論調としては正しい正論」という形の批判が頻出するようになるというわけです。

2. 「何も知らない人」「経験が少ない人」ほど批判をする?

私達人間は、集団の中などで自分が中くらい、もしくは中の上程度に位置しているという認識を持ちがち。
これは必ずしも経済的・社会的という意味だけでなく、例えば生活能力、仕事能力、スポーツなどの運動能力なども含まれます。
「自分は普通レベル(中庸に入る)」という感覚、これは心理学では「優越の錯覚」と呼ばれるものです。
様々な情報を偏って吸収する「認知バイアス」の一種で、このバイアスを打ち砕くのは多くの場合「実経験」となります。

人間は幼い頃はこの「優越の錯覚」が強いもの。
例えば小学生の頃など、「やろうと思えば何でもできる!」という万能感を持っていた人も多いのではないでしょうか。
しかし学校や社会等で様々な失敗、そしてそれを乗り越えた経験があると、徐々に人はこの錯覚を取り払うようになります。

例えば、何かひとつのスポーツに取り組んできた人ならば、他のスポーツ選手の苦労を推し量ることもできるようになりますね。
毎日料理をしている人なら、料理を作る大変さ、技術習得までに時間がかかることはは熟知していることでしょう。
ところが実経験が少ない人は、この「認知バイアス」がかかったままの状態になるのです。

カンタンに言えば、「自分だって、何かをやろうと思えばすぐに出来る」という錯覚がある人ほど、人に対して「上から目線」になりやすい…というわけですね。

批判を行っている人は「自分の経験の少なさ・挑戦経験の無さ」を他者に向かって発信しているに他ならない、ということになります。

3. 「批判クセ」は自分の可能性を狭めていく

物事を批判している時、人はその人やものに対して、特に努力をせずに優位性を感じることができます。
そして人間には誰にでも悪い部分がありますし、例えば作品などでも「あら探し」をすれば必ず何か「欠点」は見つかるものです。

やろうと思えば全世界に向かって「優位性」を感じることだってネット上では可能、というわけですね。
実際、一度「批判をする快感」を覚えてしまうと、人はあらゆるものに対して批判的な態度を取るようになる傾向があります。

ところが、このような批判クセは自分の人生の可能性を狭めてしまうものです。
批判的な考え方に慣れた人は、今度は「自分が批判をされること」を恐れるようになります。
「失敗をしたら笑われるのではないか」「批判されたら恥ずかしい」…このように考えるあまり、新しい世界に挑戦する機会を自ら逃していってしまうのです。

おわりに

何も挑戦せずに批判をするのはラクですし、ネット上ではスマートに捉えられることも多いかもしれません。
しかし「トライ・アンド・エラー(挑戦と失敗)」の繰り返しは、人生経験を積むにあたって必要不可欠のもの。
「自分の人生」を大切にするという意味では、「批判したくなる気持ち」をグッと抑えて、自分自身の経験を積む方向へと興味を変えていくべきだと言えるでしょう。

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