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人生の秋「思秋期」にこそ、自分と向き合おう | 精神科医 和田秀樹

更新日 2016年12月15日 |
カテゴリ: 専門家インタビュー
人生の秋「思秋期」にこそ、自分と向き合おう | 精神科医 和田秀樹

アンチエイジングオフィスの実践の中で見えてきたこと

何が本業かわからないような私であるが、実は数年前から、「和田秀樹こころと体のクリニック」という自費診療のクリニックを開業している。

一つには、3年もアメリカに留学し、その後も精神分析や森田療法を習い続けてきたのに、日本の保険制度ではゆっくりと患者の話を聞けない(ほかの保険診療の病院で週一回外来をやっているが、一日に60~70人の患者を診ている)ということがあって、じっくり話を聞けるカウンセリングのオフィスをやりたかったからだ。

二つ目は、10年ほど前に、かつてダイアナ妃のアンチエイジングの主治医を務め、そのほか、パリと香港で、誰もが名を知るようなセレブ達のアンチエイジングを行うと同時に、世界抗加齢医学会の副会長も歴任された、世界のアンチエイジングの権威であるクロード・ショーシャ先生に知り合った(ワイン会でなのだが)ことがある。

自分も40代後半に差し掛かることもあり、アンチエイジングについて、あれこれ質問をしているうちに、彼の本の日本での出版を手伝うことになり、さらに香港のクリニックでの研修も許され、一種のフランチャイズのような形で、ショーシャ方式のアンチエイジングもそのオフィスで行うようになった。世界中でショーシャ方式のクリニックが20もあるそうだが、うちがいちばん値段を安く設定しているのに、もっとも流行っていないようだ。日本人が保険外の医療に金を出さないことだけでなく、私の経営者としての能力に問題があるのかもしれない。

ただ、ショーシャ先生の考え方は、長年高齢者専門の精神科医として、どちらかというとアンチエイジングがうまくいかなかった大量の高齢者と向き合う臨床経験と合致することが多かった。

たとえば、高齢になるほど、栄養が足りない害が大きい。やせた高齢者は老けて見えるし、現実に寿命が短い(これは仙台の郊外で行われた5万人規模の調査で明らかになっている)。ショーシャ先生の考え方は、食べないことで余計に体が老化して、より代謝が悪くなるという悪循環を避け、代謝を改善することで、食べても太らない体を作ることのほうが大切だし、食べ方を変えれば、食べても太らず栄養もうまく利用できるという考え方だ。そのために尿の検査をして、体の中の代謝産物や有害物質の量を調べて、一人一人違うサプリを出す。日本の保険診療では同じ病気であれば、個人差を考えずに同じ薬を出すことに疑問を感じていた私にはこれもしっくりきた。

何より、これまで35年もアンチエイジングのオフィスを続けてきた実績が大きい。何が体にいい、何が老化予防になるというような話は、毎年のようにころころ変わる。長年続けてきて、長年通っている患者のいる医者の話のほうがあてになるのは当然だ

ということで、ショーシャ先生にすっかり魅了され、その理論と方法論にしたがってアンチエイジングのオフィスをやっているし、実際に私も実践している。この7年間、少なくともルックスは歳を取らない。むしろ10年ぶりに会う人が若返ったと言ってくれる。

中年以降のホルモンバランスの変化がもたらす心と体への影響

ショーシャ先生のもう一つの研究テーマが、ホルモン、とくに男のホルモン研究である。

実は、中高年以降、人間のホルモンバランスは変わる。男性は男性ホルモンが減り、女性は女性ホルモンが減る。これは一般に更年期と言われる。女性の場合は、この時期に生理が終わり、自律神経症状(更年期障害と呼ばれる)を呈する人が多いので、それを自覚する人は多い。男性でも、以前、それを告白して話題になった、はらたいらさんのように激しい症状が現れる人もいるが、多くの人はそれを自覚しない。

しかし、アンチエイジングの観点からみるとこれは大問題だ。自分の性のホルモンが減ってくると両性とも肌つやが悪くなるし、性欲も衰えてくる。それ以上に男性の場合は、闘争本能のようなものが衰えるだけでなく、社交性(女性は歳をとると男性ホルモンが増えるからむしろ社交的になるということが最近分かってきた)、そして知的機能(とくに記憶)が衰えてくる。女性も、骨粗しょう症になりやすくなる。そういうわけで欧米では女性の約半数がホルモン補充療法を受けているし、お隣の韓国でも3割ぐらいの女性がそれを受けている。

自分の性ホルモンが減るということは自分の性でなくなるということも意味する。

<実は、人間というのは、中性で生まれ、中性で死ぬ生き物なのだ。子供時代は、意外に外性器の差もそれほど目立たないし、男女のホルモンの差はそんなに大きくない。思春期に、自分の性ホルモンが大量に出るようになって、男女がきちんと分化する。逆に更年期に両性とも性ホルモンが減って、中性の高齢者になる。

そこで、私は、旧来、更年期と呼ばれていた時期のことを思春期に対応して、思秋期と呼ぶことにした。

実は、この時期に衰えるのは性ホルモンだけでない。脳では前頭葉という場所が縮み始めるので、意欲や創造性が衰え、感情のコントロールが悪くなり、また変化に対する柔軟性が失われる。神経伝達物質も減ってくるので、うつ病になりやすくなる。 これらを放っておくと、みんな「枯れた老人」になる要因ばかりだ。

「思秋期」にこそ自分と向き合い、高齢期の「グランドデザイン」を

一方、思秋期にきちんと対策をとる(ホルモン補充療法はともかくとして、食生活や性生活を活発化して自分の性ホルモンを維持する、前頭葉を使うような生活をする、肉食や日光にあたることで神経伝達物質を増やす)ことで、老化は確実に遅らせられるし、自分の性も維持できる。

ついでにいうと、人間というのは、思春期にどんな大人になろうと、いろいろと思い悩むわけだが(それがしっかりしていないと、周囲に流される大人になってしまう)、思秋期にいろいろと考えることで、高齢期のグランドデザインも変わってくる。脳が本格的に老化してしまうとそれが困難なのだ

そういうことで、高齢者とアンチエイジングを専門とする立場から、40を過ぎたら思秋期をまず意識して、それに上手に向き合い、上手に乗り越えてほしいという提言をしたい。

もう少し詳しく知りたい人は、拙著、『「思秋期」の生き方 45歳を過ぎたら「がまん」しないほうがいい』(大和書房)を参考にしてほしい。

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