更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 感情をコントロールしたい
恋人との別離、肉親等に起こった不幸、会社の問題…私達の人生には様々なネガティブな出来事が起こるもの。 不遇の時期には誰もが悲しんだり、苦しんだりといういわゆる「落ち込み」の状態に陥ります。 でも、この「落ち込みの長さ」はどの程度のものだと思っていますか? 心理学の調査では、多くの人が不遇から立ち直るまでの長さを実際よりも非常に短く換算していることがわかっています。そのため周囲に対しても、自分に対しても「なぜ、まだ立ち直れないんだろう?」という気持ちを持ってしまうことがあるのです。 ここでは「心の傷」が回復するまでの平均的な期間や、心の傷の個人差についてなどを紹介していきます。
失恋や企画の失敗等、がっかりすることや悲しいことが起こると人間のメンタルの状態は著しく低下します。 これらの「感情」の状態をあらわしたものを「感情曲線」といいますが、感情曲線はその名前のとおり、ピークの状態から徐々に曲線を描くように通常の状態へと戻っていくものです。 哀しみ・怒りといった感情が最も高まるのは一般的には事態が発生した直後から1週間~2週間程度。
この時期を越えると傍目には「ネガティブな状態を乗り越えた」かのように見えることもあります。 しかしその後も一気に直線的に感情が収まっていくのではなく、ゆっくりと時間をかけてフラットな状態へと回帰していくのです。 個人差や事態の大きさによって時間の差はありますが、ネガティブな感情の状態が収束するのには3ヶ月程度(100日程度)を要することがほとんど。 「失恋から1ヶ月経っても立ち直ることができない」というのは、実は心理学的に見ても「ごく自然」なことというわけです。
肉親・恋人の病気や死亡、会社の倒産、自然災害等、予期せぬ多大な不幸に見舞われた時、人間の心はそのショックや心理的負荷を受け止めることができず、感情の抑圧・抑制を行うことがほとんど。 これを心理学では「防衛」と呼んでいます。 心が壊れてしまわぬように、哀しみや不安、恐怖等をほとんど感じない状態に「護ろう」とする機能が働くのです。
例えば葬儀等の際に、亡くなった方の親しい人の方が哀しみをあまり見せず、しっかりとされていることがあります。 一見すると「冷たい、悲しんでいない」かのように感じられるかもしれませんが、これも感情の抑圧が強く働いているためなのです。
ところがこのような防衛機能が働いている場合、人間は「1.」でご紹介した「ネガティブな感情」のピークを迎えることができずに心の中に押し込んでいる状態。 哀しみ・苦しみという感情はピークの状態の量を維持し続けており、張り詰めていた心がほどけた時(ストレス・緊張などから開放された時等)に、その感情が一気に放出されてしまうことも多いのです。
不幸に遭った直後には気丈に振る舞っていた人が、その半年後・1年後になってから大きな落ち込みを感じるというケースは少なくありません。
失恋直後から激しく嘆き、涙を流し、食欲を失い…という人をみると、周囲の人は「大きな哀しみがあったのだろう」と考えるものですね。 ところが、上記のように「嘆き悲しむこと」ができる人の方が、落ち込みからの回復は早い傾向にあります。 それは「ネガティブな出来事」に対して正面から向かい合って自分が悲しんでいることを認め、涙や行動というものでネガティブな感情を放出できているからなのです。 同時にこのような「わかりやすい哀しみの表現」があった方が、周囲からの手助けも受けやすいのですね。
反対に一見すると冷静に見える人、日常生活を淡々とこなしている人の方が、感情を抑圧していることになります。 特に注意しておきたいのが、大きな不幸があったにもかかわらず「他人事」のように感じていたり、「現実感が無い」と感じる場合です。 防衛機能が強く働いており、感じる筈の感情が全て閉じられ、抑えこまれている状態となっているのです。
大きな哀しみになるほど人間はその哀しみに正面から向かい合えず、防衛機能によってその感情を抑えこもうとしがち。 しかしそれによって何年もの間心が不安定な状態になったり、抑うつ状態となってしまう人もいます。 また周囲から理解が得られにくいのも問題のひとつです。
「落ち込んでいるように見えないから、悲しくはないのだろう」「もう何年も前の出来事なのだから立ち直るべき」という安易な判断が、当事者の心をより苦しませることになってしまいます。
落ち込んでいる人に対して「いつまでメソメソと悲しんでいるんだろう」とイライラしたり、自分に対して「どうして立ち直れないんだろう」という気持ちを抱いてしまうこともあるかもしれません。 でも心理学的に見ていくと、「心の傷」がきちんと癒えるまでにはもっと長い時間がかかるものなのです。
また自分の感情に向かい合うことが難しい人の場合、放出できなかった哀しみや苦しみが「うつ病」等の症状としてあらわれることもあります。 ネガティブな感情の受け止めが難しい時、長期化した落ち込みからの回復ができない場合には、専門医やカウンセラーを頼ってみましょう。
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